『ヴィルヘルム・バックハウス・エディション』(1)
Profilの分売盤8枚に新盤2枚を追加してBOX化した『ヴィルヘルム・バックハウス・エディション』。分売盤のうち買ったことがあるのは《Live at Carnegie Hall》のみ。
BOXセットの収録曲リストを見た時は買う気はあまりなかったけど、NMLで聴いていたら、戦前の録音が結構面白い。戦後のライブ録音も、同じ曲目ならDecca盤スタジオ録音よりも躍動感や推進力が強く感じるので、バックハウスはライブの方が良いと言われるのもわかる気がする。
今まで聴いたバックハウスの録音のなかで私が好きなのは、1950年代の録音、つまり、バックハウスが70歳前後のモノラル録音が多い。この頃はテンポも落ちず力強さもあり技巧的な衰えを感じることがない。このBOXセットには、その時代のライブ録音が多数収録されているのが◎。
※CDは1枚づつペラペラの白封筒に封入。フリップが糊付けされているので、破れないように剥すのに手間がかかった。封筒にはトラック情報も書かれていないし、分売盤をまとめて再発売した廉価版(円安のせいか、そんなに安くはなかったけど)らしいローコストなつくり。
※ブックレットは表裏紙含めて32頁。収録曲情報(7頁)、解説文(ドイツ語と英語)、写真(青年~壮年時、バックハウスへ送られた言葉・献辞[ブラームス、ラフマニノフ、ローゼンタールによる]、ニキシュの賛辞)。
※解説文は、バックハウスのプロフィールで戦前の話がほとんどで、収録曲の作品解説はない。全然知らない話も多かったので、面白かった。
※1984年生まれのバックハウスは、当時の有名な音楽家と親交があったり、一緒に演奏したりしたという話がたくさん出てくる。ブラームスが10歳のバックハウスに送った言葉や、練習曲集「音の絵」の楽譜に書かれたラフマニノフの献辞の写真も載っている。
<収録曲>
Disc1:協奏曲(1940年)とピアノ・ロール
Disc2:1908-1940年の録音集
Disc3:ショパン/練習曲集(1928年録音)
Disc4-5:ブラームス/ピアノ協奏曲第1番&第2番(Deccaスタジオ録音)、1959年ウィーン音楽祭ライヴ(ハイドンの独奏曲3曲)
Disc6-8:カーネギー・ホール・ライヴ(1954年3月30日、1956年3月18日、1956年4月11日) ベートーヴェン/ピアノ・協奏曲第4
番、ピアノ・ソナタ、アンコール
Disc9:モントルー・ライヴ(1961年5月24日) ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番(フリッチャイ指揮スイス・ロマンド管)
Disc10:日比谷公会堂ライヴ(1954年5月3日) ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番「皇帝」(上田仁指揮東京交響楽団)、ショパン/練習曲第13番
※Disc1~Disc8は既発分売盤と同じ音源。Disc9はたぶん初出(他レーベルにも録音ないと思う)、Disc10はProfil盤としては初出(他レーベルで録音あり)
※Youtube再生リスト
パブリックドメインや音質の悪い音源が多いので、ちょっと割高かな?と思いながら購入。NMLやCDでDECCA盤や他レーベルのリマスタリングと聴き比べると、曲によっては、若干籠り気味の音質。
Decca盤はクリアな音質だけど、ざらついて古めかしい音になる。Profile盤は、音の輪郭は滑らかでざらつきもなく、響きもまろやかなので、自然な音に近く聴きやすいけど、低音や細部の音の分離が悪いので、どちらも一長一短。
このBOXセットを買って良かったと思う点:
1)試聴したときよりも音質は比較的良いものが多くて聴きやすい。Decca録音のある曲で比較すると、若干籠った音質で、鮮明さと音の分離でやや劣るけど、音の輪郭に丸みがあり、ざらついた感じのないアコースティックな音で聴きやすい。
2)ピアノロールの復刻音源は人工的に作られたような音で綺麗で聴きやすい。SP録音の復刻音源は音質がかなり悪いものが多い。どちらもバックハウス編曲版が入っていたり、若い頃のバックハウスのレパートリーや演奏がどういうものだったか聴けて面白い。
3)Profile盤だけが収録しているライブ音源(1956年のカーネギーライブ、1961年のベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番)が入っている。
