2020-08-18(Tue)
玉木雄一郎を袋だたきにする人たちへ
玉木さんが「分党」と言い出してから1週間が過ぎました。
もう、あっちからもこっちからも玉木さんは袋だたきです。
玉木さん自身の話はあまり出てこないので、彼が何を考えているのか、はっきりはわかりません。
批判の中身を見ると、大きくは三つあるみたいです
1) 政権交代のために分裂はアカン
2) (民民の合流派は)持参金が少なくなると肩身が狭いぞ
3) 玉木新党についていく面子や持ち上げてる連中が酷すぎる(いわゆる玉クラ)
1)はたしかにその通りです。
でもこれ、玉木さんのせいですか?
合流したくない という人が幹事会9人中6人もいたんですよ
無理に「全員で合流」なんて決めれば、ヘタすると二桁の議員が自民や維新に流れるかもしれない。
そんなことになるくらいなら、どうしてもイヤだという面々を国民民主で残して、ギリギリ野党に踏みとどまらせたほうがいいんじゃないですか。
いい というか マシ、ってことですけど。
そんな連中は、自民でも維新でも行ったほうがスッキリする なんて無責任なことを言う人がいますが、民民に残りたい人は小選挙区で勝てる人ばっかです。
そんな人たちを与党に押しやることの方が、よほど政権交代を遠ざけるのではないですか?
2)は、まあたしかに減りますよね。どういう配分にするのかは知りませんけど。
明日の議員総会で「全員合流」の緊急動議を出して可決しよう なんて動きもあるそうですが。
まさに、カネがほしいあまりに、選挙に強い右派議員を自民党に差し出す行為です。
あるいは、排除された人たちが決起する というシナリオは、3年前の立憲民主党を、左右逆転で再現してしまうかもしれません。
あの時はリベラルの風が吹いて立憲が望外の票をとりましたが、こんどは反緊縮右翼の風が吹くかもしれません。
それこそ、3年前の立憲と同じで、政権交代の妨害に他なりませんし、もっと深刻なファシズムに進展するかもしれません。
そんな騒ぎにせずに、選挙には強いけれども小さい政党で温和しくしていてもらうためには、仲良く分党がいい。
2009年の時の国民新党みたいなイメージです。小さくて100%保守なんだけど野党。
それに、持参金を少々たくさん持っていっても、カネが移動して、合流新党の新執行部が決まれば、もはや民民からの合流組はお役御免です。
あの酷薄極まる枝野さんや福山さんにどんな仕打ちをされるか、覚悟もしていないのでしょうか?
立憲の人たちが「国民民主」と口にするときの、あの憎々しげな口ぶりが、合流したからといって水に流れるとは、彼らのこれまでを見る限りではとうてい思えません。
枝野さんたちにとっての合流新党の意味は、少しでも比例復活を増やすことです。
逆に言えば、比例区での競争が激化すると言うことです。
さすがに共産党みたいに順位をつけることはしないでしょうが、幹事長や選対を誰が握るかで、天国と地獄がきまっちゃうでしょう。
平野さんと泉さんは、そういうところまで気を配った寝技を駆使した交渉をしたのか。
してないでしょうねえ。
平野さんは鳩山政権の時の官房長官。辺野古基地の「最低でも県外」という鳩山さんの意向をネグレクトして、まんまと辺野古に押しつけた人ですよ。
3)はややこしい。
ご指摘は その通りです と言わなくちゃなりません。
いわゆる玉クラに集う、目立つ人たちは、前に書いた右派の「立憲」現象を狙っているのでしょう。
ただ、玉木さんは以前から、右派を包摂する試みをしていました。
国民民主・玉木代表の「安倍総理 憲法改正の議論やりましょう」発言について(2019.7.26)
このときは、国民民主党内に自民党からかなりの切り崩しがあったと思われます。
それを、玉木さんは思いっきり右に梶を切ることで、どうにか乗り切ったという一件です。
と同時に、右派を野党側から包摂していくのは自分の役目だ という意識を感じました。
とはいえ、いわゆる玉クラに集う人々は、包摂なんていうレベルではない人たちがたくさんいます。
だから、あの連中の勢いが本当に主導権をとってしまえば、たしかに玉木新党は野党と言うよりはファシストに近い物になるでしょう。
それは玉木さんが意図している、十数人の改革保守とは別物ですが、そういうリスクがないとは言えません。確かに。
リスクはありますが、よりベターな選択をするのであれば、自民に追いやるよりも、勝手にフィーバー始めるよりも、首に縄をつけておいた方が マシなんじゃないでしょうか。
玉木さんが分党を発表した11日の夜に、荻上チキさんがインタビューしたラジオの音声が公開されています。
【音声配信】「国民民主党が分党。玉木代表に直撃」(玉木雄一郎×荻上チキ)
2020年8月11日(火)放送分(TBSラジオ・Session-22)
ここで玉木さんが言っているとおりに進めるのであれば、私はそれでいいんじゃないか と思います。
最善ではないけど、仕方がない。
異常な玉クラを非難するのはわかるけれども、そういう連中を含めて野放しにしないためのリスクをとった玉木さん自身を、なんで寄ってたかって袋だたきにするのか 私は理解できません。
■
社民党も、ある意味同じ悩みを抱えているはずです。
右と左は反対ですが、立憲などと合流するのなら、もう政治やめる くらいの支持者や地方の党員はたくさんいるでしょう。
これも前に書きましたが、立憲は地方組織が極めて脆弱ですから、選挙になると社民党を頼ってきた地域はたくさんあるようです。
党員だっていまだ万単位でいるのです。
国民民主は、形式的には対等合併ですが、社民は完全に吸収併合です。事実以上。
そんな屈辱。しかも、党是である「社会民主主義」を捨てることになるわけです。
理念の一致とかじゃなくて、党是を捨てる。
日本に社会民主主義の政党がなくなる という事態を、多くの方は軽く考えているみたいですが、これかなり大変なことなのです。
本当は、政党なんて選挙互助会 と割り切って、派閥として党是や理念をバラバラに持ちつづけるのが、もっとも健全なあり方なのですが、それを許さない偏狭な政治風習が根強い日本では、吸収合併されたら社民主義は表舞台から消滅です。
そんな国は、独裁国家以外であるのかな??
