F.P.ツィンマーマンの新しいヴァイオリン”General Dupont, Grumiaux”
数ヶ月前に「ツィンマーマンとストラディヴァリウス“Lady Inchiquin“」に書いたとおり、13年間引き続けていたストラディバリ”Lady Inchiquin”の買取・リース契約交渉が不調に終わったため、貸与期限到来で投資ファンドに返却したツィンマーマンに、新しいヴァイオリンがようやく見つかった。
同じくストラディヴァリで、グリュミオーのヴァイオリンとして有名な1727年製 'General Dupont, Grumiaux'(ジェネラル・デュポン,グリュミオー)。
グリュミオーが使用していたストラディヴァリは、1715年製'Titian 'と、この'General Dupont '。'Titian'は情報によって貸与、所有の2説あり。'General Dupont' はたぶんグリュミオーが所有?
現在のGeneral Dupontの所有者は中国の篤志家でアマチュアヴァイオリニストのMr Yu。
2015年2月に”Rare Violins of New York”を通じて購入したもので、価格は非公開。(↓の新聞記事では相場価格が260万ユーロほどらしい)
中国本土の中国人がストラディヴァリを所有するのはこれが初めて。
Mr.YuはGeneral Dupontを中国本土でいろいろな演奏家に貸与していたが、昨年10月に公演のため上海にやって来たツィンマーマンに対して、General Dupontを弾いてみないかと提案。
実際に弾いてみたツィンマーマンは、最初の3音を聴いただけで本当に心動かされたという。
上海コンサートでGeneral Dupontを弾いたツィンマーマンの演奏を聴いたMr Yuから、正式に長期貸与された。
Mr.Yuは奨学金・楽器貸与・音楽祭などを通じて、中国人演奏家をサポートするフィランソロピー財団”Yu Art Foundation”設立中。
Frank Peter Zimmermann on his new 1727 'General Dupont' Stradivarius
Frank Peter Zimmermann receives ‘General Dupont’, ‘Grumiaux’ Stradivarius on long-term loan[TheStrad.com]
ツィンマーマンの話しでは、”最近では音楽家が入手できる優れたヴァイオリンがますます少なくなっている。ヴァイオリンは今や投資家のターゲットとなっており、彼らは偉大な楽器を買いたがるが、それを金庫に入れてしまう。数十年のうちにヴァイオリンが消えてしまいかねない。現在の”crazy prices”では、かなり成功したアーティストでさえヴァイオリンを買うことは不可能なので、Mr.Yuのような篤志家の役割が重要になる。”
このツィンマーマンのライブ映像で弾いているのが、“Lady Inchiquin“。
苦手な無伴奏ヴァイオリン曲の中で、例外的に好きなバッハの《無伴奏ヴァイオリンソナタ第2番》第3楽章アンダンテは、ツィンマーマンのアンコール曲の定番。
一番有名な「シャコンヌ」でさえ、ほとんどブゾーニのピアノ編曲版で聴いているのに、この曲だけはヴァイオリンで何度聴いても大丈夫。
J. S. Bach - Sonata for Solo Violin No. 2, BWV 1003 (Proms 2012)
ついでに余談。
260万ユーロ相当の”General Dupont”を米国人の女性ヴァイオリニストがドイツの列車の棚に置き忘れたと、ロイターのニュースになっていた。
⇒その後、ヴァイオリンの現所有者が購入元のディーラーを通じて、このニュースは誤報であり、”General Dupont”はドイツ国内にはないし、米国人女性ヴァオリにストに貸与したこともないという声明を出した。どうやら楽器の名前を間違って報道したのでは。
楽器置き忘れ事件で有名なのは、ヨーヨー・マ。
NYのタクシーのトランクに入れてあったチェロ(モンタニアーナ)を置き忘れたまま、ホテルに戻ったという。警察やタクシー組合もそのタクシーの捜索に乗り出して、話題になったらしい。
リン・ハレルも、NYのタクシーにチェロ(ストラディバリ)を忘れたというし、ヴァイオリンやチェロに限らず、持ち歩く楽器というのは置き忘れることがあるようだ。
数億円もする楽器を列車やタクシーに置き忘れるのが不思議な気はするけれど、いつも持ち歩いて弾いていると、そういうことは気にしなくなるのかも。(性格もあるだろうけど)
さすがに持ち運べないピアノなら、置き忘れる心配は全然ない。
ドイツで網棚に3億円ストラディバリウス置き忘れ、発車1分前に発見(reuters.com)
NYタイムズ電子版が無料になって読めたヨーヨー・マの“あの”事件[善福寺手帳]
同じくストラディヴァリで、グリュミオーのヴァイオリンとして有名な1727年製 'General Dupont, Grumiaux'(ジェネラル・デュポン,グリュミオー)。
グリュミオーが使用していたストラディヴァリは、1715年製'Titian 'と、この'General Dupont '。'Titian'は情報によって貸与、所有の2説あり。'General Dupont' はたぶんグリュミオーが所有?
