2016-09-29(Thu)
憲法フェスの総括とこれから その1 ~四年間をふり返りながら~
怒濤の憲法フェス大阪から2週間が過ぎた。
ようやく頭も冷えてきたので、落ち着いて私なりの総括をしておきたい。
以下は実行委員会としての公式なものではもちろんない。
数人の主だった人たちと話はしたうえでの、自分なりの考えなのでまずお断りしておく。
自分の経験や感想、ボランティアに参加してくれた人たちの意見、数人の人たちとの議論、そうしたものをまとめてみると、大きく3つの方向性があるように思った。
それを説明する前に、ひとつ前提になる話をする必要がある。
今回は、この前提をお話しするだけで、たぶん時間切れになるだろう。
■
憲法フェスが見据えているのは、来たるべき改憲の国民投票だろう。両院で2/3を取られた以上、どんな形であれ改憲の国民投票はやってくる。
最初はお試し改憲で、内容には何の問題もないように見えるかもしれない。とにかく国民に「改憲慣れ」をさせるために、既成事実をつくろうという作戦だ。
あるいは、民進が自民と大連立に走って、自民草案を丸呑みする可能性もないとは言えない。
形はまだ分からないけれども、いよいよ戦後初の改憲の国民投票が近々やってくることは間違いない。そこに向けて、まずは憲法のこと知っとこうよ。なんだかカタッ苦しい憲法に、普通に目を向けてみようよ。というのが今回の憲法フェスという試みだったことは、たぶん関わった人たちに異論はないだろう。
では、誰にそれを伝えたかったか。
ここが一番重要なところだ。
憲法フェスの企画についていうと、安倍政権の改憲に、「キッパリ賛成」でも「絶対反対」でもない人 であることは間違いない。
その人たちを、およそのくくりで考えるならば、国政選挙に行かない人たちとほぼ被るだろうから、近年の選挙の結果から「訴えたかった層」を少し分析してみる。
近年の選挙での棄権したおよその人数を見ると、2009年衆議院:3200万人、2012年衆議院:4200万人、2013年参議院:4900万人、2014年衆議院:4900万人、2016年参議院:4800万人 である。
ザックリ言うと、①何があっても選挙には行かない3000万人と、②政権交代では民主に投票したけど今は棄権している1000万人と、③その他いろいろな考えの800万人 と私は考えている。
※②の根拠については、過去記事の「届く言葉」を参照していただきたい。この記事では1200万人と書いているが、今回の選挙では約200万人が野党に戻っているので、差し引き1000万としている。
上記記事のデータに先日の参院選の結果を加えた表がこちら
自民も民進も増加しているのは、2012年には合計1700万もあった旧みんなや旧維新の票がばらけて入っていると考えられる。
こうした推移の中で、不動の棄権票3000万。
街頭で民主党のマニフェストに人が群がって持って行った2009年と、いくら配っても100人に1人も受け取ってもらえない今日では隔世の感があるが、その2009年でも投票に行かなかった人たちの多くは、正真正銘まったく関心がない、ということなのだろう。学校教育からも家庭環境からも、政治が完全に隔離されている日本では、そうした人がかなりの数いることは当然だといえる。
一方で、あまり関心はない人や、政治に不信感がある人や、選挙の無力さを感じる人などが、それでも政権交代には期待をかけたのが2009年だった。もしかしたら官僚天国をひっくり返して、生活もすこし楽になるかもしれない、と期待した。そして、ものの見事に裏切られて「やっぱり選挙なんて行くもんか」と思っている人が1000万。
見方を変えれば、本気で暮らしを良くしてくれる政党を心の片隅で待っている人たち とも言える。
この二つの層に対するアプローチは、おのずから違うものになるはずだ。
例えば街頭の演説にしても、前者は騒音としか思わないだろうし、後者は耳には入れるけれど「信用できない」と感じている。
であるならば、前者へのアプローチは「騒音」以外の方法が必要だし、後者へのアプローチは「信用」される何かが必要だ。
こうして見てみると、今回の憲法フェスは、あきらかに前者=何があっても選挙に行かない3000万人のほうを向いた企画であったことがわかる。政治的なアプローチを期待していた人には、むしろ厳しい面すらあった。
典型的だと思ったのが、大阪駅前での街頭フェス。15時に始まって実に40分間、延々とリズムだけの音楽が流れ続けた。たしかに気持ちのいいビートと大音量だったが、音楽に関心ない人や演説を聴きたい人にとっては、炎天下40分待ち続けるのは辛かったようだ。その一方で、集まった聴衆は明らかに普段の街宣などとはちがい、年齢層も若かく、普通の通りすがりのひともかなり足を止めていた。