4)他レーベルが発売している1953年の東京公演の「皇帝」も入っている。
若い頃の稀少な演奏が聴ける、モノラル時代のライブ録音でも音質が結構良い、分売盤を集めるよりも低コスト、という点を考えれば、BOXセットはお得だった。
特に聴けて良かったのは(昔聴いたことのある音源も含めて)、若い頃のピアノロールとSP録音、ショパンの《練習曲集》、ブラームスの《ピアノ協奏曲第2番》(1953年Deccaスタジオ録音、シューリヒト指揮)、ベートーヴェンの《ピアノ協奏曲第4番》(1961年ライブ録音、初出音源?)、ハイドンのピアノ独奏曲3曲のライブ録音(Deccaスタジオ録音[国内盤]よりもずっと音質が良い)、2つのカーネギーライブ(1954年、1956年)。(ということは、収録曲のほとんど)
<個々の録音について>
Disc1:協奏曲(1940年)とピアノ・ロール
1. モーツァルト:ピアノ協奏曲第26番ニ長調 K.537『戴冠式』 カデンツァ:バックハウス(1940年録音)
2. モーツァルト/バックハウス編 :ドン・ジョヴァンニのセレナード(1923年ロール)
3. R.シュトラウス/バックハウス編 :セレナード Op.17-2(1924年ロール)
4. ピック=マンジャガッリ:オーラフの踊り Op.33-2(1923年ロール)
5. ショパン/バックハウス編 :ピアノ協奏曲第1番~ロマンツェ(1925年ロール)
6. クライスラー/ラフマニノフ編:愛の悲しみ(1926年ロール)
7. ドリーブ/ドホナーニ編:ナイラ・ワルツ(1923年ロール)
8. リスト:演奏会用練習曲『軽やかさ』(1928年ロール)
9. メンデルスゾーン/リスト編:結婚行進曲によるパラフレーズ(1926年ロール)
10. ブラームス:パガニーニの主題による変奏曲 Op.35より(1924年ロール)
若い頃はこういう小品を演奏していたのが分かって面白い。ピアノロールは人工的に作ったような音なので、かなり聴きやすい。モーツァルトの協奏曲も録音年代のわりに非常に音質が良い。
収録曲にはバックハウス自身の編曲も多い。バックハウスが弾くベートーヴェンのピアノ協奏曲を聴く楽しみの一つは自作カデンツァ。昔から編曲を手掛けていたせいか、こなれたカデンツァだったせいかもしれない。
後年のバックハウスは弾かなかったらしいショパンの《ピアノ協奏曲第1番》の第2楽章ロマンツァは、バックハウス編曲版。
Piano Concerto No. 1 in E Minor, Op. 11, B. 53: II. Romance. Allegro (Arr. W. Backhaus for Piano)
3 Old Viennese Dances: No. 2, Liebesleid (Arr. for Piano)
とても好きなシュトラウス歌曲のピアノ編曲版。さざ波が煌くようなパッセージが綺麗。
6 Lieder, Op. 17, TrV 149: No. 2, Ständchen (Arr. W. Backhaus for Piano)
Disc2:1908-1940年の録音集
1. ラフマニノフ:前奏曲 嬰ハ短調 Op.3-2(1908年9月録音)
2. リスト:愛の夢 第3番(1908年9月録音)
3. ウェーバー:ピアノ・ソナタ第1番~無窮動(1908年9月録音)
4. ショパン:幻想即興曲 Op.66(1908年9月録音)
5. リスト:ハンガリー狂詩曲第2番嬰ハ短調(1928年1月録音)
6. ドリーブ/ドホナーニ編:ナイラ・ワルツ(1925年11月録音)
7. シューベルト/バックハウス編:軍隊行進曲変ホ長調 Op.51-1(1928年1月録音)
8. ショパン:子守歌 Op.57(1940年録音)
9. モシュコフスキ:スペイン奇想曲 Op.37(1940年録音)
10. メンデルスゾーン/ハッチソン編:真夏の夜の夢~スケルツォ(1940年録音)
11. アルベニス:イベリア~トゥリアーナ(1940年録音)
12. リスト:演奏会用練習曲『森のささやき』(1940年録音)
13. ショパン:小犬のワルツ Op.64 の1(1926年録音)
14. ブラームス:自作主題による変奏曲 Op.21-1(1940年録音)
