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DATE: CATEGORY: お嫁本編
 こんばんは、すいもうです。
 昨日は家族と出かけていました。
 帰り道で、兄の自転車のタイヤがパンクするというハプニングがありましたが、おおむね問題はありませんでした。
 まぁ、食事が大盛りすぎたということはありましたけど←苦笑
 まぁ、それはさておき。
 今回はたぬきさんです。
 ようやく間違いを正します。
 どういうことなのかは、追記にて。
 では、お黄泉ください。


 夢、吹きすぎし~月想う~ 百七十話

 なんとも言えない空気が漂っている。
 だからと言って、なにも言わないわけには行かなかった。なんか勘違いしているみたいだし、ちゃんとあたしの名前くらいは説明してあげた方がいいのかもしれない。まぁ、その前に確認をしておこうか。
「えっと、カリムさん、でしたね?」
「あ、はい、なにか?」
「いま、あたしの名前を「ハヤテヤ・ガミ」とか言っていませんでした?」
「ええ、そう言いましたけど」
 カリムさんは困ったような顔をしている。人違いをしたとか考えていそうだけど、少なくともハヤテヤ・ガミなんて入院患者はこの病院にはいないと思う。入院患者全員を知っているわけではないけれど、そんなややこしい名前の人が、もし本当にいま入院しているのだとすれば、そのハヤテヤ・ガミとあたしはしょっちゅう間違われているだろう。
 まぁ、姓から始まる日本式とファーストネームから始まる外国式という違いはあるけれど、それでもほとんど名前が同じであれば、しょっちゅう間違われるのは目に見えている。がいまのところそんな間違いは一度も怒っていない。そのことを踏まえると、ハヤテヤ・ガミなんて人はここに入院してはいない。というか、ハヤテヤ・ガミというのは、まず間違いなくあたしのことなのだと思う。実際外国式に名乗れば、ハヤテ・ヤガミになるから、あとの話は単純だ。変なところで空白が空いて、ハヤテヤ・ガミと勘違いされた。たぶんそういうことなのだと思う。
 たったひとつの空白が、妙な勘違いを産んでしまった。たぶんそういうことだと思う。まぁ、もしかしたら実際にハヤテヤ・ガミという人がいるのかもしれんから、確定とまでは行かないけれど、可能性としてはハヤテヤ・ガミが実在するよりかは高いと思う。
「えっとたぶんカリムさんは、勘違いしていると思いますよ?」
「で、ですが、たしかに私が感じ取ったのはあなたでした」
 いまいちわからんことをカリムさんは言った。なにを感じ取ったのかはわからんけれど、とりあえず名前を勘違いしていることだけはたしかだろう。
「その感じ取ったというのは、よくわからんけれど、とりあえずカリムさんが勘違いしていることだけはたしかだと思いますよ」
「で、ですが」
「あー、ひとまずあたしの話をちゃんと最後まで聞いてくれます?」
「あ、そうですね。失礼しました」
 相当認めたくないのか、カリムさんは話の腰を折ってばかりだった。さすがにこれでは話にならないので、まずはあたしの話を最後まで聞いてもらうことにした。落ち着かせるのに少し時間がかかるかなぁと思ったけれど、意外とすんなりとカリムさんは頷いてくれた。どうやらカリムさん自身でも、慌てすぎているということに思い至ったのかもしれない。佇まいを直しながら、小さく頭を下げてくれた。別に謝られることではなかったけれど、こういうところでも律儀なのが、カリムさんのいいところなのかもしれない。少なくともあたしにはそう思えた。まぁ見た方を変えれば、クソ真面目すぎて、堅苦しいと言える。でも長所と短所は表裏一体であるわけだから、律儀と堅苦しい。そのどちらもカリムさんを表す言葉なのだろう。いままでであれば、堅苦しい人やなぁとしか感じられなかっただろう。でもいまは律儀な人なんだと好意的に捉えることができていた。そうして捉えられる自分が不思議だった。だけどそんな自分が、あたしは意外と嫌いじゃない気がしていた。
「まぁ、まずは、あたしの名前についてなんですけどね。カリムさんは、「ハヤテヤ・ガミ」とあたしのことを言われましたが、あたしは「ハヤテヤ・ガミ」じゃないです」
 カリムさんは驚きながらも、じっとあたしを見つめる。別人だと言われたようなものだから、その反応は当然だろう。そういう反応をしている時点で、カリムさんがあたしを「ハヤテヤ・ガミ」と思い込んでいたということは確定だ。まぁもともとそう言っていたわけだから、最初からわかっていたようなものだけど、それでも確認は大切だった。そう言う意味では、一歩前進と言ってもいい。カリムさん的には、現時点では一歩後退と言っていいことなのかもしれないけれど。でもそれはあくまでも現時点ではの話だった。
「では、あなたは一体?」
「あたしは八神はやてです。カリムさん的に言えば、ハヤテ・ヤガミです」
「ハヤテ・ヤガミ? ハヤテヤ・ガミではなく?」
「ええ、ハヤテ・ヤガミです。なにかしらの手違いとかで、妙な空白があって、ハヤテ・ヤガミがハヤテヤ・ガミになっていたんとちゃいます?」
「ちょ、ちょっとお待ちくださいね」
 そう言ってカリムさんは服のポケットからなにかしらの紙を取り出し、凝視し始める。ぶつぶつとなにかを呟く姿は、ちょっと不気味だけど、そういうところも彼女のチャームポイントのひとつのような気がした。自分でもなにを言うているんやろ、と思うけれど、少なくともいまのカリムさんを見て、不気味だから近づかないでほしいとかは思わなかった。むしろそういうところをもっと見てみたい、と思ってしまっていた。それがどういうことなのかは、いまいちわからないけれど。
「た、たしかに、空白とも、そうでないとも言える字間がありますね」
 カリムさんがぽつりと呟いた。どうやらあたしの予想通りのようだ。まぁこれで少しは話が進むだろう。そう思いながら、あたしは小さく、安堵のため息を吐くのだった……。

テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学

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