Wkipedia 社会民主主義 主な政党
もちろん、社民党は分裂しなくても政党要件はかなり危ういので、分裂すれば国政政党ではなくなるでしょうが、多くの党員や支持者を路頭に迷わせないために、あえて合流せずに政治団体を設立するという流れも、たぶんあるのではないでしょうか。
これもまた、「分裂だ」と非難されるのでしょうが、そうした非難を覚悟の上で、支持者を政治的な絶望の淵からサルベージして、大きな野党とも連携する動きにしていこうという努力には、私は左右を問わず共感を覚えます。
私が参加している生活フォーラム関西も、自由党がなくなって、れいわ新選組もおかしな流れになってきて、なんだかどっち向いて良いのかよく分からなくなってきたように思います。
でも、そんな時だからこそ、ひとり一人の政治家をよく見て、応援するべきなのか、するべきではないのか、自分の頭で考えなくてはなりません。そういうことができるグループになれるか、まさに「自立と共生」が問われています。
少なくとも、玉木さんをボコボコにして正義の味方になったような気分を味わうのは、私がやりたいことではありません。
人を見て、発言を精査して、何をすべきか 判断していきたいと思います。
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もう、あっちからもこっちからも玉木さんは袋だたきです。
玉木さん自身の話はあまり出てこないので、彼が何を考えているのか、はっきりはわかりません。
批判の中身を見ると、大きくは三つあるみたいです
1) 政権交代のために分裂はアカン
2) (民民の合流派は)持参金が少なくなると肩身が狭いぞ
3) 玉木新党についていく面子や持ち上げてる連中が酷すぎる(いわゆる玉クラ)
1)はたしかにその通りです。
でもこれ、玉木さんのせいですか?
合流したくない という人が幹事会9人中6人もいたんですよ
無理に「全員で合流」なんて決めれば、ヘタすると二桁の議員が自民や維新に流れるかもしれない。
そんなことになるくらいなら、どうしてもイヤだという面々を国民民主で残して、ギリギリ野党に踏みとどまらせたほうがいいんじゃないですか。
いい というか マシ、ってことですけど。
そんな連中は、自民でも維新でも行ったほうがスッキリする なんて無責任なことを言う人がいますが、民民に残りたい人は小選挙区で勝てる人ばっかです。
そんな人たちを与党に押しやることの方が、よほど政権交代を遠ざけるのではないですか?
2)は、まあたしかに減りますよね。どういう配分にするのかは知りませんけど。
明日の議員総会で「全員合流」の緊急動議を出して可決しよう なんて動きもあるそうですが。
まさに、カネがほしいあまりに、選挙に強い右派議員を自民党に差し出す行為です。
あるいは、排除された人たちが決起する というシナリオは、3年前の立憲民主党を、左右逆転で再現してしまうかもしれません。
あの時はリベラルの風が吹いて立憲が望外の票をとりましたが、こんどは反緊縮右翼の風が吹くかもしれません。
それこそ、3年前の立憲と同じで、政権交代の妨害に他なりませんし、もっと深刻なファシズムに進展するかもしれません。
そんな騒ぎにせずに、選挙には強いけれども小さい政党で温和しくしていてもらうためには、仲良く分党がいい。
2009年の時の国民新党みたいなイメージです。小さくて100%保守なんだけど野党。
それに、持参金を少々たくさん持っていっても、カネが移動して、合流新党の新執行部が決まれば、もはや民民からの合流組はお役御免です。
あの酷薄極まる枝野さんや福山さんにどんな仕打ちをされるか、覚悟もしていないのでしょうか?
