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DATE: CATEGORY: お嫁本編
 こんばんは、すいもうです。
 今日から再び仕事の日々が始まります。
 あー、憂鬱だぁ←しみじみ
 まぁ、仕事するのがあたり前ですから、致し方がないですが←苦笑
 まぁ、それはさておき。
 今回は、まぁ、このバカップルめ、という感じですかね?
 どういうことなのかは、追記にて。
 では、お黄泉ください。


 夢、吹きすぎし~月想う~ 百五十五話

 おかしな雰囲気はしていた。
 でも明確ではなかった。なんとなく、おかしいというだけで、はっきりとしていたわけじゃなかった。だからなにも言えなかったし、口にしようともしていなかった。いままではだ。
 でもいまは違う。明確におかしいと思った。そしてその矢面に立たされていているのがフェイトちゃんだというのであれば、黙って見ているわけにはいかなかった。
「ボク、なにかしたかな?」
 首を傾げながら、レヴィが言う。なにかしたか、と言われてもなにもしていない、としかいまは言えない。実際レヴィはなにもしていない。抗議されるようなことを彼女はなにもしていない。傍から見れば、だけど。しかし当事者のひとりという目から見れば、レヴィはあからさまな視線をフェイトちゃんに投げ掛けていた。そう、まるで新しいおもちゃを見つけたかのような目をフェイトちゃんへと向けていた。これがいやらしい視線であれば、私も即座にぷっつんものだし、私に対する明確な挑発行為だった。
 けれどレヴィのしたことは、はっきりと批難できるものではなかった。新しいおもちゃは言いえて妙ではあるのだけど、言い方としてはかなり悪いものだ。言いなおすとすれば、新しい遊び相手が適切だろうか。遊び相手という意味であれば、私もそこまで主立ってことを起こすわけにはいかない。というか、ことを起こせるわけがなかった。子供の時分であれば、遊び相手──つまり新しい友達が増えたら、目をきらきらと輝かせるのも無理はない。事実私も子供の頃は、友達が増えたときは、嬉しかったし、目に見えて喜んだものだった。だからレヴィがフェイトちゃんに向けた視線も、そういう意味では、決して批難できるものじゃない。
 だけどそれはあくまでも友達が増えたという意味であればの話。もっと言えば、額面通りの意味であればの話だった。レヴィが向けていた視線は、フェイトちゃんを新しいおもちゃとしてしか認識していないもの。明らかに私に対して喧嘩を売っていた。
 私はあまりそういう物騒事は好まない。できるのであれば、喧嘩などせずに話し合いで済ませたい。基本的には平和主義なんだ。物騒事はできれば避けたかった。しかし私のことであれば、ともかく私の大切な人に危害が及ぶかもしれないとなれば、話は別だ。たとえ相手がどれほどまでに格上であったとしても、フェイトちゃんは私の大切な人だ。守らなければならない人だった。その人に危害が及ぶかもしれない。あくまでも、まだ可能性の段階だけど、その可能性が少なからず存在しているのであれば、どれほどまでに実力的に隔絶したものがあったとしても、私は牙を向ける。その結果、襤褸同然の姿になったとしても構わない。フェイトちゃんを守り切れるのであれば、それでいい。あとでフェイトちゃんにはいっぱい怒られてしまうだろうけれど、それでも彼女の笑顔を守れるのであればいい。
 まだ出会ってほんの数日程度しか経っていないのに、ここまで彼女を思うことができる自分が、自分で不思議だった。でも悪い気はしない。なにかを守ろうとすること。そのなにかは人であれば、約束のときもあれば、人ではなく、なにかしらの物であるかもしれない。でもそのなにかを守りたいと思ったとき、そのときこそが、その人が本当に強い時だと思う。うぬぼれる気はないけれど、いまの私はそう簡単に負けてはあげない。たとえ相手が、どんなにフェイトちゃんにそっくりだとしても、そう簡単に負けるわけにはいかないんだ。ほかならぬフェイトちゃんを守るために、私は負けるわけにはいかなかった。
「……ふぅん。見た目だけじゃなく、中身もなにょはにそっくりなんだね。いやそれが「高町なのは」の本質なのかな?」
 すっと目を細めながら、くすくすと笑い始めるレヴィ。その雰囲気も話し方もいままでとは違っていた。どこがどう違うのかと問われても、簡単に説明することはできないけれど、いままでのレヴィらしからぬ雰囲気であることは間違いなかった。隣にいたフェイトちゃんがテーブルに置いていた手を握りしめた。手は両方ともかすかに震えているようだった。震える彼女の右手をそっと左手で覆った。フェイトちゃんは驚いた顔をしたけれど、すぐに嬉しそうに笑ってくれた。ほんのりと頬が赤く染まる。リンゴのように染まる、とかよく言うけれど、たしかにそういう風に見える。むしろそれ以外には見えない。しかもフェイトちゃんは透き通るほどに肌が白くきれいな子だから、頬が染まるとより一層、白い肌が際立って見える。正直目を奪われた。それだけいまのフェイトちゃんはきれいだった。もともとフェイトちゃんはきれいな子だから、あたり前と言えば、あたり前かもしれないけれど、それでも私としては──。
「……あー、こういうところも、同じなんだねぇ」
「みたいだねぇ」
 やれやれ、と呆れた顔をするレヴィ。その隣で苦笑いしているけれど、微笑ましそうな顔をしている未来のフェイトちゃん。そんなふたりの視線に晒されていたことに気づいて、私は慌ててフェイトちゃんから視線を逸らした。ただ重ねた手はどけなかったのは、私なりの意思表示みたいなものだった。
「あてられちゃいそうだね」
「そうだね」
 のんきなことを言うレヴィと未来のフェイトちゃん。というか、未来のフェイトちゃんはなんでそんな平然としているのかがわからなかった。
「まぁ、そこんところの説明も、へいと、よろしく」
 未来のフェイトちゃんに丸投げして、レヴィはニコニコと私とフェイトちゃんを見やる。さっきまでのようなあからさまな視線ではないけれど、微妙に居心地の悪いものだった。でもまぁ、今回ばかりは自業自得なので、どうしようもなかった。そんな居心地の悪い視線を浴びる中、未来のフェイトちゃんの話は再開することになったんだ……。

テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学

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