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DATE: CATEGORY: お嫁本編
 こんばんは、すいもうです。
 昨日、しすたー・いん・らうのコミックとハイスクールフリートのアンソロを購入しました。
 本当はハイスクールフリートの原作コミックも欲しかったんですが、売っていませんでしたので←ためいき
 この記事を書いている段階では、まだ読んでいませんけれど、いまから楽しみです。
 まぁ、それはさておき。
 今回は、ノアさんです。
 昔懐かしですね。
 どういうことなのかは、追記にて。
 では、お黄泉ください。



 夢、吹きすぎし~月想う~ 百八十二話

 ひさびさに聞き心地のいい言葉を聞いたものだ。
「──あたしは、あたしの命のすべてを燃やしてでも、あの子たちのために努力し続けることを誓う。いまはそれしか言えない。言えないけれど、それがあたしの覚悟です。この命のすべてを燃やし尽くしても、我が子のために頑張る。それがあたしの父親としての一番の仕事だと思うから」
 命のすべてを燃やし尽くす。大層な言葉だった。
 しかしそういう類の言葉を使う者の大半は、実際に燃やし尽くすことなどしない。いや燃やし尽くすことができない。実際に燃やし尽くそうなんて考えてもいないからだ。
 ひと言で言えば、軽々しく命を懸けると言っているだけのことだった。実際に命を懸けようなんて、ひとかけらも考えていない。ただのブラフだ。そういう者の言葉ほど、空虚なものもない。なんの重さもない、中身のない空っぽな言葉なのだから、それも当然だろう。
 しかし目の前にいる彼女は違っていた。彼女は本気で言っている。本気で我が子たちのために、命を懸けようとしている。ブラフでもはったりでもない。正真正銘彼女は本気で命のすべてを燃やし尽くす覚悟なのだろう。空っぽな言葉を言う者とは、目が違っている。その目は懐かしい日々を思い出させてくれる。瞳の色には多少の差異はあるが、とてもよく似た目をエレノアは知っていた。
 愛する者のために、死力を尽くして戦った騎士がいた。その騎士を自分は徹底的に鍛え抜いた。自分が仕える家の跡取りとして引き取られたということもあるが、彼が跡取りとして引き取られるための条件が、愛する者を取り戻すために鍛え上げるということだったからだ。どう考えても、彼本位の条件だった。しかしそうなるだけのものを、彼には感じさせられていた。だからこその好条件だった。その条件を彼は呑み、そして愛する者を取り戻すことができた。平たんな道ではなかった。むしろ屹立する崖のような、そんな険しい道だった。だが、その道を彼は歩み切った。あのときの彼の目と、いま目の前にいる彼女の目は不思議なほどによく似ている。
 だがある意味では、それも当然なのだろう。なにせ彼女は、今生における彼の騎士の父親なのだから。女性を父親と言うと、少しおかしいかもしれない。だが自分からそれを言う気はない。なぜなら自分もまた父親なのだ。いや父親だったのだ。なのに自分を棚にあげるわけにはいかない。そもそもそんなことをしてしまえば、自分は本当に最低な父親に成り下がる。ただでさえ、自分は愛する娘を手放したのだ。これ以上あの子の父親として、恥ずかしい真似をするわけにはいかないのだ。
「父親としての一番の仕事、ですか」
 否定するつもりはない。なにせ彼女の言う通りだ。我が子のために頑張ること。それはたしかに父親としての一番の仕事であろう。実際自分もそうだった。愛する娘のために、最大限の努力をした。あの子に笑顔を浮かべさせるために、いろんなことをした。中にはやりすぎて、結果的に泣かしてしまうこともあった。心配を掛けさせすぎてしまったのだ。そのときばかりは、こってりと妻からも娘からも怒られてしまったものだ。ただひとつ納得がいかないことがあるとすれば、その当時にはすでに主君となっていた彼の騎士には、無茶をしすぎだ、と呆れられてしまったということだ。正直な話、あなたが言うか、と思ったものだ。一番無茶をしているのは、どこの誰だと面と向かって言いたくなったほどだ。もっとも当人もそのことをわかっていたのか、俺が言うこともでないけれど、と締めくくってくれたものだ。その言葉に、彼の騎士の妻と娘たちと、自分と自分の妻と娘で笑い合ったものだ。あれからもうどれだけの時間が経ったのだろうか。時間の経過さえ、もうわからなくなってしまっている。それでもこうして自分として在れるのだから、なかなかに業の深いものだ。妻にも娘にも先立たれてしまった。それは彼の騎士もまた同じだ。我が子のために頑張り続けた自分と彼の騎士だったが、結果的に言えば、頑張りすぎてしまったのだろう。無茶をし過ぎてしまったのだろう。だからこそ喪ってしまった。守りたかったものをすべて喪うことになってしまった。あの悲しみをもう二度と繰り返したくはないし、誰にも同じ目に遭ってほしくなかった。それはいま目の前にいる彼女も含まれている。なにせ彼女は──。
「あまり無茶をしすぎないことです。なにがなんでも頑張ることはありません。それで身を滅ぼしては、なんの意味もないのです。だからほどほどに頑張ることです。夜天の王殿」
 彼の騎士同様に、自分にとっても、彼女は今生の父親なのだ。その父にあの悲しみを味わわせたくなかった。
「それはノアさんの体験談によるものですか?」
「ええ。無茶をしすぎると、かえって家族を心配させてしまう。悲しませてしまう。それだけはしてはいけない。だからほどほどに頑張ってください。先達である私が言えることはそれくらいでしょうね」
 先達として言えることはある。だが娘として言えることはまだない。だから、「お父さん」とは言わない。言ったところで、混乱させるだけになるのは目に見えている。だから言わない。ひとりの先達として伝えるだけでとどめた。それを彼女が感じ取ったかどうかはわからない。わからないが、いま自分にできることはした。それを彼女がどう受け止めるのかは、彼女自身の選択次第だ。そう思いながら、エレノアはできうる限りの笑顔を浮かべるのだった……。

テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学

コメント

アンソロは……マロクロですね(笑)
ちなみに、いんたーばるっ……小説版もまりこうじさんとレオちゃんの挿し絵、シロクロと良い感じでした。
……単に私得なだけかもしれませんが(笑)
はいふり、Amazonでも新品無いですね……。
アンソロジーといんたーばるっは在庫ありでしたが。
しすたー・いん・らう!は、姉妹百合も普通(?)の百合もありで良いですね。
この作家さんの描かれる服のシワがなんか好きです(笑)
P33の白乃ちゃんとか……。
同日発売のとなりの吸血鬼さんも百合で(ガチで恋心持ちあり)面白いです。

エレノアさんには、バレンタインSSのすっかりタチが似合ってきているシンシアちゃんを見せてみたいですね。
なにがどう間違った……とそんな顔しそうですが(笑)
頑張ってネコでなくなろうとしながらも……無駄な努力なのあっちさんを見たら……(笑)
エレノアさんは、夫で父親なんですけどねー。

やっぱりテッサちゃんのことは、心残りあるんですかね。
……あ、今まで気にしてませんでしたが、テッサちゃんがテスタロッサの先祖と言うことは……エレノアさんもテスタロッサの関係者ですね(笑)
……テスタロッサの血にはどこかにたぬき要素が!?(笑)
青い目に惹かれたのは遠くで連なるエレノアさんの……。
エレノアさんがたぬきさんみたいな青い目かは知りませんが(笑)

さて、では、失礼します。

Re: タイトルなし

 マロクロでしたね。しかもしょっぱなから←笑
 小説版も、そんないい感じなんですねぇ。
 まぁ、ひとそれぞれですか←笑
 Amazonでもないですかぁ。人気なんだなぁ←しみじみ
 しすたー・いん・らう!は完全に百合百合していますもんねぇ。
 書き込みがすごいですもんね。
 まさかのメイド服が来るとは思っていなかったですよ。でも、あれはあれでいいですよね。
 ああ、となりの吸血鬼さんは、どんな漢字かなぁと思っていたんですけど、それはよかった。よし探すか←ヲイ
 ただしすたー・いん・らう!は最寄りのアニメイトでラスト一冊だったので、ね←遠い目
 たぶん、我が目を疑うでしょうねぇ←汗
 ぽかーんと口を開けながら、唖然としていそうです。
 なんとなく、Orzしていそうな気がします。なんとなくですけど←笑
 だったんですけどねぇ。どうしてこうなったのやら←しみじみ
 まぁ、心残りは当然あったでしょう。もっと一緒にいてあげたかったとか。もっと笑顔を見たかったとか。
 たしかにそうですね。気づいたら、一族の一員だったという感じで←笑
 たぬき要素はそこまでないと思いますが、お姉ちゃんとたぬきさんはわりと仲がいいことを踏まえると、もしかしたら←ごくり
 その可能性もあるかもですね。
 一応設定上は青い目ということにしています。あくまでも設定上は←二度言う
 今回もコメントありがとうございました。今後も頑張りますね。

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