はたらく魔王さま! 第5話
『魔王と勇者、笹塚を救う』
≪あらすじ≫
再び起きた大きな地震。崩落現場に漆黒の翼を広げて出現したのは、かつて腹心・アルシエル(地球偽名・芦屋四郎)と同じ魔王サタン(地球偽名・真奥貞夫)の部下だった魔王大元帥ルシフェル。
しかもルシフェルと結託していたのは、あろうことか勇者エミリア(地球偽名・遊佐恵美)の仲間だったはずのオルバという神官だった。
オルバが魔王討伐後の世界を牛耳るために邪魔になるエミリアを異世界(地球・日本)へ追放した、とその目論見をあっさりと看破する魔王サタンと、その事実に動揺するエミリア。
だが、それで状況が好転するわけではない。
人間の負の感情から魔力を得られることを知っていたルシフェルはそれを利用して雨のような魔力撃を降り注ぐ。彼の手には、バイト先の後輩・佐々木千穂(ささき・ちほ)それによってアルシエルは胸を貫かれ、魔王もまた倒れた。
なんとか魔王の力で笹塚駅前に逃げてきたが、すぐにルシフェルに追いつかれてしまう。トドメと言わんばかりにルシフェルは、自分たちの攻撃を目撃した地球人もろとも魔王たちを葬るため辺り一帯に及ぶ広範囲攻撃を仕掛けるのだが――
≪感想≫
シリアスとコメディによる奇跡のハーモニー(笑
面白い。基本的にはシリアス路線+バトルというクライマックスらしい展開なのだが、随所にコミカルな言動が混じっており、観ていて重すぎないのが素晴らしい。
どうしてもバトル展開になると、その場の流れと言うか演出の都合で既出の設定が蔑ろにされることも少なくないが、魔王が「バイトに遅刻したらどうしてくれるんだ」とか随所に「魔王は日本でバイト暮らしをして魔力回復の方法を模索している」という設定がちゃんと見えてくるのは本当に丁寧に作られていると感じることが出来る。
「B級映画」というフレーズも出てきた時は、どうして魔王が映画を知ってるんだよ、と思ったらその後それをフォローしつつコミカルに繋げられるのだから凄い。
原作からこういう描写の方法なのだろうが、さらにアニメ化に際してもそうした部分を削らずに残っているところからも原作・アニメスタッフの両面でとても安心出来る。
そういえば、OPはこれで正式なものになったってことで良いのかな。一部では「未完成」と言う言われ方をされてきたが、私はたぶん最初から完成してたのではないかと思っている。では、なぜここまでMAD風のOPでお茶を濁していたのかと言えば、本来のOPにはネタバレ要素が多過ぎたからではないだろうか。
エミリアの仲間たちもそうだが、何よりエミリアの幼少期というのはネタバレだったと思っている。原作未読から言わせてもらうとエミリアの回想が入るとは思わなかったし、その回想は予想以上に彼女の行動原理を支えている大きなモノだった。でも、あのOPが最初から流れていたらエミリアの幼少期の姿から「あぁ、いつか回想シーンが入るんだろうな」と解かってしまうので、エミリアの過去回想に対するインパクトやその印象は半減していただろう。
さて、個別にお話を見て行くとまずは魔王の頭の回転の速さが好印象。オルバの目論見やルシフェルの魔力回復法を看破してきたのは、前々回の地震の原因を予測した時もあって流石と言うところ。この辺は私としては彼が魔力を使っての攻撃や再生をしたシーンよりも、彼が「魔王」と呼ばれるだけの能力を持つのだ、ということを感じることが出来た。要はただ腕っ節が強いだけのバカじゃないということ。それでこそ、魔の存在を統べる魔“王”と呼ばれるに相応しいと思える。
もちろん腕っ節だって凄い。ルシフェルの灸を据えたシーンの魔方陣の多重練成は「おいおい、幾つ重ねるんだよw」と思うくらいの桁違いさ。こうして見るとルシフェルは天界復帰を取りつけていたとしても、良く反抗しようと思ったものだw
そんな彼は「魔王」の異名とは裏腹に正々堂々としている。威風堂々、と言った方がいいのか。「自分の目的のためにエンテ・イスラに帰ってエンテ・イスラを支配するのだから、地球の人たちに迷惑をかけるつもりはない(意訳)」というのは、彼の魔王としてのプライドが見え隠れするようにも感じた。その後の「下の者の責任は上の者が取るのは、エンテ・イスラもマクドも変わらない」と言ったところからもね。