■
私は2012年にリアルの政治と関わりをもって以来、ずっと後者=1200万人(当時)に注目してきた。民主党の裏切りに愛想を尽かしながら、でも自公には投票しない人たちにどうアプローチするのか。それを考えてきた。
様々な経験をしながら、一つの戦略を想定した。それは、保革の協力である。かつて500万と言われた小沢票と、どんなに踏みつけられても懲りずに活動をつづけている革新や市民系が連携すれば、きっと新しい力が生まれる。そう思って自分にできることをやってきた。
最初に始めたのは、小沢票の可視化だ。私のような新参の小沢派は、当然ながら強固な小沢グループ組織があるものと思っていた。政党名はいろいろ変わったけれども、とにかくその母体になる「なにか」があると思っていた。
ところが、中の人になってみると なにもない。陸山会はあっても、それは組織としては機能していない。各地方の陸山会員の集まりもない。そもそも交流すらない。
ならば党の地方ブロックを作ればいいのでは、と思ってもそういう動きもない。勝手に名乗るわけにもいかず、かといって党の了承やなんやと手順を踏んでいたら何年かかるかわからない。
苦肉の策でひねり出したのが生活フォーラム関西だった。党を支持する市民団体ならば勝手に作れるし、少なくともアクティブな支持者は集まることができるだろう。
元職の渡辺義彦さんに骨を折っていただき、当時でも交流のあった数人で議員会館に押しかけて小沢さんに直談判し、2014年9月に小沢さんの大阪講演会を実現し、それをキックオフとして生活フォーラム関西は出発することができた。
こうして、十分とはいえないまでも関西の小沢票の積極的な人たちの交流は実現することになった。
それとほぼ並行して考えていたのが、革新系市民運動のパワーを政治に活かすことだった。当時は、革新の人は「小沢はあかんやろ」と言っていたし、小沢派の人は「革新は無責任だ」と言っていた。意図的に両方に足を突っ込んでいた私は、リアルにその声を聞いていた。
ぶっちゃけ言ってしまえば、革新はものすごいパワーを持っているのに勝つ気がなく、小沢派は勝ちにこだわるくせに自主的に動くことをしない。それが2012~13年頃の私の実感だった。
この二つの勢力の良いところが重なれば、すごい力になるはずだ。そう考えた。
保守と革新の溝は、端で見ているよりかなり深刻で、そもそもお互いのことを知らない。レッテル張り的に「あいつらはこうだ」と思っているばかりで、リアルの姿を知らない。
そこで2014年の春に「政権交代虎の穴 安全保障と自衛隊」という討論会を企画した。社民党の服部良一さんと生活の党の渡辺義彦さんにパネラーになっていただき、総勢30数人の半分は自衛隊なんていらない、半分は自衛隊は必要、という人たちが集まってフリーに議論をした。もちろん結論を求める場ではなく、意外や意外、「敵」もまじめに考えているんだ、ということを知るための場になったと思っている。
記事→http://sensouhantai.blog25.fc2.com/blog-entry-1326.html
実際の映像は残念ながらUstreamが削除されてしまったので残っていないが、パネラーよりも参加者同士が喧々がくがくの、とても面白い企画だった。大阪での野党共闘の小さな小さな火種だったのではないかな とも思っている。
その後も、私自身は生活の党に軸足を置きながら革新系や市民系のデモやら集会やらにもできるだけ参加して、生活フォーラム関西のメンバーも可能な限り誘ってみた。また、生活フォーラム関西の企画にしばしば社民党の服部良一さんにご登場願ったりして、この夏の野党共闘の下地を少しずつ醸成していった。
ちなみに、大阪には渡辺義彦さんと服部良一さんという、きわめて糊代(のりしろ)の広いお二人がいたことで、たぶん他地方よりもスムーズに保革の連携は進んで行けたのではないかとおもう。糊代というのは渡辺さんがよく使う言葉で、「違うもの」がくっつくための余白。主義主張とは別の人間性のようなものだ。
■
そんなこんなで、この二人の人間力と、全国的な野党共闘の流れと、私の下地作りもほんの少し効あって、この夏の大阪での保革共闘はかなり進展した。とくにどちらかというと社民党に近い人たちが中心になったミナセン大阪が、保守の選挙に学べと渡辺さんの連続学習会をやったり、小沢さんが大阪に来た時は単独インタビューを敢行したりと、革新側が保守側を積極的に知ろうとする動きが活発だった。一つ山を越えたな、という感覚があった。
