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2010.08.09
Googleマップ5周年イベントで押井守監督の空間や時間への考え方についてこってりと聞くことができました
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先日、まさに六本木ヒルズに引っ越しをしたばかりのGoogleで「Googleマップ5周年ユーザー / パートナーイベント」が開催されました。
イベント全体の流れは以下の3部構成。
- Google マップ 5周年を振り返って:GEO製品管理副社長 John Hanke、シニアプロダクトマネージャ 河合敬一ほか
- ゲストスピーカー講演:押井守氏(映画監督)&石井朋彦氏(プロデューサー)、矢部俊男氏(森ビルメディア企画室)
- Google マップ 技術とイノベーション:Google マップ ソフトウェアエンジニア
イベントの中身の中身については、かなりの人がツイッターで流しており、そのまとめである以下を見ていただければ、内容については把握できると思います。
また、思い返して見れば開場と開演の間に1時間の時間が取られていた理由が会場にははっきりとありました。
六本木ヒルズのオープニングの時にあった、あの1/1000スケールの東京模型と言えば、それでわかる人も多いのではないでしょうか?
その模型はその後の新しい要素も追加されて展示してあったのです。これにはホント度肝を抜かれました。
さて、押井さんの話に戻りましょう。そもそもなぜGoogleマップ5周年記念イベントに森ビルの人と押井さんが来るんだろうと、正直一瞬なんで?とは思ったんです。
ただ、それもホントに一瞬で、すぐにそのどう考えてもこれ以上ないという人選理由に気づきました。いやあGoogleの中の人えらすぎます。
というのも、ある世代の人間にとって東京という街を考えるきっかけの人に押井さんのパトレイバー2という映画があるはずです。あれはまさに東京の再定義を考えさせる映画でした。
そして、六本木ヒルズもそうです。都内の中心地ではひさびさになる街のあり方が変わるほどの大規模開発。私はヒルズ以前の街の様子も知っていましたから、ヒルズ以前以後で街を考えないはずがありません。
そして、それをさらに象徴するかの様な展覧会が六本木ヒルズオープンの際には準備されていました。
それが先ほどの1/1000スケールの東京模型が始めて登場した「世界都市展」でした。そして、さらにそこで上映された押井守監督監修の「東京スキャナー」と「東京静脈」。この3点セットに脳みそ打ち抜かれたのは、私だけじゃなかったはずです。
その証拠に六本木ヒルズのオープニング以降もことあるごとにこの映像は六本木ヒルズで上映されています。
そして、地図の世界で考えるとはっきりとGoogleマップ以前以後というのはあります。
もう今となっては信じられないかもしれませんが、Googleマップ以前にはみなが共有できるベースとなる地図のデータというのは実質存在していなかったんです。そうGoogleマップというのはまさにオープンデータの革命だったわけです。
そのGoogleマップの5周年で、しかもGoogleがヒルズに引っ越しするタイミングで、この東京都と地図というテーマでこのメンバー以外が揃うなんて夢の様な話なんです。
さて、前置きはもういいですね。
早速まずはメインの押井さんの話を一気に公開しましょう。
押井さんの話はひとつのテーマが10分ぐらいのひと固まりになっているので、とってもアーカイブ向きで、押井さんが意識されているのかどうかは別にして、とてもありがたいです。
内容はざっくりくくると「押井守監督が語る都市と地図とアニメーション」ってことなんだけど、その範囲にはとても収まらない内容です。
それにいい話というのは、たいていそうですが、その話す人の語り口も含めてのものなので、興味ある人にはぜひじっくり見ていただきたいと思います。それだけの内容がありますから!
