流るる、雲。

　こんばんは、すいもうです。
　今日もどうにか更新できました。
　最近は仕事が忙しくなってきましたが、まぁ、どうにかやっています。
　さて、今回もマヴィオさんです。
　ようやく終わりが見えてきました。
　どういうことなのかは、追記にて。
　では、お黄泉ください。


　異彩は、なにを見るのか～揺れる心～　三百九話「忘れえぬもの」

　毎日、ボロボロになるまでナカジマジムに通う日々が始まった。
　ボロボロになるとはいっても、別に大したことはしていない。ただ単に朝から晩までスパーリングが続くという、地獄のメニューをこなすだけのこと。
　自分で言っておいてなんだけど、どう考えても大したことじゃないというレベルじゃないよね。むしろ訴えたら確実に勝訴できそうな状況だよね、これって。
　ただそれでも私はなにも言わずに、ノーヴェのもとに向かっている。どうしてそんなことをするのかは、自分でもわからない。
　家でなにもせずに、ぼんやりとしているよりかは、はるかに有意義かなと思っただけ。
　それにじっとしていると、いろいろと考えてしまうから。だからなにもかも一時的に忘れられる現状は、かえってありがたかった。
　家に帰れば、適当にご飯を食べて、お風呂に入って眠る。朝になればまだナカジマジムに向かうという日々を、何度も何度も繰り返していく。
　なのはパパはなにも言わない。表面を装うだけでなのはパパは精いっぱいになっていた。この頃はよくお酒を飲んでいる姿を見かける。
　なのはパパはあまりお酒を飲まない人だ。というか、飲んでもつまらないらしい。なにせいくら飲んでも酔わない人だからね。
　フェイトママには、なのはパパみたいな飲み方をしちゃいけないと言われているけれど、あいにくとあんなにも飲んで酔わない人と一緒にされたくないよ。むしろあの飲み方をどうしてなのはパパは酔わないのかと、小一時間ほど問い詰めたい気分だもの。
　とにかくなのはパパはなのはパパの心の問題で精一杯だった。
　クレアとシンシアは相変わらず、フェイトママのところへと向かっている。フェイトママはいまもまだベッドから起き上がれるほどに回復はしていないみたいだ。お医者さんが言うには精神的な問題だろうってことだった。当分は入院し続けることになるとクレアは言っていた。
　それがいいのか、悪いのか。私にはわからない。
　考えまいと思っても、不意に考えてしまうこともある。
「アインハルトさん」
　あれから一度も彼女の元を訪れていない。いまさらどんな顏をすればいいのかもわからない。
　それでも、それでも不意に脳裏に浮かぶのは、あの人の笑顔。私の大好きな彼女の笑顔だった。その笑顔をもう一度見たい。そう思いながらも、私の脚は一向にあの人のいる病院へは向かわない。向かわないまま、あっという間に時間は過ぎていき、二週間あった休暇も残り一日となってしまった……。

テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学