そうは言っても、まだまだバラバラな現状は改善されてはいない。生活フォーラム関西も数多い小沢ファンや太郎ファンにコンタクトできていないし、数多ある市民運動はあいかわらず各テーマごとにバラバラに運動にいそしんでいる。
国民から見て、なかでも「一度は民主党に期待した」人たちから見て、バラバラな集団はまったく魅力的ではない。力にならないからだ。ひょっとすると政権とるかも というリアリティのない集団には、コアなマニアしか集まらない。
ここまで下地のできてきた今、そして、残念ながら2/3を取られてしまって国民投票が迫っている今、バラバラを解消する動きがあるべきじゃないのか。私は7月の選挙戦の中で切実に思った。
保革を超えて、普段関わっている個別課題をも超えて、国民から見て一つの集団、一つの流れに見えること。これが今一番求められているのではないか。
ポデーモス。スペインのこの新政党は、実は共産党など多数の既成の政党に党籍をもつ人たちと、広場占拠運動に集まってきた市民や大学教授などの集合体だ。しかし、明確な政策とポデーモスという名前とパブロ・イグレシアスというシンボルを掲げて、国民に力強く訴えた。
状況も内容も違うけれども、日本でも同じ「パワー」が必要なのではないか。愛想を尽かしてしまった1000万人を振り向かせる唯一の方法なのではないか。
そんな思いを強くもちながら、東京での三宅洋平さんと山本太郎さんの選挙フェスの様子を見ていた。そこで、あれ!と思ったのは、太郎さんが「組織」のようなことに言及したことだった。
これまで、実働組織や全国ネットワークのようなことに関しては一貫して語らなかった太郎さんが、どうもそれらしきことに少しだけ触れていたように聞こえた。
よし、選挙が終わり次第、太郎さんに真意を聞いてこよう 私はそう決めた。
そのことが、今回の憲法フェスの実現にわずかながら影響を及ぼしているのだが、もう時間切れなので、ここからは次回にする。(実はここまで書くのにも3日かかってるし)
とにかく、憲法フェスが始まる直前までの私の問題意識は、そういうことだった。
1000万人を振りかえらせたい。
「ポデーモス」が必要だ。
そのための、最低限の条件は整ったのではないか。
2/3取られた以上、必要にも迫られている。
そして、太郎さんがチラッとその方向を向いたような気がした。
to be continued
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以下は実行委員会としての公式なものではもちろんない。
数人の主だった人たちと話はしたうえでの、自分なりの考えなのでまずお断りしておく。
自分の経験や感想、ボランティアに参加してくれた人たちの意見、数人の人たちとの議論、そうしたものをまとめてみると、大きく3つの方向性があるように思った。
それを説明する前に、ひとつ前提になる話をする必要がある。
今回は、この前提をお話しするだけで、たぶん時間切れになるだろう。
■
憲法フェスが見据えているのは、来たるべき改憲の国民投票だろう。両院で2/3を取られた以上、どんな形であれ改憲の国民投票はやってくる。
最初はお試し改憲で、内容には何の問題もないように見えるかもしれない。とにかく国民に「改憲慣れ」をさせるために、既成事実をつくろうという作戦だ。
あるいは、民進が自民と大連立に走って、自民草案を丸呑みする可能性もないとは言えない。
形はまだ分からないけれども、いよいよ戦後初の改憲の国民投票が近々やってくることは間違いない。そこに向けて、まずは憲法のこと知っとこうよ。なんだかカタッ苦しい憲法に、普通に目を向けてみようよ。というのが今回の憲法フェスという試みだったことは、たぶん関わった人たちに異論はないだろう。
では、誰にそれを伝えたかったか。
ここが一番重要なところだ。
憲法フェスの企画についていうと、安倍政権の改憲に、「キッパリ賛成」でも「絶対反対」でもない人 であることは間違いない。
その人たちを、およそのくくりで考えるならば、国政選挙に行かない人たちとほぼ被るだろうから、近年の選挙の結果から「訴えたかった層」を少し分析してみる。
近年の選挙での棄権したおよその人数を見ると、2009年衆議院:3200万人、2012年衆議院:4200万人、2013年参議院:4900万人、2014年衆議院:4900万人、2016年参議院:4800万人 である。
ザックリ言うと、①何があっても選挙には行かない3000万人と、②政権交代では民主に投票したけど今は棄権している1000万人と、③その他いろいろな考えの800万人 と私は考えている。
