こんばんは、すいもうです。
昨日、マクドナルドの「裏ダブルチーズバーガー」を食べてみました。
普通のダブルチーズバーガーと違うのは、単純にスモークベーコンの有無でしたが、スモークベーコン自体が、なかなか美味しかったな、と思います。
まぁ、あくまでも個人的にはなので、誰にでもおすすめはしませんが←苦笑
まぁ、それはさておき。
今回は、たぬきさんです。
覚悟完了ですね。
どういうことなのかは、追記にて。
では、お黄泉ください。
夢、吹きすぎし~月想う~ 百八十一話
いまさらなことなのかもしれない。
なにをすればいいのかがわからない。そう言ってしまうこと自体、すでにいまさらなことなのだと思う。でもそのいまさらなことを、あたしはいま痛烈なほどに考えさせられてしまっていた。
ガっくんもノっちゃんも、辛すぎる前世を以て産まれてきてしまっている。あくまでも王さまの言葉を信じればの話ではあるけれど、こんな嘘や冗談を王さまが吐くはずもないし、ノアさんだって王さまの話を否定するようなことは一度も言っていない。王様の話を聞いて、あたし自身に道を選ばせようとしている。その時点で、王さまの話が嘘ではないというなによりもの証拠だった。
正直な話、なんであたしの子供として産まれて来てしまったのだろう、と思う。あたしなんかじゃなく、もっとちゃんとした親のもとで、そう例えばなのはちゃんとフェイトちゃんの子供として産まれてくれれば、あたしはもっと気楽にいられたし、なのはちゃんたちだってかなり大変だろうけれど、あのふたりであれば、よりよい道へとあの子たちを導いてあげられるはずだ。
でもあたしにはそんなことはできない。できるわけがない。だってあたしは見目が違うという、些細なことで自分の子供を愛してあげられない、ひどい父親だった。そんな父親のもとに産まれるよりも、見目の違いなど些細なことだと笑い飛し、心の底から愛してあげられる、そんな父親のもとで、なのはちゃんの子供として産まれてほしかった。ううん、むしろなのはちゃんの子供として産まれれば、ガっくんは最初から愛してもらえたはずだ。ノっちゃんは完全に見た目があたしだから、そういう意味では苦労するかもしれない。けれどなのはちゃんは、それくらい笑い飛ばせる人だ。
「フェイトちゃんが産んでくれる子は、すべて私の子供だよ」
なのはちゃんはそう言って笑うだろう。たとえ自身と見目がまるで異なっていたとしても、関係ないとはっきりと言い切ってくれるだろう。それができるのが、あたしの親友である高町なのはだった。そんな親友とは違って、あたしにはそんなことはできなかった。見目が違う。それだけで実の子供を愛してあげられない。そんなあたしが、どの面を下げて、あの子たちを守り、導くことができるというのだろうか。できるわけがなかった。できていいわけがない。考えれば考えるほど、自信を喪失していくのがわかる。いっそのこと、まぶたを閉じてしまえればどんなに楽だろう。目を閉じ、なにも見ないようにできたら、どんなに楽だろうか。それがただの現実逃避だとしても、そうすることが一番楽であることは、事実だった。なにせなにも見ないようにするのだから、目に見える現実に対して、どう対処すればいいのかを考えなくても済むようになる。対処などせず、ただ現実逃避をし続けるだけでいいのだから、とても楽だった。まぶたを閉じたい。心の底からそう思ってしまう。
「わからない。わからないけれど、少なくともいまはまだなにをすればいいのかがわからないということだけはわかる。そしていまはわからなくてもいい。だってわからないということは、これからわかるようになれるということ。だから、あたしは」
そう、いまはなにもわからない。なにをしてあげられるのかも、見当もつかない。でもそれはあくまでもいまは、の話だ。これからもわからないわけじゃない。今日のあたしにはなにもしてあげられない。でも明日以降のあたしも同じとは限らない。さすがに明日、明後日でできるとは思わない。そんな直近でどうにかなることであれば、いますぐにできるようになれる。でもいまのあたしにはなにもしてあげられない。だから直近のあたしではどうにもならない。それは否定しようがない。
けれどもっと先のあたしであれば、なにかしてあげられるようになっているかもしれない。あくまでも可能性でしかない。でもわずかでも可能性があるのであれば、その可能性にあたしは賭けてみたい。ううん、賭けるしかない。いまなにもできないからこそ、できるようになるその日が来ることを、期待する以外にいまのあたしにできることはなかった。
いや期待することじゃない。できるようになる。その日が訪れるように、あたし自身努力するしかなかった。それがいまのあたしにできることであり、唯一はっきりと言えることだった。
「いまはなにもできないけれど、未来のあたしができるようになることに賭ける。いまはそうとしか言えない」
「……ずいぶんと楽天的な考えですね。というよりも、お粗末すぎる。いまの答えだけを聞くと、そうとしか私には言えませんね」
ノアさんはあたしをまっすぐに見つめながら言う。たしかにいまの言葉だけでは、未来のあたしに丸投げしているようなもの。それで、いまのあたし自身は問題を解決したと言っているようなもの。たしかにお粗末だった。でもあたしはすべて丸投げするつもりはない。
「早とちりですよ、ノアさん。あたしは別に丸投げするつもりはない。いまのあたしにはできない。なら未来のあたしができるようになれるように、あたし自身も努力するつもりです」
「具体的には?」
「具体的には言えません。なにせあたし自身なにをすればいいのか、まださっぱりですから。それでもあの子たちのために頑張り続けることだけはお約束します」
「なにを以て、そんなことを」
「あたしの命を以て」
ノアさんの言葉を遮るようにして言う。ノアさんも王さまもまさかそこまでとは思っていなかったのか、驚いた顔をしている。でも正直、なのはちゃんであれば、はっきりと、こういうと思う。
「あたしは、あたしの命のすべてを燃やしてでも、あの子たちのために努力し続けることを誓う。いまはそれしか言えない。言えないけれど、それがあたしの覚悟です。この命のすべてを燃やし尽くしても、我が子のために頑張る。それがあたしの父親としての一番の仕事だと思うから」
なのはちゃんであれば、もっと短い言葉でまとめるだろう。あたしが言わないような言葉を使って、はっきりとストレートに言い切るだろう。でもあたしにはそれはできない。回りくどいかもしれないけれど、あたしなりの、あたしらしい言葉で、あたしはノアさんと王さまに向かって、そう言い切った……。
テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学
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