15. ブラームス:パガニーニの主題による変奏曲 Op.35(1940年録音)
Disc2の音質はさすがに良くないけど、好きな曲が多いし、ウェーバーの《ピアノ・ソナタ第1番》の「無窮動」とか急速系の曲で細かいパッセージが続く曲は、バックハウスの指回りの良さが冴えて鮮やか。
《子犬のワルツ》はバックハウス独自のイントロ付きで、緩急の落差がかなり大きくてちょっと面白い。(カーネギーホールのライブ録音のアンコール曲でもイントロ付けていた)
Piano Sonata No.1 in C Major, Op. 24, J. 138: IV. Rondo. Presto "Perpetuum mobile"
Caprice espagnol, Op. 37
A Midsummer Night’s Dream, Op. 61, MWV M 13: I. Scherzo (Arr. E. Hutcheson for Piano)
Iberia, B. 47, Book 2: No. 3, Triana
1940年録音のわりに音質が良くて聴きやすいブラームスの《パガニーニ変奏曲第2巻》。ピアノロールの演奏は第1巻と第2巻からの抜粋。バックハウスの《パガニーニ変奏曲》の録音は他に残っていないので貴重な録音。ピアノロールの復刻音源は、実際の演奏に結構近いレベルで再現されているのかもしれない。
Variations on a Theme by Paganini, Op. 35 (Book2)
協奏曲とピアノロール:Disc1とDisc2の分売盤の紹介文が載っている。その中で突然出て来た「池田理代子の名作「オルフェウスの窓」」。私がバックハウスのことを知ったのは、まさにこのマンガだった。私の記憶では、当時シュナーベルと対比されて、音楽界ではバックハウスのベートーヴェンには精神性や音楽性がないとかネガティブな評価をされていたが、ウィーン音楽院で勉学中のイザークにとっては、バックハウスこそが理想のベートーヴェン弾きだった..という風に描かれていた。(数十年前に読んだきりで、本は処分してしまったので、記憶がかなり怪しい)
BOXセットの収録曲リストを見た時は買う気はあまりなかったけど、NMLで聴いていたら、戦前の録音が結構面白い。戦後のライブ録音も、同じ曲目ならDecca盤スタジオ録音よりも躍動感や推進力が強く感じるので、バックハウスはライブの方が良いと言われるのもわかる気がする。
今まで聴いたバックハウスの録音のなかで私が好きなのは、1950年代の録音、つまり、バックハウスが70歳前後のモノラル録音が多い。この頃はテンポも落ちず力強さもあり技巧的な衰えを感じることがない。このBOXセットには、その時代のライブ録音が多数収録されているのが◎。
ヴィルヘルム・バックハウス・エディション(10CD) (2021年06月10日) バックハウス、ベーム、ウィーン・フィル、シューリヒト、グイド・カンテッリ、ニューヨーク・フィル、フェレンツ・フリッチャイ、スイス・ロマンド管、上田仁東京交響楽団 |
※CDは1枚づつペラペラの白封筒に封入。フリップが糊付けされているので、破れないように剥すのに手間がかかった。封筒にはトラック情報も書かれていないし、分売盤をまとめて再発売した廉価版(円安のせいか、そんなに安くはなかったけど)らしいローコストなつくり。
※ブックレットは表裏紙含めて32頁。収録曲情報(7頁)、解説文(ドイツ語と英語)、写真(青年~壮年時、バックハウスへ送られた言葉・献辞[ブラームス、ラフマニノフ、ローゼンタールによる]、ニキシュの賛辞)。
※解説文は、バックハウスのプロフィールで戦前の話がほとんどで、収録曲の作品解説はない。全然知らない話も多かったので、面白かった。
※1984年生まれのバックハウスは、当時の有名な音楽家と親交があったり、一緒に演奏したりしたという話がたくさん出てくる。ブラームスが10歳のバックハウスに送った言葉や、練習曲集「音の絵」の楽譜に書かれたラフマニノフの献辞の写真も載っている。
<収録曲>
Disc1:協奏曲(1940年)とピアノ・ロール
Disc2:1908-1940年の録音集
Disc3:ショパン/練習曲集(1928年録音)
Disc4-5:ブラームス/ピアノ協奏曲第1番&第2番(Deccaスタジオ録音)、1959年ウィーン音楽祭ライヴ(ハイドンの独奏曲3曲)
