奥義の書『チョコレートはなぜ美味しいのか』
年間拝読ベスト入り!
チョコレートの科学というよりは、これは「食品における油脂の結晶を探求する科学」。
極上のチョコレートと、バレンタインに手作りしちゃうチョコレートの「口どけの心地よさの差」はなぜ生じるのか。
高級チョコを素人が溶かして作るチョコは全然高級じゃなくなっちゃうわけがここにある!
「飲むチョコレート」はアステカ帝国でもつくっていましたから現地でできますが、問題は「食べるチョコレート」。カカオの産地である熱帯雨林地方は気温が高いため、ココアバターが固まらないのです。
食品科学は「複雑系のサイエンス」ということになるでしょう。これだけ多成分の物質を扱いながら、そこにあるはずの法則性を探る科学は、いわば「究極の複雑系」なのです。
マヨネーズを油水分離させるのは難しいことではありません。冷凍庫にひと晩入れて、凍らせるだけ。いったん凍ったマヨネーズは、解凍すると油と水に分離するのです。
カカオの原産地であるメソアメリカ地域(メキシコおよび中央アメリカ北西部)で「苦い水=チョコレート」かつくられるようになったのは、いまからおよそ4000年前、紀元前2000年ぐらいのことです。
当時のメソアメリカには、カカオはあっても砂糖はありません。彼らは唐辛子などのスパイスをチョコレートに入れて飲んでいました。
注目本その2 チョコレートはなぜ私たちをこうも魅了するのか? その秘密を食品物理学の観点から検証する1冊。「美味しければいいじゃん!」なんて言わずに、科学で紐解いたチョコの謎を知ると、その味わいもさらに広がるものです。
— ときわ書房志津ステーションビル店 (@tokiwashizu) 2017年2月14日
「チョコレートはなぜ美味しいのか」(集英社新書) pic.twitter.com/KZfszhKI9u
「チョコレートはなぜ美味しいのか」
— Rusee (@Hera_Rusee) 2016年12月23日
チョコ好きなら買わなきゃ!(使命感)
チョコの結晶構造は6種類ありますが、口のなかでとろけるチョコは1つだけ!という話から食品物理学の最先端に上手にエスコートしてくれます。
ついでになぜ空が青いかも教えてくれます。
あーチョコ食べたい。#新書
ちなみに”チョコレートはなぜ美味しいのか”って新書は理系向けでとても面白かったのでおすすめ。
— ネコバスP (@NekobusP) 2018年4月23日
『チョコレートはなぜ美味しいのか』
上野聡
集英社新書
チョコやマヨネーズをはじめとする油脂含有食品を製造販売する企業にとって、食品油脂の性質の把握は死活問題なわけで、そこはもう企業秘密のベールが厚〜いストイックな世界。
著者さんは「食品に含まれるさまざまな油脂の変化と性質」を探っている研究者さんなんだけど、その探求の仕方がハンパない。
テンパリングの代わりに超電導磁石や超音波をふるまっちゃう上に、フォトンファクトリーやSpring-8など、ガチの高エネルギー放射光施設を用いてチョコレートの結晶構造分析しちゃうという、もう世界最先端の勢い。
食品科学の分野は、工業製品類とは違って、混じりこむ成分が複雑多岐にワヤクチャな世界。ふつうの純粋な結晶化学とはまた一味違うわけで、複雑系の迷路世界を工夫をこらして推し進む醍醐味が味わえます。
『チョコレートはなぜ美味しいのか』に名前が出てくる大型放射光施設、SPring-8、和歌山毒物カレー事件での毒物組成を調べる為にも利用されていたのですね……
— みこ (@Choco_cog) 2019年1月27日
4:05 - 2019年1月27日
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『ミニ特集:食べ物や栄養の本 その1』
『ミニ特集:食べ物や栄養の本 その2』
『ミニ特集:食べ物や栄養の本 その3』
『ミニ特集:食べ物や栄養の本 その4』