▼押井守監督講演1:地図と自分の空間感覚(しばらくピントがズレていてすいません)
※僕にとっての地図というのは、自分が動くことで世界が自動的に生成されるという感覚のもの
▼押井守監督講演2:アニメーションと時間の意図的な生成
※スカイ・クロラは時間をいかに演出するかという作品だった、情報量を一段下げることで失った部分に他の何かを追加することで現実は映画になる
▼押井守監督講演3:パトレイバー2で目指したこと
※自分の主観の外にある空間に関しては時間に置き換えて人は空間を把握している、空間も時間も人間という尺度を離れては存在しない、攻殻機動隊の言葉で言えば「物理現実」こそがヴァーチャルであるということはパト2の時からたくらんでやろうとしていた、映画というのは時間や空間といかに格闘するか?ということ、パト2はロケーションで作った最初の作品、時間を演出することを試みた最初の作品、東京という街をいかに劇化するか、足で作り自分の映画の方法論がすべて確立された作品
▼押井守監督講演・質問1:パト2は東京でテロを起こす映画、その破壊欲求とは?
※いかに効率よくシステムとしての東京を破壊するかということはかなりリサーチした、土木構造物には必ず遊びがある、ひとつの世界を他人という共有ためのベーシックな世界としての地図というのは保たれるべきだろう、驚異は必ず空からやってくる、軍事的視点なしにここまで膨張した都市は東京だけ、都市論として一度破壊してみたかったというのが3割
▼押井守監督講演・質問2:東京スキャナーとセットにある東京静脈は川からの視点、その違いは?
※東京スキャナーは東京への空爆をイメージしていた、軍事的な視点というのはゲリラの視点というのもある、東京の人間は川を意識していない、川は音が聞こえない・車の音が全部聞こえない、東京の別世界、東京静脈はゲリラの侵攻ルート、パト2のコンセプトを2極分解したのが東京スキャナーと東京静脈
そして、ちょっと順番が逆になってしまいましたけど、ある意味押井さん以上に過激だったのが、森ビルの矢部さんの講演。
そのお話を聞いて、とにかく納得したのは、森ビルが都市展とか模型とか、東京スキャナーとか東京静脈とか、なぜ?あえて森ビルが?ということをやり続けてきたのかと言えば、要するに全部この人のせいなのだ!ってことです。
▼森ビルの矢部さん講演前半:都市の見方には妄想力が必要&ヒルズの前に戦車…
▼森ビルの矢部さん講演前半:六本木ヒルズオープン記念の映像を作ったんだけどね…
結局、こういうことなんです。あんな無駄に面白いプロジェクトの裏にはこういう面白い人が必ず控えているのです。いやあ長年の謎がひとつ解けてホントによかった!
ということで、もうこの日はホントにお腹いっぱいで、ちょうどまた個人的に地図と人の意識については考えて始めているという時期でもあり、ホントにすごく良い刺激を受けた1日でした。
そうそう、この辺りの話が好きな人には以下の本もおすすめです。
さて、まだ肝心のGoogleマップの5年間についての話をしていませんね。
イベント最後のパートで、Googleマップの5年間で日本の開発チームが日本だけではなく、いかに世界のGoogleマップに貢献してきたかが話されました。
- 国によって違う住所の表記のためのデータ作り
- 国によって違う駅や高速道路などの表記の違いの処理
- ルート案内の改善
- 時刻表のデータの扱い
私も普段からGoogleマップは愛用しているのですが、ここまで日本のチームが開発に貢献してきたことや、それ以前の問題でこんなにも自分の知らない使い方があったのかとすごくびっくりしました。
同時にこういう機能について、もっとアピールした方がいいのではないかとも思ってしまいました。それぐらいにGoogleマップについて知らないことが多すぎました。
たしかにGoogleマップは知らない間に実装されている機能も多いし、新しい機能が実装されても、それ以前のやり方もそのまま使えてしまったりするから、なかなかまとめて紹介するという機会を難しいとは思うのですが!
Googleマップについては、もっともっと手を替え品を替えて、もっともっと世の中に知られるべきだとも思いました。
ということで、Googleのみなさんホントにありがとうございました。ホント心に残るすばらしいイベントでした。
【追記】
YouTubeのGoogleチャンネルにも、動画アップされていました。
リンク: YouTube - googlejapan さんのチャンネル.
このイベントをきっかけにして、Googleマップチームが話してくれたイノベーションに関するインタビューは、以下の著書に収録されています。
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投稿:by いしたにまさき 2010 08 09 03:08 AM [映画・テレビWebサービス] | 固定リンク
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