現在のGeneral Dupontの所有者は中国の篤志家でアマチュアヴァイオリニストのMr Yu。
2015年2月に”Rare Violins of New York”を通じて購入したもので、価格は非公開。(↓の新聞記事では相場価格が260万ユーロほどらしい)
中国本土の中国人がストラディヴァリを所有するのはこれが初めて。
Mr.YuはGeneral Dupontを中国本土でいろいろな演奏家に貸与していたが、昨年10月に公演のため上海にやって来たツィンマーマンに対して、General Dupontを弾いてみないかと提案。
実際に弾いてみたツィンマーマンは、最初の3音を聴いただけで本当に心動かされたという。
上海コンサートでGeneral Dupontを弾いたツィンマーマンの演奏を聴いたMr Yuから、正式に長期貸与された。
Mr.Yuは奨学金・楽器貸与・音楽祭などを通じて、中国人演奏家をサポートするフィランソロピー財団”Yu Art Foundation”設立中。
Frank Peter Zimmermann on his new 1727 'General Dupont' Stradivarius
Frank Peter Zimmermann receives ‘General Dupont’, ‘Grumiaux’ Stradivarius on long-term loan[TheStrad.com]
ツィンマーマンの話しでは、”最近では音楽家が入手できる優れたヴァイオリンがますます少なくなっている。ヴァイオリンは今や投資家のターゲットとなっており、彼らは偉大な楽器を買いたがるが、それを金庫に入れてしまう。数十年のうちにヴァイオリンが消えてしまいかねない。現在の”crazy prices”では、かなり成功したアーティストでさえヴァイオリンを買うことは不可能なので、Mr.Yuのような篤志家の役割が重要になる。”
このツィンマーマンのライブ映像で弾いているのが、“Lady Inchiquin“。
苦手な無伴奏ヴァイオリン曲の中で、例外的に好きなバッハの《無伴奏ヴァイオリンソナタ第2番》第3楽章アンダンテは、ツィンマーマンのアンコール曲の定番。
一番有名な「シャコンヌ」でさえ、ほとんどブゾーニのピアノ編曲版で聴いているのに、この曲だけはヴァイオリンで何度聴いても大丈夫。
J. S. Bach - Sonata for Solo Violin No. 2, BWV 1003 (Proms 2012)
ついでに余談。
260万ユーロ相当の”General Dupont”を米国人の女性ヴァイオリニストがドイツの列車の棚に置き忘れたと、ロイターのニュースになっていた。
⇒その後、ヴァイオリンの現所有者が購入元のディーラーを通じて、このニュースは誤報であり、”General Dupont”はドイツ国内にはないし、米国人女性ヴァオリにストに貸与したこともないという声明を出した。どうやら楽器の名前を間違って報道したのでは。
楽器置き忘れ事件で有名なのは、ヨーヨー・マ。
NYのタクシーのトランクに入れてあったチェロ(モンタニアーナ)を置き忘れたまま、ホテルに戻ったという。警察やタクシー組合もそのタクシーの捜索に乗り出して、話題になったらしい。
リン・ハレルも、NYのタクシーにチェロ(ストラディバリ)を忘れたというし、ヴァイオリンやチェロに限らず、持ち歩く楽器というのは置き忘れることがあるようだ。
数億円もする楽器を列車やタクシーに置き忘れるのが不思議な気はするけれど、いつも持ち歩いて弾いていると、そういうことは気にしなくなるのかも。(性格もあるだろうけど)
さすがに持ち運べないピアノなら、置き忘れる心配は全然ない。
ドイツで網棚に3億円ストラディバリウス置き忘れ、発車1分前に発見(reuters.com)
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Tag : ツィンマーマン
※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。| ♪ F.P.ツィンマーマン&エンリコ・パーチェ | 2016-04-04 18:00 | comments:0 | TOP↑