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◯仏ル・モンド紙の坂本龍一追悼記事を訳してみました。

仏ル・モンド紙の坂本龍一追悼記事を取り急ぎ訳してみました。

○Ryuichi Sakamoto, compositeur pionnier des musiques électroniques, est mort

坂本龍一、死去。電子音楽の先駆者

電子音楽と数々の映画音楽で著名な日本人が、2020年に発覚したガンで3月28日に71歳で亡くなった。

『戦場のメリークリスマス』『ラストエンペラー』のサウンドトラックを手がけた、電子音楽と数々の映画音楽で著名な日本人が、2020年に発覚したガンで3月28日に71歳で亡くなったと、彼のスタッフが4月2日に公式ツイッターで発表した。2014年から患っていた中咽頭がんが寛解した後、2021年の初め、坂本は直腸ガンを患っていることを公表した。

繊細な作曲法で、凝縮された強い感情をミニマリズムで掘り起こす、学識ある洗練された作曲家は「最後まで音楽と共にある日々」だった。葬儀は近親者のみで済ませたいというアーティスト自身の遺志を説明するプレスリリースには、そう添えられていた。

彼が映画音楽で国際的に一般に知られるようになったのは、第二次世界大戦中のアジアの捕虜収容所に関する反体制的な映画、大島渚監督の『戦場のメリークリスマス』が最初だった。同作では、デイヴィッド・ボウイ、北野武とならんで俳優としても異彩を放っている。

1988年には、ベルナルド・ベルトリッチ監督の『ラストエンペラー』での共作者として米アカデミー作曲賞を受賞している。ベルトリッチ監督は、その次の作品『シェルタリング・スカイ』（1990）など、いくつかの作品で坂本と共作している。

坂本龍一は、ブライアン・デ・パルマ、ペドロ・アルモドヴァルとも共作していて、最近では、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の『レヴェナント: 蘇えりし者』（2015）のオリジナル・サウンドトラックを書き下ろしている。

ドビュッシーの熱狂的愛好者

1952年1月17日に東京で生まれた坂本は、彼の父が、大江健三郎や三島由紀夫などの作家の編集者であったため、文化と芸術を浴びるように成長した。

彼は非常に幼い頃からピアノを始める。思春期には、バッハやハイドンとともに、ビートルズやローリング・ストーンズが彼を魅了した後、ドビュッシーに熱狂的に傾倒してゆく。

民族音楽学と作曲法を修めたことで、「教授」の愛称で呼ばれた坂本は、1970年の高度成長期の東京で創作活動を開始する。

「昼間は大学でコンピューターを操作してジャズを演奏し、午後にはウエストコーストのサイケデリックロックと初期クラフトワークのレコードを買い漁って、夜はフォークを演奏していた」。坂本は2018年に英ガーディアン紙で振り返った。

1978年に、細野晴臣、高橋幸宏とともに、イエロー・マジック・オーケストラ（YMO）結成する。彼らの強力なエレクトロ・ポップは後に、テクノ、ヒップホップ、J-ポップに多大な影響を及ぼすことになり初期テレビゲームのシンセサイザー音楽にインスピレーションを与えることになる。

YMOの成功は日本で社会現象になり、彼らののミュージックビデオは西洋でも注目されることになる。エレクトロ・ファンク「COMPUTER GAME - FIRECRACKER」はアメリカのヒップホップの先駆者アフリカ・バンバータにサンプリングされ、「ビハインド・ザ。マスク」はマイケル・ジャクソンやエリック・クラプトンにカバーされることになる。

実見音楽家

1983年末のYMO解散後、坂本龍一はソロで活動をおこない、キャリアを通じて様々なスタイルの音楽を模索する。

坂本は、前衛芸術家、イギー・ポップのようなパンクロックのスターたち、カーボベルデの歌手セザリア・エヴォラ、ブラジルのカエターノ・ヴェローゾ、セネガルのユッスー・ンドゥールなどと様々なコラボレーションをおこなう。「僕は世界市民でいたい。ヒッピーっぽく聞こえるかもしれないけど、それが好きなんだ」と、1990年以降ニュー・ヨーク在住の坂本龍一は語った。

象牙の塔の芸術家とはほど遠い坂本龍一は、社会問題にも非常に敏感であった。長年の戦闘的エコロジストであった彼は、2011年3月の東日本大震災以降、日本の反原発運動の主導的人物であった。

なかでも、彼は、2012年に東京近郊で反原発の大規模コンサートのオーガナイザーを務めた。そこで坂本は、皮肉ではなく、クラフトワークへの愛を語った。「クラフトワーク」はドイツ語で「発電所」の意味で、彼らの代表曲は「Radioactivity」だ。

坂本は2007年に日本・フィリピン・インドネシアの森林保全団体 more treesも設立した。坂本龍一は2回の結婚・離婚歴があり、1980年生まれのJ-ポップ歌手の坂本美雨の父であり、歌手でピアニストである矢野顕子のパートナーであったことで知られている。

※当ブログ内の関連エントリー：

◯「我々は労働力を呼んだが、やってきたのは人間だった」（マックス・フリッシュ）の出典の文章を訳してみた。

◯フランスの通信社AFPの記事「東京2020五輪キーマンの判事に対する苦しい言い訳」を訳してみました。

◯菅直人の脱原発フランス訪問に関する仏『ル・パリジャン』紙の記事を訳してみました。

◯伊藤詩織さんに関する『ル・モンド』紙の記事を訳してみました。

◯『ル・モンド』紙の『この世界の片隅に』評を訳してみました。

◯翻 訳：仏ル・モンド紙「福島：日本の司法、反原発運動家を訴追、東電を無罪放免」："Fukushima : la justice japonaise poursuit les antinucléaires et blanchit Tepco", Le Monde, 12 septembre 2013

◯ル・モンド紙、震災と原子力ロビーに関する記事を翻訳してみました：「福島、罪深き沈黙」 "Fukushima, silences coupables", Le Monde, 26 Mars 2011

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