ブラームス ~ ヴァイオリンソナタ第1番「雨の歌」、第3番
「雨の歌」という副題はブラームス自身がつけたのではなく、第3楽章の冒頭の旋律が歌曲「雨の歌」から引用されていることからつけられた通称のようなもの。特に「雨」について歌った曲ではないと言われている。
この曲に関するエピソードが、ブログ『ブラームスの辞書』の”天国に持って行きたい”、”緩徐楽章の回想”という記事に書かれている。
第2楽章にブラームスが託した意味や、第3楽章のメロディに引用された歌曲「雨の歌」とクララ・シューマンとの関わりなど、CDの解説には載っていなかった話が紹介されている。
それを読むと、「雨の歌」の歌詞は、この曲に込められた意味や感情につながっている。
20代の頃、ブラームスのヴァイオリンソナタ全集をルービンシュタイン&シェリング盤で初めて聴いたとき、特に気に入ったのが第3番。(聴き直してみると、ピアノのタッチが強すぎてちょっと騒々しい気がするけど)
その時は「雨の歌」には全然惹かれなかった。(昔は長調で穏やかな曲想の曲があまり好きではなかったし)
6年くらい前に聴いたカッチェン&スークの「雨の歌」は、カッチェンの砂糖菓子のように甘いピアノと、凜として引き締まった爽やかなスークのヴァイオリンがとても素敵だった。
今まで聴いたCDのなかで、ピアニスト&ヴァイオリニスト両方とも好きな録音はこれだけ。
Violin Sonatas: Decca Legends (2001/02/06) Josef Suk, Julius Katchen 試聴ファイル |
Josef Suk,J. Katchen,Brahms Violin Sonata G-major 1
「雨の歌」と同じくらいかそれ以上に好きなのが、第3番。
第3番はブラームスらしい力強いパッションでテンション高く、特に第3楽章は速いテンポで力強く、息が詰まるような緊迫感があり、聴いていて思わず身体に力が入ってしまう。
スークのやや線の細い引き締まった音と演奏は、青白い炎のようなクール(冷んやり感)さを感じるし、ソロ演奏と同じくカッチェンのくぐもった音色と力感・量感のあるタッチがブラームスらしいほの暗い情熱が滲み出て、やや地味ながらも、騒々しくなくて品良く後味爽やか。
カッチェン&スーク盤以外だと、カヴァコス&パーチェ、ツィンマーマン&パーチェのライブ演奏も好き。(ヴァイオリニストとピアニストの両方とも好きなので)
カヴァコスはユジャ・ワンと最近録音したので再録音することはないだろうけど、ツィンマーマンは、ブラームスもベートーヴェンもヴァイオリンソナタ全集はなぜか未録音。長年組んできたパーチェとのデュオでいつか録音してくれないかな~と期待している。
Leonidas Kavakos and Enrico Pace playing Brahms Violin Sonata No. 3 - Allegro (1 of 4)
Leonidas Kavakos and Enrico Pace playing Brahms Violin Sonata No. 3 - Presto agitato (4 of 4)
BRAHMS Violin Sonata No.3 (Zimmermann, Pace)
<過去記事>
スーク&カッチェン ~ ブラームス/ヴァイオリン・ソナタ第1番 《雨の歌》
スーク&カッチェン ~ ブラームス/ヴァイオリンソナタ第3番
ジュリアス・カッチェンにまつわるお話
Tag : ブラームスカッチェンスークカヴァコスツィンマーマンパーチェ
※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。| ♪ ジュリアス・カッチェン | 2015-07-09 18:00 | comments:4 | TOP↑
はじめまして
はじめまして。いつも楽しく拝見させていただいてます。
以前からブラームスのヴァイオリンソナタのCDが欲しくて、シェリング&ルービンシュタインの演奏が定番かな、と思っていたのですが、グリュミオーのCDが安かったのでAmazonで注文してしまいました。伴奏はジェルジ・シェベックという聞き慣れないハンガリーのピアニストだそうです。
カッチェンの録音もあるのですね。知りませんでした。来月にムターとワイセンベルクのCDが再発されるようです。ワイセンベルクが好きなので、このCDも気になっています。
アルフレッド・パールのベートーヴェンもyoshimiさんの記事で知りました。瑞々しさと重厚さが同居した素晴らしいベートーヴェンでした。以前から貴ブログ
は拝読しておりまして、CD購入の参考にさせて頂いてます。ありがとうございます。
| かかど | 2015/07/10 17:20 | URL |