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TOYOTA SOUND IN MY LIFE(TOKYO FM、2009年4月18日(土)15:00-15:25)

○「TOYOTA SOUND IN MY LIFE」(TOKYO FM、2009年4月18日(土)15:00-15:25)

鈴木万由香 vs エレファントカシマシ宮本浩次

「TOYOTA SOUND IN MY LIFE」(TOKYO FM、4月18日(土)15:00-15:25)の放送中に、DJの鈴木万由香とエレファントカシマシ宮本浩次がモメたとのこと。渋谷スペイン坂スタジオでの公開生放送で、インターネットでもライヴ中継されていたようだ。私はリアル・タイムでは聴いていない。

ちなみにこの件については、既に双方が自身のサイトで謝罪している:

4月21日  お詫び (蜻蛉日記)(鈴木万由香ブログ)

お詫び(エレファントカシマシOffcial Web Site)
※現在は削除されている。早くねぇ?

よって、何も今さら蒸し返す事もないのだが、動画がYouTubeにアップされていると聞きつけて、下衆な野次馬根性で早速聴取:


「TOYOTA SOUND IN MY LIFE」
(TOKYO FM、2009年4月18日(土)15:00-15:25)

 

率直に言うと、聴いていて気分が悪い。私は気が小さいので、こういうのは本当に苦手だ。耐えられないよ、ホント。

どっちもどっち

ネットでは「どっちが悪いか?」という話で盛り上がったようだが、ファンの数で勝っている宮本に分があるのは明らかなので、「ここは、一丁逆張りしてみるか」と思ったが、残念ながら、鈴木を弁護する足がかりが何もない。

ずいぶん前から鈴木万由香(以前は「鈴木万由子」じゃなかったっけ)の名前は知っているので、それなりのキャリアを積んで来ている人のはずなのに。

鈴木は「またやられてしまいました。私いま、3年前ぐらい……何年前だったっけな……前の記憶が蘇ってきて、宮本さんにいつも冷や汗をかかされてしまうという現状なんですけども」と言っている。詳しくは知らないが、以前にも何かモメた、あるいはそれに準ずることがあったのだろうか。それにしても、さすがに、土曜の昼下がりの公開生放送で「喧嘩売られてます、今?」はないよ。

ともあれ、人格攻撃をしても仕方がないので、DJあるいは音楽レヴュアーとしての鈴木に軸を移して言うと、パンクを聴いて「オードヴル」だとか「フル・コース」に譬えるセンスに私はゲンナリした。

「わっ、食べにくい !!」をハイ・ライトにもってくるのも良い選択ではない。レトリックとしては、直後の「実際呑み込んでみると、こんな美味しいもんないや」という部分が強調されているのだが、音声言語による表現のインパクトの強さでは「わっ、食べにくい !!」に負けてしまう。洒落た巧い事を言おうとして策に溺れてしまった感じ。もちろん、通して聴けば真意は理解できる。ただ、話し言葉においては、相手によっては、論理だけで真意が伝わるとは限らない。

そして、アルバムを聴いたのであれば、もう少し具体的な批評なり感想なりをぶつけたほうがいい。モメなければ、そう展開したのかもしれない。1曲だけでも、歌詞の1行だけでもいい、自分がきちんと内在的に聴いたという形跡を言葉で伝えれば良かったのだ。音楽番組のDJってそういう稼業じゃ? そうすれば宮本もあんな感じにはならなかっただろう。

それでも仮に喧嘩になったら、白黒つくまでやればいい。きちんと曲を聴き込んでいて、確かな批評眼の裏打ちがあれば、感情的な反射に陥る事なく、二の矢三の矢がいくらでも打てるし、太刀打ちもできる。その時には、鈴木に理があると感じるリスナーも少くないだろう。「エレカシ宮本相手に一歩も退かなかった女」として、肝が据わっていると一目置く人すら出てくるはず。

ただし、問題になった箇所は、鈴木の発言のなかではむしろ多少は気が利いているほうだ。鈴木の他の質問を聴いてみるとわかるが、ほとんどが質問の相手が宮本である必然性がない。誰にでも聞けるような話ばかり。

この番組に限らず大半の音楽番組について言えることでもあるのだが、作品の内容に踏み込まない皮相的な感想や譬え話は、本人よりも聴いているほうが恥ずかしくなったり、鼻白んだりしてしまうことに、喋っている人たちはどうして気づかないのだろうか? ひょっとして、ふだんラジオを聴いてないのかなぁ?