※②の根拠については、過去記事の「届く言葉」を参照していただきたい。この記事では1200万人と書いているが、今回の選挙では約200万人が野党に戻っているので、差し引き1000万としている。
上記記事のデータに先日の参院選の結果を加えた表がこちら
自民も民進も増加しているのは、2012年には合計1700万もあった旧みんなや旧維新の票がばらけて入っていると考えられる。
こうした推移の中で、不動の棄権票3000万。
街頭で民主党のマニフェストに人が群がって持って行った2009年と、いくら配っても100人に1人も受け取ってもらえない今日では隔世の感があるが、その2009年でも投票に行かなかった人たちの多くは、正真正銘まったく関心がない、ということなのだろう。学校教育からも家庭環境からも、政治が完全に隔離されている日本では、そうした人がかなりの数いることは当然だといえる。
一方で、あまり関心はない人や、政治に不信感がある人や、選挙の無力さを感じる人などが、それでも政権交代には期待をかけたのが2009年だった。もしかしたら官僚天国をひっくり返して、生活もすこし楽になるかもしれない、と期待した。そして、ものの見事に裏切られて「やっぱり選挙なんて行くもんか」と思っている人が1000万。
見方を変えれば、本気で暮らしを良くしてくれる政党を心の片隅で待っている人たち とも言える。
この二つの層に対するアプローチは、おのずから違うものになるはずだ。
例えば街頭の演説にしても、前者は騒音としか思わないだろうし、後者は耳には入れるけれど「信用できない」と感じている。
であるならば、前者へのアプローチは「騒音」以外の方法が必要だし、後者へのアプローチは「信用」される何かが必要だ。
こうして見てみると、今回の憲法フェスは、あきらかに前者=何があっても選挙に行かない3000万人のほうを向いた企画であったことがわかる。政治的なアプローチを期待していた人には、むしろ厳しい面すらあった。
典型的だと思ったのが、大阪駅前での街頭フェス。15時に始まって実に40分間、延々とリズムだけの音楽が流れ続けた。たしかに気持ちのいいビートと大音量だったが、音楽に関心ない人や演説を聴きたい人にとっては、炎天下40分待ち続けるのは辛かったようだ。その一方で、集まった聴衆は明らかに普段の街宣などとはちがい、年齢層も若かく、普通の通りすがりのひともかなり足を止めていた。
■
私は2012年にリアルの政治と関わりをもって以来、ずっと後者=1200万人(当時)に注目してきた。民主党の裏切りに愛想を尽かしながら、でも自公には投票しない人たちにどうアプローチするのか。それを考えてきた。
様々な経験をしながら、一つの戦略を想定した。それは、保革の協力である。かつて500万と言われた小沢票と、どんなに踏みつけられても懲りずに活動をつづけている革新や市民系が連携すれば、きっと新しい力が生まれる。そう思って自分にできることをやってきた。
最初に始めたのは、小沢票の可視化だ。私のような新参の小沢派は、当然ながら強固な小沢グループ組織があるものと思っていた。政党名はいろいろ変わったけれども、とにかくその母体になる「なにか」があると思っていた。
ところが、中の人になってみると なにもない。陸山会はあっても、それは組織としては機能していない。各地方の陸山会員の集まりもない。そもそも交流すらない。
ならば党の地方ブロックを作ればいいのでは、と思ってもそういう動きもない。勝手に名乗るわけにもいかず、かといって党の了承やなんやと手順を踏んでいたら何年かかるかわからない。
苦肉の策でひねり出したのが生活フォーラム関西だった。党を支持する市民団体ならば勝手に作れるし、少なくともアクティブな支持者は集まることができるだろう。
元職の渡辺義彦さんに骨を折っていただき、当時でも交流のあった数人で議員会館に押しかけて小沢さんに直談判し、2014年9月に小沢さんの大阪講演会を実現し、それをキックオフとして生活フォーラム関西は出発することができた。
こうして、十分とはいえないまでも関西の小沢票の積極的な人たちの交流は実現することになった。
それとほぼ並行して考えていたのが、革新系市民運動のパワーを政治に活かすことだった。当時は、革新の人は「小沢はあかんやろ」と言っていたし、小沢派の人は「革新は無責任だ」と言っていた。意図的に両方に足を突っ込んでいた私は、リアルにその声を聞いていた。
ぶっちゃけ言ってしまえば、革新はものすごいパワーを持っているのに勝つ気がなく、小沢派は勝ちにこだわるくせに自主的に動くことをしない。それが2012~13年頃の私の実感だった。
この二つの勢力の良いところが重なれば、すごい力になるはずだ。そう考えた。
