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ラースと、その彼女

 冬の寒さの厳しい田舎町に住むラースは対人スキルが非常に低く、家を出ていた兄が妻を連れて戻ってくると、同居を拒んでガレージで暮らすほどである。周囲は彼のことを何かと気に掛けるのだが、本人は放ってもらいたがっている。
 そんなラースが、兄夫婦に紹介した「ネットで見つけた恋人」は、いわゆるラブドールだった。
 どうやら人形を本物の人間と信じているらしいラースを、兄夫婦は言いくるめて町医者のところへ連れて行く。心理学者でもあるその女医さんの指示は、「ラースの妄想を受け入れなさい」
 自分たちだけでは手に余ると判断した兄夫婦は、教会を中心とした町の自治会にも協力を仰ぐ。その結果、町ぐるみでラースの妄想を受け入れることになる。

 いくら小さな田舎町とはいえ、個人を支える多数の善意の規模は電車男並みのあり得なさだが、善意の中心にあるのがラブドールというところに毒がある。その毒も含めて出来のいいお伽話。

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