Disc6-8:カーネギー・ホール・ライヴ(1954年3月30日、1956年3月18日、1956年4月11日) ベートーヴェン/ピアノ・協奏曲第4
番、ピアノ・ソナタ、アンコール
Disc9:モントルー・ライヴ(1961年5月24日) ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番(フリッチャイ指揮スイス・ロマンド管)
Disc10:日比谷公会堂ライヴ(1954年5月3日) ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番「皇帝」(上田仁指揮東京交響楽団)、ショパン/練習曲第13番
※Disc1~Disc8は既発分売盤と同じ音源。Disc9はたぶん初出(他レーベルにも録音ないと思う)、Disc10はProfil盤としては初出(他レーベルで録音あり)
※Youtube再生リスト
パブリックドメインや音質の悪い音源が多いので、ちょっと割高かな?と思いながら購入。NMLやCDでDECCA盤や他レーベルのリマスタリングと聴き比べると、曲によっては、若干籠り気味の音質。
Decca盤はクリアな音質だけど、ざらついて古めかしい音になる。Profile盤は、音の輪郭は滑らかでざらつきもなく、響きもまろやかなので、自然な音に近く聴きやすいけど、低音や細部の音の分離が悪いので、どちらも一長一短。
このBOXセットを買って良かったと思う点:
1)試聴したときよりも音質は比較的良いものが多くて聴きやすい。Decca録音のある曲で比較すると、若干籠った音質で、鮮明さと音の分離でやや劣るけど、音の輪郭に丸みがあり、ざらついた感じのないアコースティックな音で聴きやすい。
2)ピアノロールの復刻音源は人工的に作られたような音で綺麗で聴きやすい。SP録音の復刻音源は音質がかなり悪いものが多い。どちらもバックハウス編曲版が入っていたり、若い頃のバックハウスのレパートリーや演奏がどういうものだったか聴けて面白い。
3)Profile盤だけが収録しているライブ音源(1956年のカーネギーライブ、1961年のベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番)が入っている。
4)他レーベルが発売している1953年の東京公演の「皇帝」も入っている。
若い頃の稀少な演奏が聴ける、モノラル時代のライブ録音でも音質が結構良い、分売盤を集めるよりも低コスト、という点を考えれば、BOXセットはお得だった。
特に聴けて良かったのは(昔聴いたことのある音源も含めて)、若い頃のピアノロールとSP録音、ショパンの《練習曲集》、ブラームスの《ピアノ協奏曲第2番》(1953年Deccaスタジオ録音、シューリヒト指揮)、ベートーヴェンの《ピアノ協奏曲第4番》(1961年ライブ録音、初出音源?)、ハイドンのピアノ独奏曲3曲のライブ録音(Deccaスタジオ録音[国内盤]よりもずっと音質が良い)、2つのカーネギーライブ(1954年、1956年)。(ということは、収録曲のほとんど)
<個々の録音について>
Disc1:協奏曲(1940年)とピアノ・ロール
1. モーツァルト:ピアノ協奏曲第26番ニ長調 K.537『戴冠式』 カデンツァ:バックハウス(1940年録音)
2. モーツァルト/バックハウス編 :ドン・ジョヴァンニのセレナード(1923年ロール)
3. R.シュトラウス/バックハウス編 :セレナード Op.17-2(1924年ロール)
4. ピック=マンジャガッリ:オーラフの踊り Op.33-2(1923年ロール)
5. ショパン/バックハウス編 :ピアノ協奏曲第1番~ロマンツェ(1925年ロール)
6. クライスラー/ラフマニノフ編:愛の悲しみ(1926年ロール)
7. ドリーブ/ドホナーニ編:ナイラ・ワルツ(1923年ロール)
8. リスト:演奏会用練習曲『軽やかさ』(1928年ロール)
9. メンデルスゾーン/リスト編:結婚行進曲によるパラフレーズ(1926年ロール)
10. ブラームス:パガニーニの主題による変奏曲 Op.35より(1924年ロール)
若い頃はこういう小品を演奏していたのが分かって面白い。ピアノロールは人工的に作ったような音なので、かなり聴きやすい。モーツァルトの協奏曲も録音年代のわりに非常に音質が良い。
