こんばんは、すいもうです。
今日で艦これの春イベはおしまいですねぇ。
親潮は結局ダメっぽいです。
まぁ、備蓄していなかったから仕方がないんでしょうけど←しみじみ
まぁ、それはさておき。
今回は、シンシアちゃんです。
いろいろと勘付いています。
どういうことなのかは、追記にて。
では、お黄泉ください。
夢、吹きすぎし~月想う~ 百五十三話
お父さんが放してくれなかった。
羽交い絞めにされたまま、私はじたばたと暴れることしかできないままだった。時間はあるようでないのに、こんなことをしている場合じゃない。
そう、わかっている。わかっているけれど、いまはとにかくあの蒼髪に一発お見舞いしてあげないと気が済まなかった。
最初からおかしいなぁとは思っていた。だって本来は私が用意するはずの世界が、なぜか蒼い世界になっていた。私の魔力光とはまるで違い、蒼く染まった世界。明らかに異常だった。でもその異常のある世界に、お父さんたちを呼び寄せたのはほかならぬ私自身だった。
躊躇しなかったとは言わない。むしろかなり躊躇していたけれど、あんまりのんびりしていると、お父さんたちが勝手に来てしまう可能性が高かった。お父さんたちに来られる前に、準備を終えておきたかった。だからろくにこの世界についての調査はしなかった。念のために、というか、意味はないとは思ったけれど、誰もいませんよねぇと叫んでも、返事はなかった。それで安全だと確信したわけではないけれど、とりあえず気配等は感じられなかったので、問題はないと思うことにした。でもそれはいま思えば、明らかに失敗だった。なにせ、蒼髪という特大のイレギュラーを生じさせることになってしまったのだから。
いや違うね。あのイレギュラーに私は呼び寄せられてしまったんだ。蒼髪の魔力光は、たぶんこの世界と同じで蒼であるのは、まず間違いない。つまりこの世界は蒼髪が用意した世界だということ。でなければ蒼髪がこの世界にいるわけがない。
仮に自然発生した存在であるとしても、その存在をお父さんとお母さんが知っているわけがなかった。そのうえ、蒼髪もまたお父さんとお母さんを呼び捨てにできるほどに顔見知りだった。そんな人が自然発生した存在なんていうのは、さすがに無理がある。というありえるわけがない。
蒼髪とお父さんとお母さんが既知であることを踏まえると、蒼髪がこの世界を用意したという可能性が、ますます濃厚になってくる。むしろそれ以外に可能性はない。あったとしても、思いつかない以上は、可能性ではないと思う。
とにかくこの世界があの蒼髪が用意した世界だと断定すると、そもそもあの蒼髪はいったいなんのつもりで、私をこの世界に呼び寄せたのか。私を呼び寄せれば、自動的にお父さんとお母さんたちも呼び寄せられるからだろうか。そんな回りくどいことを、蒼髪がするとは思えなかった。むしろそんなことをするくらいならば、あの女はみずからお父さんとお母さんの前に姿を現すと思う。しかも時間や場所を考えずにだ。あの蒼髪はそういうタイプだと思う。そんな奴が、こんな回りくどい真似をわざわざするとは思えない。仮に私が同じ立場であれば、こんな回りくどいことはしない。たしかに確実性はあるかもしれないけれど、さすがに迂遠すぎるから、手段として選びはしない。それは蒼髪とて同じはずだ。
となれば、蒼髪はいったいなんのためにこの世界に私を呼び寄せたのか。お父さんとお母さんに会う以外の目的が、あの女にあるというのか。そのことをまず確かめるべきだとはわかっていた。理性ではそう理解していた。けれど本能や衝動とでも言えばいいのかな。私にはっきりとこう言ってくる。あの蒼髪をぶっ飛ばせ、と。苛立ちゆえの、一時のみの感情に過ぎないというのはわかっていた。わかっていても、あの蒼髪をぶっ飛ばしたいという想いを抑えきることが私にはできなかった。挑発されてしまったということも理由のひとつだとは思う。
でも仮に挑発されていなかったとしても、私はあの蒼髪をぶっ飛ばそうと決めたと思う。あの蒼髪はなんだか危険な気がする。どういう風に危険なのかを、はっきりと説明することはできないけれど、危険だということだけは、はっきりと理解できていた。でもそのことを理解しているのは、私だけみたいだった。だからこそ私はお父さんの拘束から逃れ、あの蒼髪が悪さをしないように、一発お見舞いするべきだった。
でもお父さんはそれを許してくれない。むしろ逆に蒼髪を守ろうとしている。実の娘の私よりも、蒼髪を優先するのか、と思う。言っても仕方がないってことはわかっていた。わかっているけれど、納得できるかどうかは、また別物だった。
「邪魔しないで、お父さん!」
「いや、まぁ、お父さんが言える立場ではないけれど、すぐ実力行使に出ようとするのはどうかと思うよ?」
「そんなの、お父さんに言われたくないもん!」
「……返す言葉がみつからないのが、悲しいな」
お父さんが後ろでため息を吐いた。ため息を吐きながらも、力を一切抜かないところが、実にお父さんらしい。けれどいまはそんなことを言っている場合じゃない。あの蒼髪が悪さをする前に、とっちめてあげないといけないんだ。でもそのためには、お父さんの腕の中から抜け出さないといけないという悪循環。
「あー、もう、どうすればいいの!?」
「いや、そんなことを言われても、お父さんもなにを言えばいいのやら」
お父さんがまたため息を吐いた。でもやっぱり拘束を解いてくれる様子はない。お父さんの拘束から抜け出せないまま、私は蒼髪を睨み続けることしかできなかった……。
テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学
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