立憲の人たちが「国民民主」と口にするときの、あの憎々しげな口ぶりが、合流したからといって水に流れるとは、彼らのこれまでを見る限りではとうてい思えません。
枝野さんたちにとっての合流新党の意味は、少しでも比例復活を増やすことです。
逆に言えば、比例区での競争が激化すると言うことです。
さすがに共産党みたいに順位をつけることはしないでしょうが、幹事長や選対を誰が握るかで、天国と地獄がきまっちゃうでしょう。
平野さんと泉さんは、そういうところまで気を配った寝技を駆使した交渉をしたのか。
してないでしょうねえ。
平野さんは鳩山政権の時の官房長官。辺野古基地の「最低でも県外」という鳩山さんの意向をネグレクトして、まんまと辺野古に押しつけた人ですよ。
3)はややこしい。
ご指摘は その通りです と言わなくちゃなりません。
いわゆる玉クラに集う、目立つ人たちは、前に書いた右派の「立憲」現象を狙っているのでしょう。
ただ、玉木さんは以前から、右派を包摂する試みをしていました。
国民民主・玉木代表の「安倍総理 憲法改正の議論やりましょう」発言について(2019.7.26)
このときは、国民民主党内に自民党からかなりの切り崩しがあったと思われます。
それを、玉木さんは思いっきり右に梶を切ることで、どうにか乗り切ったという一件です。
と同時に、右派を野党側から包摂していくのは自分の役目だ という意識を感じました。
とはいえ、いわゆる玉クラに集う人々は、包摂なんていうレベルではない人たちがたくさんいます。
だから、あの連中の勢いが本当に主導権をとってしまえば、たしかに玉木新党は野党と言うよりはファシストに近い物になるでしょう。
それは玉木さんが意図している、十数人の改革保守とは別物ですが、そういうリスクがないとは言えません。確かに。
リスクはありますが、よりベターな選択をするのであれば、自民に追いやるよりも、勝手にフィーバー始めるよりも、首に縄をつけておいた方が マシなんじゃないでしょうか。
玉木さんが分党を発表した11日の夜に、荻上チキさんがインタビューしたラジオの音声が公開されています。
【音声配信】「国民民主党が分党。玉木代表に直撃」(玉木雄一郎×荻上チキ)
2020年8月11日(火)放送分(TBSラジオ・Session-22)
ここで玉木さんが言っているとおりに進めるのであれば、私はそれでいいんじゃないか と思います。
最善ではないけど、仕方がない。
異常な玉クラを非難するのはわかるけれども、そういう連中を含めて野放しにしないためのリスクをとった玉木さん自身を、なんで寄ってたかって袋だたきにするのか 私は理解できません。
■
社民党も、ある意味同じ悩みを抱えているはずです。
右と左は反対ですが、立憲などと合流するのなら、もう政治やめる くらいの支持者や地方の党員はたくさんいるでしょう。
これも前に書きましたが、立憲は地方組織が極めて脆弱ですから、選挙になると社民党を頼ってきた地域はたくさんあるようです。
党員だっていまだ万単位でいるのです。
国民民主は、形式的には対等合併ですが、社民は完全に吸収併合です。事実以上。
そんな屈辱。しかも、党是である「社会民主主義」を捨てることになるわけです。
理念の一致とかじゃなくて、党是を捨てる。
日本に社会民主主義の政党がなくなる という事態を、多くの方は軽く考えているみたいですが、これかなり大変なことなのです。
本当は、政党なんて選挙互助会 と割り切って、派閥として党是や理念をバラバラに持ちつづけるのが、もっとも健全なあり方なのですが、それを許さない偏狭な政治風習が根強い日本では、吸収合併されたら社民主義は表舞台から消滅です。
そんな国は、独裁国家以外であるのかな??
Wkipedia 社会民主主義 主な政党
もちろん、社民党は分裂しなくても政党要件はかなり危ういので、分裂すれば国政政党ではなくなるでしょうが、多くの党員や支持者を路頭に迷わせないために、あえて合流せずに政治団体を設立するという流れも、たぶんあるのではないでしょうか。
これもまた、「分裂だ」と非難されるのでしょうが、そうした非難を覚悟の上で、支持者を政治的な絶望の淵からサルベージして、大きな野党とも連携する動きにしていこうという努力には、私は左右を問わず共感を覚えます。
私が参加している生活フォーラム関西も、自由党がなくなって、れいわ新選組もおかしな流れになってきて、なんだかどっち向いて良いのかよく分からなくなってきたように思います。
でも、そんな時だからこそ、ひとり一人の政治家をよく見て、応援するべきなのか、するべきではないのか、自分の頭で考えなくてはなりません。そういうことができるグループになれるか、まさに「自立と共生」が問われています。
少なくとも、玉木さんをボコボコにして正義の味方になったような気分を味わうのは、私がやりたいことではありません。
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