収録曲にはバックハウス自身の編曲も多い。バックハウスが弾くベートーヴェンのピアノ協奏曲を聴く楽しみの一つは自作カデンツァ。昔から編曲を手掛けていたせいか、こなれたカデンツァだったせいかもしれない。
後年のバックハウスは弾かなかったらしいショパンの《ピアノ協奏曲第1番》の第2楽章ロマンツァは、バックハウス編曲版。
Piano Concerto No. 1 in E Minor, Op. 11, B. 53: II. Romance. Allegro (Arr. W. Backhaus for Piano)
3 Old Viennese Dances: No. 2, Liebesleid (Arr. for Piano)
とても好きなシュトラウス歌曲のピアノ編曲版。さざ波が煌くようなパッセージが綺麗。
6 Lieder, Op. 17, TrV 149: No. 2, Ständchen (Arr. W. Backhaus for Piano)
Disc2:1908-1940年の録音集
1. ラフマニノフ:前奏曲 嬰ハ短調 Op.3-2(1908年9月録音)
2. リスト:愛の夢 第3番(1908年9月録音)
3. ウェーバー:ピアノ・ソナタ第1番~無窮動(1908年9月録音)
4. ショパン:幻想即興曲 Op.66(1908年9月録音)
5. リスト:ハンガリー狂詩曲第2番嬰ハ短調(1928年1月録音)
6. ドリーブ/ドホナーニ編:ナイラ・ワルツ(1925年11月録音)
7. シューベルト/バックハウス編:軍隊行進曲変ホ長調 Op.51-1(1928年1月録音)
8. ショパン:子守歌 Op.57(1940年録音)
9. モシュコフスキ:スペイン奇想曲 Op.37(1940年録音)
10. メンデルスゾーン/ハッチソン編:真夏の夜の夢~スケルツォ(1940年録音)
11. アルベニス:イベリア~トゥリアーナ(1940年録音)
12. リスト:演奏会用練習曲『森のささやき』(1940年録音)
13. ショパン:小犬のワルツ Op.64 の1(1926年録音)
14. ブラームス:自作主題による変奏曲 Op.21-1(1940年録音)
15. ブラームス:パガニーニの主題による変奏曲 Op.35(1940年録音)
Disc2の音質はさすがに良くないけど、好きな曲が多いし、ウェーバーの《ピアノ・ソナタ第1番》の「無窮動」とか急速系の曲で細かいパッセージが続く曲は、バックハウスの指回りの良さが冴えて鮮やか。
《子犬のワルツ》はバックハウス独自のイントロ付きで、緩急の落差がかなり大きくてちょっと面白い。(カーネギーホールのライブ録音のアンコール曲でもイントロ付けていた)
Piano Sonata No.1 in C Major, Op. 24, J. 138: IV. Rondo. Presto "Perpetuum mobile"
Caprice espagnol, Op. 37
A Midsummer Night’s Dream, Op. 61, MWV M 13: I. Scherzo (Arr. E. Hutcheson for Piano)
Iberia, B. 47, Book 2: No. 3, Triana
1940年録音のわりに音質が良くて聴きやすいブラームスの《パガニーニ変奏曲第2巻》。ピアノロールの演奏は第1巻と第2巻からの抜粋。バックハウスの《パガニーニ変奏曲》の録音は他に残っていないので貴重な録音。ピアノロールの復刻音源は、実際の演奏に結構近いレベルで再現されているのかもしれない。
Variations on a Theme by Paganini, Op. 35 (Book2)
協奏曲とピアノロール:Disc1とDisc2の分売盤の紹介文が載っている。その中で突然出て来た「池田理代子の名作「オルフェウスの窓」」。私がバックハウスのことを知ったのは、まさにこのマンガだった。私の記憶では、当時シュナーベルと対比されて、音楽界ではバックハウスのベートーヴェンには精神性や音楽性がないとかネガティブな評価をされていたが、ウィーン音楽院で勉学中のイザークにとっては、バックハウスこそが理想のベートーヴェン弾きだった..という風に描かれていた。(数十年前に読んだきりで、本は処分してしまったので、記憶がかなり怪しい)
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