もちろん宮本も大人げない。「悪気がねぇのは解ってるけど」と言うのなら、さすがに、土曜の昼下がりの公開生放送で「喧嘩じゃねぇだろ? おめぇが売ってんだろ、バカ」「ゲロで吐け」はないよ。少なくとも宮本がゴネるまでは、鈴木は、拙くても善意でエレファントカシマシの曲を紹介しようとしていたわけだし。

「食べにくい」音楽

私の場合、エレファントカシマシを初めて見たのはテレビで「奴隷天国」(1993年)という曲を歌っている姿だった。客に毒づくように歌う姿に、客はキョトンとして退き気味だった。全くテレビ向きではなかった。私は「怖いなぁ」と思ったし、今でも基本的にその印象のままだ。「今宵の月のように」(1997年)で大ブレイクしたとき、「こんな感じだったっけ? ずいぶん丸くなったなぁ」と思った。そういう経緯なので、この放送について知ったときには、「然もありなん」と思ったというのが正直なところ。


・先述の、私が見たテレビ番組は、たぶん上の動画だと思う。


でも、「わっ、食べにくい !!」で怒るのも少し変な感じがする。むしろ、エレファントカシマシは「食べにくい」音楽をやってきた人たちのような気がするし、そこにミュージシャンとしての彼らの妙味があると思う。

音楽番組にひと言

TOKYO FM の番組ではないが、ある放送局の番組の企画書やセールス・シートを見たことがある。今さらカマトトぶるなと言われても仕方がないが、その番組のゲスト・コーナーひとつひとつに値段がついているのを見てガッカリした。つまり、レコード会社なり何なりがお金を払ってゲスト・コーナー枠を買って、スタジオにミュージシャンがやって来るのだ。

番組全篇において、DJ自身が良いと思った曲を選んだり、ゲストを呼んだりできるようにしないと、質の高い音楽番組はつくれない。そういう番組もあるが、スポンサーがつかなくて終ってしまったりする。また、NHK FM の音楽番組が意外と人気なのは、そういうカネの磁場から少し離れたところにあるからではないかと思う。

カネでたまたまやって来たゲストをそつなく回せるDJばかりが生き残っては意味がない。DJは自分の名前で番組をやっているのに、自分で番組全体をコントロールできないのは不幸だ。何かが起きた時に矢面に立たされるのはDJなのに。

ミュージシャンとしても、レコード会社の都合でラジオのスタジオに放り込まれて、心のないDJに付き合わされ、音楽について身のある話ができないのでは、いい曲をつくってもその甲斐がない。

蛇足

番組に直接関係ないかもしれないが、バイリンガルDJに効用があるとすれば、彼/彼女が英語で喋っている時間は、それなりにカッコがつくと同時に、多くの日本人にとっては意味の空白になる。そつなく意味なく時間を埋めるには丁度いい。

もちろん、優れたバイリンガルDJもいる、少ないけど。人気のあるDJや評価されているDJは、やはり、そつなく意味なく時間を埋めてきた人たちではない。

ぶっちゃけ、聴き取れてるヤツなんてほとんどいないわけだから、英語を中途半端に混ぜる必然性ないでしょ。やるなら全部英語でやりなさい。

Google

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コメント

「食べやすい音楽」なんてクソ喰えでございますな。本来なら宮本氏も「食べにくい」と評されて喜ぶべきでした。

私は長いことFMを聴いていません。カッコつけてるだけで空疎だし、ろくな音楽かけないし。音楽を聴くならFENに限ります。

投稿: やきとり | 2009年4月28日 (火) 13時30分

この日のこの番組、リアルタイムで聴いていました。
アノやりとり、本当にこちらも身の縮む思いでした。だって生放送の公開中でしょう? ガラスに張り付いていたファンはさぞビックリしたのではと変な心配もしていました。
エレカシの宮本ですから想定外の言葉が返ってくるのは覚悟の上でのことだろうと思いつつも 喧嘩売ってます?なんていくらなんでもありえないと思いました。 そんな浅いキャリアのヒトだったかと疑いましたし。
翌週はブログを読む形での謝罪から入ったので、番組ではソレを読むのではなく改めて言葉を選んだ方がよかったのではないかと思いました。
うっかり2週続けて聴いてしまい、しかもガッカリしたのでとても損した気分でした。

投稿: やきにく | 2009年5月 1日 (金) 00時48分

鈴木さんの表現方法がイタイですね。もっと違った方法があったと思います。宮本さんも営業で来ている訳だし「正直に言っていいですか?」と聞いてストレートに表現してどうするの!
頭が○いでしょうね。

宮本さんも大人げないのですが。

投稿: 亀 | 2009年5月12日 (火) 11時22分

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