保守と革新の溝は、端で見ているよりかなり深刻で、そもそもお互いのことを知らない。レッテル張り的に「あいつらはこうだ」と思っているばかりで、リアルの姿を知らない。
そこで2014年の春に「政権交代虎の穴 安全保障と自衛隊」という討論会を企画した。社民党の服部良一さんと生活の党の渡辺義彦さんにパネラーになっていただき、総勢30数人の半分は自衛隊なんていらない、半分は自衛隊は必要、という人たちが集まってフリーに議論をした。もちろん結論を求める場ではなく、意外や意外、「敵」もまじめに考えているんだ、ということを知るための場になったと思っている。
記事→http://sensouhantai.blog25.fc2.com/blog-entry-1326.html
実際の映像は残念ながらUstreamが削除されてしまったので残っていないが、パネラーよりも参加者同士が喧々がくがくの、とても面白い企画だった。大阪での野党共闘の小さな小さな火種だったのではないかな とも思っている。
その後も、私自身は生活の党に軸足を置きながら革新系や市民系のデモやら集会やらにもできるだけ参加して、生活フォーラム関西のメンバーも可能な限り誘ってみた。また、生活フォーラム関西の企画にしばしば社民党の服部良一さんにご登場願ったりして、この夏の野党共闘の下地を少しずつ醸成していった。
ちなみに、大阪には渡辺義彦さんと服部良一さんという、きわめて糊代(のりしろ)の広いお二人がいたことで、たぶん他地方よりもスムーズに保革の連携は進んで行けたのではないかとおもう。糊代というのは渡辺さんがよく使う言葉で、「違うもの」がくっつくための余白。主義主張とは別の人間性のようなものだ。
■
そんなこんなで、この二人の人間力と、全国的な野党共闘の流れと、私の下地作りもほんの少し効あって、この夏の大阪での保革共闘はかなり進展した。とくにどちらかというと社民党に近い人たちが中心になったミナセン大阪が、保守の選挙に学べと渡辺さんの連続学習会をやったり、小沢さんが大阪に来た時は単独インタビューを敢行したりと、革新側が保守側を積極的に知ろうとする動きが活発だった。一つ山を越えたな、という感覚があった。
そうは言っても、まだまだバラバラな現状は改善されてはいない。生活フォーラム関西も数多い小沢ファンや太郎ファンにコンタクトできていないし、数多ある市民運動はあいかわらず各テーマごとにバラバラに運動にいそしんでいる。
国民から見て、なかでも「一度は民主党に期待した」人たちから見て、バラバラな集団はまったく魅力的ではない。力にならないからだ。ひょっとすると政権とるかも というリアリティのない集団には、コアなマニアしか集まらない。
ここまで下地のできてきた今、そして、残念ながら2/3を取られてしまって国民投票が迫っている今、バラバラを解消する動きがあるべきじゃないのか。私は7月の選挙戦の中で切実に思った。
保革を超えて、普段関わっている個別課題をも超えて、国民から見て一つの集団、一つの流れに見えること。これが今一番求められているのではないか。
ポデーモス。スペインのこの新政党は、実は共産党など多数の既成の政党に党籍をもつ人たちと、広場占拠運動に集まってきた市民や大学教授などの集合体だ。しかし、明確な政策とポデーモスという名前とパブロ・イグレシアスというシンボルを掲げて、国民に力強く訴えた。
状況も内容も違うけれども、日本でも同じ「パワー」が必要なのではないか。愛想を尽かしてしまった1000万人を振り向かせる唯一の方法なのではないか。
そんな思いを強くもちながら、東京での三宅洋平さんと山本太郎さんの選挙フェスの様子を見ていた。そこで、あれ!と思ったのは、太郎さんが「組織」のようなことに言及したことだった。
これまで、実働組織や全国ネットワークのようなことに関しては一貫して語らなかった太郎さんが、どうもそれらしきことに少しだけ触れていたように聞こえた。
よし、選挙が終わり次第、太郎さんに真意を聞いてこよう 私はそう決めた。
そのことが、今回の憲法フェスの実現にわずかながら影響を及ぼしているのだが、もう時間切れなので、ここからは次回にする。(実はここまで書くのにも3日かかってるし)
とにかく、憲法フェスが始まる直前までの私の問題意識は、そういうことだった。
1000万人を振りかえらせたい。
「ポデーモス」が必要だ。
そのための、最低限の条件は整ったのではないか。
2/3取られた以上、必要にも迫られている。
そして、太郎さんがチラッとその方向を向いたような気がした。
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