来週の「シネマハスラー」は『アウトレイジ』と『ヒーローショー』らしい(「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」TBSラジオ、土21:00-24:30)
○来週の「シネマハスラー」は『アウトレイジ』と『ヒーローショー』らしい(「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」TBSラジオ、土21:00-24:30)
※若干加筆(2010年6月25日)
今週(2010年6月26日(土))の「シネマハスラー」(「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」TBSラジオ、土21:00-24:30)では、北野武[監督]『アウトレイジ』(2010年)と井筒和幸[監督]『ヒーローショー』(2010年)が取り上げられるらしい。
「らしい」というのも、このあいだの土曜日は、いみじくも夕方に北野武[監督]『アウトレイジ』(2010年)を観て、そのままハシゴしてレイト・ショーの『息もできない』を観ていたので帰宅が遅く、ラジオは聴いていなかった。
『アウトレイジ』——どうでしょう?
○::: 6.12公開・北野武監督最新作「アウトレイジ」:::
『アウトレイジ』予告編
『アウトレイジ』を観た人で、面白かったという人いるのかな?
もしいたら、どこがどう面白かったのか聞いてみたい。
水道橋博士・町山智浩・大根仁などが褒めていたので、とても期待していたのだけれど、はっきり言って期待はずれ。
○TBS RADIO 2010年4月9日(金) 映画評論家 町山智浩さん - 小島慶子 キラ☆キラ
※コレを聴いてから観に行くと、とても解りやすい。○6月18日(金)「DigTag 大根仁の言い逃げ番長」(Dig | TBS RADIO 954kHz)
なんだか、筋書きだけの映画を観せられた感じ。エンターテインメント路線といえばそうかもしれないけれど、それほどエンターテインニングでもなかった。
確かに、タイトルの出るところや、新幹線のシーンや、歯医者のシーンや、椎名桔平のラスト・シーンなど、映像として印象的な所はあったけれど、作品としての面白さは、それとは別の話。
随所で怒号が飛び交う、全員悪人の映画のワリには、どの登場人物にも、街ですれ違うヤクザがもっているような威圧感や本職っぽい「匂い」がない。ストーリーを展開させるための駒という感じのフラット・キャラクター。まぁ、ラストのどんでん返しがあるので、個々のキャラクターの内面をあまり描き込めないというのはあるんだろうけれど。
それこそ、井筒和幸[監督]『ヒーローショー』(2010年)の鬼丸兄弟のほうがよっぽど怖かった。北野作品のヤクザものなら『ソナチネ』(1993年)のほうがシビレるし、『BROTHER』(2001年)のほうが愉しめる。
個々の登場人物の内面に踏み込まないヤクザ映画は、私のようなカタギの人間にはやっぱり他人事。
あと、出てくる銃のいくつかがオモチャっぽく見えた。それに、本物のヤクザがどんな銃を使っているのかは知らないけれど、H&K MP5Kをぶっ放されても、なんだかしっくりこない。SWATっぽい。
劇場には、中高年、なかでも「高」のほうのお客が意外と多かった。往年のヤクザ映画のファンかな?
どうしてピントこなかったのか改めて考えてみたら、いつもの北野作品によくある心象風景を映すような不思議なカットがなかった。あれがダメだという人もいるかもしれないけれど、私はああうカットが醸成する字余りっぽい不安定さが意外と好き。
それに話がきちんと完結しているので、映画の魔法がエンド・ロールの前に消えてしまって、余韻を家に持ち帰ることが出来なかったというのも大きいかもしれない。
『息もできない』——コレはスゴい!
○息もできない(公式サイト)
『息もできない』予告編
※朝鮮語の予告編では、例の「シーバルマ」にピー音が入ってた。
「ニュース探求ラジオ Dig」(TBSラジオ、2010年5月28日(金) 22:00- 24:50)でTBSの水野真裕美アナウンサーがヤン・イクチュン[監督]『息もできない』(2008年)は面白かったけれど、『ヒーローショー』は怖くて嗚咽して泣いたという話が紹介されてた。
○5月28日(金)「Digテーマ3、DigTag 大根仁の言い逃げ番長」(Dig | TBS RADIO 954kHz)
理由は違うかもしれないけれど、私も、『息もできない』の暴力描写に比べて、『ヒーローショー』のそれのほうがキツかった。
『息もできない』の暴力は確かにエグい。しかし、あの暴力そのものは許容できなくても、あの暴力の背後にある心情は理解できるように描かれているので、サンフン(ヤン・イクチュン 양익준)に感情移入できる。もっとも、暴力を肯定するつもりはないけれど。
『息もできない』の暴力はなんらかの内面の発露であるのにたいして、『ヒーローショー』の暴力は、言わば、からっぽの暴力、暴力が暴力をよぶ暴力、暴力のための暴力。行為者本人のコントロールを離れて、暴力が行為者を支配するに至るところが怖い(そこが『ヒーローショー』の面白さ)。
閑話休題、宇多丸が言っていたように、女子高生のヨニ(キム・コッピ 김꽃비)が、ストーリが進むにつれてどんどん可愛く見えてくるのが不思議だった。最初は「ビミョ〜だな」と思ってたのにね。
こういう作品が興行的にも作品的にも成功を収めるあたり、韓国映画の地肩と強さを感じた。
忘れられない映画になりそう。みんなも観たほうがいいよ。
『ヒーローショー』——宇多丸の評が気になる
このブログでは、さんざん『ヒーローショー』を推してきたので、宇多丸の評が愉しみ。
○井筒和幸[監督]『ヒーローショー』(2010年)がスゴい!(当ブログ内)
でも、作品としては『息もできない』のほうが上かな。
土曜日が待ち遠しい。
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コメント
僕は「アウトレイジ」を高く評価しています。「ソナチネ」以上とは言いませんが、あのぞわぞわ、ざわざわする不吉な予感に満ちたあの空間の切り取り方、空気の扱い方。震え方がいいと思いました。中盤までの間抜けなカットのちりばめ方も好きです。役者も佐藤慶とか渡辺文夫戸浦六宏、殿山泰司、成田三樹夫、室田日出男といった映画ならでは悪い顔、不敵な顔を彷彿とさせてくれました。
「ヒーローショー」は残念ながら未見です。
「息もできない」は見終わった後、かなり興奮しましたが、じつは後でちょっと熱が冷めてしまいました。なにしろ早稲田松竹で観たポン・ジュノ二本立てがあまりにすごかったので…
失礼しました。
投稿: 月本夏海 | 2010年6月22日 (火) 23時28分