地球の人を助け、壊れたモノを復元し、記憶まで操作した魔王。一見すれば「むしろ勇者じゃね?」というくらいだが、彼の魔王らしい一面もちゃんとあった。
それは笹塚駅前にテレポートしたこと。
その意図や解釈というのはいろいろと出来そうだが、私は彼がアルシエルを助けるために最善の方法を取った、と考えている。それはアルシエルを背負って逃げていた魔王が自分で口にしたことだ。
そしてその方法は魔力の補給による肉体の一時的な活性化。復活したアルシエルが「魔王様が復活できるだけの魔力を与えて下さった」ということからそれは間違いない。そしてエミリアが推察したように、魔王は最初からルシフェルがトドメは周囲を巻き込むような手段を使うことを予想した上で、人の多い笹塚駅前を選び、自身の魔力補給およびそれによるアルシエルの復活を達しようとしたわけだ。
最初から魔力による復元や再生が前提だったかどうかは微妙なところだが、「まずはなにがなんでも部下を救う」という選択肢は一見すると良い行動に見えるものの、見方を変えれば一般人を糧にしてでも救うということ。そう見れば何とも魔王らしいと言えば魔王らしいのかもしれない。
それにしても、ルシフェルは魔王とは裏腹に腕っ節が強いだけで頭の方は残念に見える。というのも、劇中でも指摘されたように人の負の感情によって魔力を回復可能なら、それは魔王も同じことが出来るということだからね。魔王がそういう行動をとらなくても結果的に一定の範囲が負の感情で満たされれば自分と同時に魔王も魔力を回復してしまうのは、もう先の地震で経験していたはずなのに(笑
オルバはそういう意味では(入手した経路は不明だが)拳銃を使う、といった堅実な方法を取っていたと思う。もしルシフェルが拳銃や現代社会の銃火器を使っていたら、たぶん魔王の魔力回復はもっと程度が低かったんじゃないかな? 現代日本人からすれば「銃」というのもあまり身近なモノではないが、それでも空を飛んで光る謎の攻撃をしてくる相手と、拳銃を使って攻撃してくる相手だったら後者は前者よりも負の感情の程度は低そうだし。
しかしエミリアは本当に報われない。最後に彼女を想ってくれた仲間が出てきたことと、地球でも友人と呼べる同僚がいたことがせめてもの救いか。
魔王討伐後の勇者パーティの処遇、というのは実は割と昔から一部作品では取り上げられていた内容である。私が知っている中だと有名なのは『ダイの大冒険』とかかな。他にもいろいろあるとは思うけど。
人間っていうのは都合が良い生き物で、自分たちが窮地に陥るとその原因と戦うことが出来る英雄を求めるくせに、その窮地を乗り越えて平和が訪れると力を持ち過ぎる英雄を危険視する。そうしたあり方を「人間は魔の存在に脅かされ、魔の存在は英雄に討たれ、英雄は人間に抹殺される」と三すくみで表現する人もいるほど。
なんかそんな一端をこの作品で観たことは嬉しくもあり、やっぱりどこか切ない感じもする。それはやっぱりエミリアが、いろいろなものを犠牲にして勇者の道を進んで来たという過去を視聴者として知っているからなんだろうなぁ……。最後の方は人の味方である「勇者」として地球人を救うと言う名分を得られたおかげか、これまでよりは若干ふっ切れた感じもあったけど。
まだまだエミリアの中では「魔王」の存在を割りきったり、振りきったりは出来ていないようだが、今後そういうことが出来てもう少し肩の力が抜けて彼女なりの新しい生きがいや生き方が見つけられれば良いね。
余談
・魔王が背中から肩を撃たれたけど、あの位置だとアルシエルもwww
・勇者の変身シーンが髪の色と剣と手甲・脚甲だけって(´・ω・`)ショボーン
・でもそれはそれで(ぇ
・バイト皆勤賞が大事な魔王w 庶民的www
・今日の「お前が言うなスレ」はここでしたwww
・魔力が負の感情で復活するなら聖法気は……信仰心?(ぇ
・最後のちーちゃんの赤面顔も可愛かった
次回『魔王、学校の階段を昇る』
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