まだ乾ききってないスポイト。
使い道消えた。
普段はただのゴミなのに
なぜこんなにも悲しいの。
残ってしまった薬。
ごはんに混ぜて食べなくて
「ああ!この薬高いのに…もう一袋開けてスポイトじゃん!」
なんて文句。
いえた頃が幸せだった。
最後は余ってしまったの。
たくさん文句ゆったけど
積み重なる医療費、いつまでも払っていたかった。
掃除苦手なんだから
さっさと捨てなよ!と怒られそうだけど
腐るまで、風化するまでもう少し。
もうなくなる定位置の布団のへこみ。
ほわほわした抜け毛。
綿にしみつく動物臭。
きっと寝心地よくなるはずなのに。
ローズでもない、フレッシュグリーンでもない
あの香りに包まれたいの。
並べなくてよくなる食器。
それはもう早くからなんとなく塑像できたこと。
だからスポイトや布団のへこみや
気にも留めなかった些細なことが強く胸を刺すよ。
こんな現実が増えていくよ。
こんなところに。
あんなところに。
たくさんの小さな影を拾い集めては
こま切れに涙するよ、きっと。
あのバスタオルのシミは
あの時の葡萄。
落ちない汚れ、どうかこのまま永遠に消えないで。
ごはんも食べれるよ。
テレビも見れるよ。
カラオケで歌も歌えるよ。
仕事に行ってニコニコ笑えるよ。
睡眠なんて、君がいたころよりきっと取れるよ。
夜中の咳、荒い呼吸。
これからは爆睡してやるんだ。
朝までずっと起きないんだ。
そんな健康的なことが、なぜ私はうれしくないの。
本格的な介護してあげるつもりまんまんで
「ペットが危ないので介護したいんです」なんて
社会人的にアウトだろう説明して
いざとなったら転職も…。
そんな悩み全部「必要ないから、まじめに働きなよ」って
かっさらって消していった。
小言が空から降ってきます。
人生の岐路にたくさん付き合わせて
ご心配、ご迷惑おかけしました。
雑だから、時々忘れちゃうかもしれない。
というか、たぶん忘れちゃう。
でも思い出すよ。
何度でも、何度でも。
目に見える思い出がひとつひとつ消えて
上書きされたりすることがあっても
写真とか動画とか
せこく記憶呼び戻すアイテム使うかもだけど。
整理整頓が苦手だから
予期せぬ思い出が宝探しみたいに出てくるだろうね。
悲しいの。
一緒にいれなくなったこと。
だけど
苦しみから解放されてくれたこと嬉しいの。
いっそ発作がばーんって起こったほうが…なんて
思ってごめん。
でも本心だった。
いなくなってほしいわけじゃない。
でも楽になってほしかったの。
頑張ってほしいけど
頑張ってほしくなかった。
でも今、頑張ってほしかったと思うなんて
鬼だね(笑)
鬼ババだ(笑)
愛の言葉も愚痴も尽きません。
お礼も謝罪も尽きません。
言いたいことはあとをたちません。
明日になればまた、気持ちが変わります。
裏切者め!なんて暴言も吐くかもしれません。
旅立つのなら「いってらっしゃい」と見送ります。
帰ってくるなら「おかえり」とドアを開けます。
ずっととどまるなら、ニートは困ります(笑)。
いつでもここはあなたの家です。
どんなに時が経っても遠慮しないでね。
待っています。
姿形変わっても出会えること。
「老けたね」と言わないでね。
わたしは年を取ります。
時間と歩みます。
さよならは言葉にしてもしなくても
やっぱりさよならに変わりはありません。
別れは別れです。
神龍はいないし
チームドラゴンはお願いできませんでした。
奇跡はおきませんでした。
でもおきたのかもしれないね。
わたしには。
こんなわたしが独身の頃
お金を持って調子に乗っていた時に
あなたがショップに並んでいた。
その出会いはきっとランキング上位に入るわたしの奇跡です。
なんのドラマもない出会いですが
BGMにgreenの「キセキ」を流して編集すれば
きっとそれなりになるでしょう。
悲しいの、とても。
消えることはないとわかっているから
悲しみごとラッピングして胸にしまいます。
楽しく楽しく暮らします。
先にでかけてしまった君が
悔しくてうらやましくて
ついつい玄関のドアを開けてしまうように。
不甲斐無いばかりに
君の声を解読できなくてごめんね。
スピードラーニングの犬版が販売されたら
真っ先に買うことにするよ。
でもその前に
人間語、勉強してもらったほうが早いかもね。
君のほうが頭がよさそうだから。
他力本願。
責任転嫁。
ほめられない四文字熟語が並ぶわたしと
一緒にいてくれてありがとう。
もう少しお付き合いください。
あとちょっと一緒にいてください。
忘れてしまいそうなので文字にしました。
記録しておいたから
わたしがボケたら
「ほら!こんなこと書いてるじゃんよ!」って
この証拠物件をを突き付けてください。
認めます。
たくさん忘れてしまうことがあると思うけど
愛しています。
家族みんな君を愛しています。
でもわたしが特に一番!愛しています(笑)。
そして君も私を特に一番!愛していると信じています(笑)。