こんばんは、すいもうです。
さて、今日でもぎ取ったお休みも終わりですねぇ。
四日間ってあっという間でした。
まぁ、それなりに楽しかったので、問題はないんですけどね。
まぁ、それはさておき。
今回は、小さいフェイトさんです。
ラストでちょい波乱。+ついに本性が。
どういうことなのかは、追記にて。
では、お黄泉ください。
夢、吹きすぎし~月想う~ 百五十四話
「──ふんふん。なるほどね」
レヴィが興味深そうな顔をして、頷いている。
未来の私は、逆に不思議そうな顔をしていた。いまはレヴィになにかを説明しているわけじゃなかった。なのにレヴィはなにかを納得したかのような顔をしている。それがどういうことなのか。私にも未来の私にもわからない。たぶんなのはと未来のなのはも同じかもしれない。ただシンシアだけは、なにか感じ取っているように思えるけれど、あくまでも私の推測にしかすぎないから、事実とは限らないのだけど。
「どうかしたの? レヴィ」
未来の私が尋ねる。レヴィは、なんでもないよ、と言って、楽しそうな顔をしている。まるで誰かと会話をしているかのようだった。でも念話をしているようには見えなかったし、そもそもこの場の誰と念話をしていたというのか。
なのはは除外、未来のなのはもシンシアの相手をするのに余裕がないから、やはり除外。その当のシンシアもまた除外するとなると、私か未来の私、もしくはこの場にはいない第三者の可能性が出てくる。私と未来の私もまた除外するから、普通に考えれば第三者ということになるのだろうけれど、この蒼い世界には、いまのところ私たち六人しかいない。レヴィが出てきたように、どこからに隠れている可能性もなくはないのだろう。仮にそうだとしても、レヴィのいまの反応はあからさますぎる。それではほかにも誰かいますよ、と言っているようなものだった。
未来の私とのやり取りを見るかぎり、レヴィは裏表のない子だった。もっと言えば、人を騙すことができないタイプ。逆に騙されやすいタイプだと思う。そうなると当然演技もまた下手だろう。そんな演技下手な彼女が、あからさまな態度を取った。それはつまり、ほかにも誰かがいますよ、というポーズをするためではないだろうか。むしろそれ以外に、レヴィがああいう反応をした理由が思いつかない。
もっともそれにしたって、なんでそんなことをしたのかという意味が、やはり思いつかなかった。いたずらに私たちを混乱させるだけで、そんなことをしてレヴィになんのメリットがあるのか。ただのいたずらと言われてしまえば、それで納得するしかないのだろうけれど、そんないたずらを現状で行った意図がわからない。いたずら自体意図なんて存在しないものではある。けれどいたずらを仕掛けるにしても、タイミングというものがある。現状は決して適したタイミングとは言い切れない。
それなのに強行したのは、どうしてだろう。空気が読めなかったとしても、ちょっと無理がある気がする。なら無理なく、なおかつきちんとした意図があるとすれば、それはどんなものだろうか。レヴィの取った、たったひとつの反応で私はそんなことを考えてしまっていた。考える必要もないことを、大真面目に考えてしまっている自分が、どこか滑稽に思えた。それでもレヴィの反応は、いまいち納得できないものだったので、こうして考えてしまうのも無理もなかった。
「ふぅん?」
にやり、と不意にレヴィが笑ったように見えた。私を見て、明らかに楽しそうな顔をしていた。その表情は、いままでのレヴィのそれとは似ても似つかないものだった。私が抱いていたレヴィとは別人と思える印象を与えてくれる。なぜか背筋がうすら寒く感じられてしまった。
「レヴィ? どうしたの?」
未来の私がやはり不思議そうな顔をしている。レヴィはなんでもないよぉ、と言ってニコニコと笑い始める。でも目は笑っていない。笑わずに、私を面白そうに見つめている。なにかが彼女の琴線に触れてしまったのか。それともまるで別のなにかしらの要素でもあったのか。どちらにしろ、いまのレヴィに見つめられるのは、あまり心地よくなかった。
「あ、あの、未来の私」
「うん?」
「は、話の続きをお願いします」
「え? あ、うん、そうだね」
居心地の悪さを感じつつも、いまは未来の私からレヴィについての話を聞くのが先決だ。そう思った。だからこそレヴィの視線は一度横に置き、レヴィ自身についての話をしてもらおう。そう思った。思ったのだけど、どうもそうすんなりとは事が運んでくれはしないようだった。
「あのさ、レヴィ。私の嫁に熱視線を送ってくれているようだけど、フェイトちゃんは私のものだから、そんなに熱い視線を投げかけてもあげられないからね」
私の隣にいたなのはがそんなことを言い出した。いきなりなにを言い出すのと思ったけれど、なのはなりにレヴィの態度の変化に気づいたからこその牽制なのだと思う。でも、わざわざ私の肩に腕を回す必要はないと思うのだけど、いまのなのはには、なにを言っても無駄だった。未来の私も、なのははやっぱりなのはなんだよねぇ、とため息混じりに言っているから、なにを言っても無駄なことはわかりきっているのだろう。私よりも「高町なのは」のことを知っている未来の私が言うのだから、説得力は凄まじいものがあった。私って、もしかしたら、とんでもない人のお嫁さんになろうとしているのかな。背筋を冷たい汗が伝っていくのを感じつつ、レヴィを見やる。レヴィはにこりと笑いながら、なんのこと、と首を傾げている。それだけを見ると、なのはが言いがかりをつけているようにしか見えないのが、不思議だった。
でも実際はそうじゃない。それが伝わりづらいのが難点と言えば、難点だった。
「ごまかさないでよ、レヴィ」
「ごまかしてはいないんだけどな? ボクは」
「嘘だね。本当のことを言ってよ」
「あっちのなにょはもやっぱり頑固だねぇ」
くすくすとレヴィが笑う。その表情はやっぱり私がいままで抱いていたレヴィの印象とはかけ離れた笑顔だった……。
テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学
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