刹那的虹色世界

俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる 第5話
『ラブレターの真相は修羅場』

≪あらすじ≫
坂上先輩との一件を経て、千和は鋭太に対して曲がったアプローチはしなくなり、ストレートに好意を寄せてくるようになった。嘘か本当か、鋭太と偽装カップルを演じる真涼は彼女として面白くないので千和に対するツッコみが普段に増して過激に……。

一方、鋭太は毎朝のように下駄箱にラブレターが届くようになった。真涼との関係が偽装であることもあって、鋭太としては他人から届いたラブレターの存在を安易に相談することも出来ず、送り主が千和や真涼ではないかと探りをいれるが、どうやら違う様子。

そんな折、今日も今日とてフェイクのカップルとして仲良く下校し、寄り道をしていると、目の前には金髪蒼眼のツインテールをした少女が現れる。夏川真那（なつかわ・まな）。真涼の妹を名乗った少女は、「こんなことのために日本に帰したんじゃないって怒ってるよ」と鋭太には分からない現状を告げると、「（鋭太とのことを）黙っていてあげるから、この人ちょうだい」と言って鋭太の唇を奪って去っていく。

突然のことでいろいろ知りたい鋭太だったが、鋭太自身がラブレターの存在を隠していることや黒歴史ノートのことを引き合いに出して「何も聞かないで！　私にもふれてほしくないことがあるの」と言われてしまい、何も知ることが出来ずじまい……。


翌日、鋭太は真涼に何も聞けぬまま体育の授業の時間。自由時間となった鋭太は、プールサイドでタオルを羽織ったまま泳がない真涼に声をかける。昨日のこと、妹のこと、聞きたいことはあってもそれを敢えて避ける会話をする鋭太に、突然今まで泳がなかった真涼が「気が変わった」と言って泳ぎだす。

が

実は真涼はカナヅチで――


≪感想≫
また中二病ヒロインか……。最近の流行りなの？(´･ω･`)ｼｮﾎﾞｰﾝ　メインじゃないだけマシというか、アニメ化された時期の違いで、原作はこちらが先かもしれないのだけど、やっぱりそう見えてしまうよねｗ
まぁ、四タイプのヒロインを出せば一人くらい中二病ヒロインがいても不思議じゃないのか。たぶん、そこに気にしたら負けだと思うwww


◆巧みな修羅場劇
タイトルに「修羅場」と入っているだけあって修羅場の描き方が巧いな～と思わせてくれる。まぁ、昨今のアニメだと「ハーレム」はあっても「修羅場」はあまり見かけないから、ちゃんと描いている分巧く見えているだけかもしれないけれど。

「修羅場」は基本的に「あちらを立てればこちらが立たず、こちらを立てればあちらが立たず」状態だと思っている。なので落とし所が見つからないので、双方の怒りゲージを引っ張り上げてしまって～～という具合。

そういう意味で、前回もラストもそうだったが、今回も修羅場は正しく修羅場だった。前回も、真涼を立てる（真涼の方へ行く）と千和が立たず（千和に呼ばれ）、千和を立てる（千和の方へ行く）と真涼が立たない（真涼に呼ばれる）の繰り返しだったからね。

今回はそこまで単純ではないけれど、冒頭は千和、中盤は真涼、終盤に再び千和、最後は新キャラ・姫香と立てられるヒロインが変わるたびにそれ以外のヒロインに鋭太は冷たい視線を向けられるわけだw

コメディテイストの修羅場劇が巧く面白い分だけ、あとはそれがシリアスパートになった時に同じレベルにまで引き上げられるか、というのが今後を左右するのかもしれない。前回書いたので蒸し返すような真似はしないが、次回予告を観ると泥だらけ（？）の体操服姿の鋭太（+SPみたいな黒服の腕）と、別カットで体操服姿の真涼のカットがあったので、またひと悶着あるところでどう描いてくるか見物。



◆少しは可愛くなった？
幼なじみポジの千和の健気さと一途さのせいで、相対的に思った以上にヒロインとして人気が伸びない真涼。まぁ、サディスティックなヒロインはこういうものなのかもしれないが、今回も冒頭でいきなり千和の顔面をカツサンド弁当の上に沈めた時はどうなるかと思ったw

だが、しかし真那の登場による動揺と、水泳の授業でのカナヅチっぷりで多少回復してくれるといいなと思う。いや、私はスゲー可愛いと思うよ、真涼。
カツサンド弁当に顔面沈めたシーンだって、視聴者として鋭太と真涼の関係を知っているといろいろ思うこともあるが、そうじゃなきゃ千和は真涼に言われた通り、彼女が居る男に言い寄る泥棒猫で間違いはないし。

まぁ、「私にもふれてほしくないことがあるの。あなただってそうでしょう」は黒歴史ノートを脅迫材料に使っているお前が言うな、状態だったとは思うがwww
このキャラが本当に損をしているのはやっぱり「全部ウソ」発言なんだよね。それのせいで鋭太も視聴者も彼女の思惑や感情に対して疑心暗鬼になっている。



◆真涼の秘密
そんな真涼をひも解く材料が真那なのだろう。幾つか考察する材料がある。

1.「そんなことをさせるために日本に帰したのではない」発言
口にしているのはおそらく両親か？　おまけに学校での様子を議員を通じて知ることが出来るそうなので、お金持ちとは別路線で権力があるようだ。権力を振りかざす人間が好まれないのは世の常なので、真涼もそれに嫌気がさして「何らかの理由」があって（あるいは、でっち上げて）、両親の影響から少しでも離れられる場所として日本を選んだのかもしれない。

まぁ、もしそうだとするならば違う形で脅迫と言う名の権力を鋭太に振るっているのは、皮肉でしかないが。


2.「黙っている代わりにこの人、ちょうだい」発言
毒舌で高圧的な真那。しかし、関係を考えるなら妹の真那が、姉である真涼に高圧的に出られるというのはちょっとおかしい。おまけに真涼はそれに張り合うのではなく、むしろ怯えているほど。まぁ、この発想は日本的なのかもしれないけれど。

二人の関係についてはいろいろと考えられることがあるが、真那のもともとの性格と真涼側に少なからず負い目があるのだろう。そして、注目すべきは「この人、ちょうだい」発言。
昨日今日の突発的に人を「ちょうだい」発言出来るとは思えないので、真涼は真那からたびたび自分の所有物を略奪されてきたのではないか。ならば真那の「略奪完了」の発言も、あの年齢にしては出てくる台詞とは思えないが、これが初めてではなく繰り返し行われてきたことなら頷ける。

真涼のアンチ恋愛はもしかしたらことごとく真那に想い人を略奪されてきた結果なのかもしれない。そして、真涼が本当にアンチなのは恋愛じゃなくて、絆だと思う。ことごとく真那に奪われてきたのであれば「人と人との絆なんて酷く脆弱なもの」と見限っているのではないか、と考えられる。



次回『灰色の世界を切り裂く修羅場』