ラジオな一曲(12):川村かおり「僕たちの国境」(1990年)
○ラジオな一曲(12):川村かおり「僕たちの国境」(1990年)
※若干加筆(2009年8月3日)
・川村かおり「僕たちの国境」(1990年)
川村カオリが亡くなった。2009年7月28日のことだったそうだ。享年38歳。若すぎる。
川村カオリは「川村かおりのオールナイトニッポン」(ニッポン放送、1989年4月~1991年11月、土27:00-29:00)を担当していた。放送期間中、私は既にラジオを聴き始めていたはずだ。私の田舎では平日の2部はネットされていなかったが土曜2部はネットされていた。よって聴く環境は整っていた。しかし、聴いた記憶がほとんどない。
それでも記憶を辿ると「あまつどん」のコーナーなどがかすかに想い出される。「在日ロシヤ人のかたと電話をつないでみましょう」みたいな回もあったような気がする。
でも、ここ10年ぐらいは彼女のことを想い出すこともなく、訃報に触れて彼女の名前を久びさに耳にし、ガン闘病中だったことを初めて知った。神保町に本を買いに行く時にいつも傍を通るお茶の水のニコライ堂で告別式が開かれたと知り、川村カオリの存在を初めて身近に感じられたというのも皮肉な話だ。
テレビやラジオで繰り返されるガン闘病の話、繰り返し流れる「ZOO」(1988年)。川村カオリという存在が、どんどん括弧に括られて、丸められて、要約されていく。人の一生の因数分解が始まる。共通項が切り捨てられるとシンプルな数式だけが最後に残る。
彼女の人生にはもっと多様な側面があったはず。他にも沢山の良い曲があったはず。人の記憶はあっという間に失われ、改竄される。判で押したような情報の繰り返しは、人の記憶を上書きし、ワイドショーの資料映像のように画一化してしまう。
あるいは「ガンと闘っているシングル・マザーのシンガー」として彼女のことを初めて知ったという人もいるかもしれない。そういう人や、熱心なファンでなかった私のような者に比べて、「川村かおりオールナイトニッポン」のリスナーだった人は、画一化されつつある像の向こう側をより多く知っている。彼女の人生の豊穣な細部の一端に、より濃厚に触れることができたはず。
「川村かおりオールナイトニッポン」のリスナーだった人は当時のことを想い出してほしい。エア・チェックしたテープが手許に残っている人は聴き返してほしい。ブログでも何でも良いので、その記憶と経験を公表して他の人と共有してほしい。
ラジオでは「ZOO」ばかり流れるが、私にとって川村カオリといえば「僕たちの国境」(1990年)だ。この歌のときは「川村かおり」という表記だったと思う。私の記憶の中の川村カオリはこの歌を歌っている。歌詞にラジオも出て来るので、このブログにはふさわしいかもしれない。
・川村かおり「僕たちの国境」(1990年)
悲しいぐらいに白い雪がふる朝は
この街中が僕の画用紙になる
君と僕とのあいだの国境線さえ
白い世界の中に埋もれてしまうよ
言葉だけじゃ心はまっすぐに伝わらないし
涙だけじゃよけいに悲しみがつのるから
国境線を越えて 今すぐ会いに行くよ
どんな人が住んでる どんな花が咲いてる
君の胸の大地には
泣いてるように聞こえる木枯らしの夜は
電話線が心の手がかりなんだ
冗談ばかりを言ってやりすごしてたら
君にも本当の事が言えなくなりそう
S.O.S届けてよ僕が必要だったらさ
胸の奥のラジオが君の声ひろうから
国境線を越えて かならず会いに行くよ
どんな水が湧いてる どんな雨がおちてる
君の胸の大地には
国境線を越えて 今すぐ会いに行くよ
どんな風より速く どんな雲より高く
君の胸の大地まで
国境線を越えて かならず会いに行くよ
国境線を越えて 今すぐ会いに行くよ
La La La………
・川村かおり「僕たちの国境」(1990年)
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コメント
「天津丼(あまつどん)」、「食はクリエイティブだ」、「ゴルバチョフへの手紙」、「美川憲一のファンキーナウ」・・・懐かしいコーナーです。当時は今よりお金が無かったので、長時間タイマーで録音できる機材なんかも持って無くて、勉強しながらとか、夜中まで遊び過ぎて電車が無くなって凍えそうな冬の寒空を歩きながらとか、元気な川村かおりさんの声を生で聞いていましたね。
「僕たちの国境」、ちょうどオールナイトをやっていた頃の曲ですね。たまたま残っている音源がこの曲のリリース直後のもので、オープニングナンバーになっていました。川村カオリさんが亡くなった日に久しぶりに聞きました。
私の記憶の中の川村かおりさんの歌は「神様が降りてくる夜」ですね。私が「川村かおりのオールナイトニッポン」を聞いていた頃、よくラジオから流れていました。そして「キャンプファイヤー・ソング」。私がよく聞いていた頃の「川村かおりのオールナイトニッポン」のエンディング曲でした。楽しい土曜深夜のひとときの終わりを告げる曲でした。
投稿: 河内の政 | 2009年8月 3日 (月) 21時34分