スタンフォード/ピアノ協奏曲第2番
『ブラームス回顧録集(3)ブラームスと私』を読んでいると、イギリスの作曲家チャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォードの回想が載っていた。
スタンフォードのプロフィールと紹介を読むと、平明で優しい作風で多数の作品を残し、イギリスの大作曲家たち(ヴォーン・ウイリアムス、ホルスト、アイアランドなど)を門下から輩出している。
ブラームスとの関係については、《交響曲第1番》のイギリス初演やケンブリッジでの《ドイツ・レクイエム》演奏会を実現したことなど、ブラームスの音楽をイギリスに紹介した功労者の一人。
《交響曲第3番 "アイリッシュ"》の第3楽章では、ブラームスの交響曲第4番第2楽章に出てくる旋律が使われているという。
スタンフォードの室内楽・ピアノ作品を聴いてみると、ブラームスの面影を感じさせるものがあるので、ブラームス好きの私にはとても心地良い音楽。
スタンフォードが書いたピアノ作品は多数あるけれど、録音はそれほど多くはない。
ピアノ作品よりもオルガン作品の録音の方が多いくらい。
室内楽曲は、ピアノ三重奏曲、四重奏曲、クラリネットソナタ、ヴァイオリン&ピアノ曲などジャンルはいろいろ。いくつか聴いていると、かなりブラームス風。
数少ないピアノ独奏曲の録音のうち、《6つの性格的作品 Op.132》の"第6番 Toccata"は、まるでブラームス。ブラームスの未発表作品と言われても、さほど違和感を感じないと思えるくらい。
ピアノ曲も室内楽曲も、ブラームスの音楽よりも和声が重たくなくて重厚さが少なく、陰影も薄くて渋みはないけれど、風通しのよい爽やかな趣き。ブラームスが好きな人なら、すぐに馴染めそう。
どの曲もとても聴きやすくて、ピアノ作品集のまとまった録音があるなら、聴いてみたくなる。
ピアノ独奏曲よりも、ピアノ協奏曲の方がどちらかといえばポピュラーらしく、3つのピアノ協奏曲のうち、録音が一番多いのが第2番。
シューマン、ブラームス、さらにラフマニノフがブレンドされたような印象。
力強く勇壮でありつつ、流麗でロマンティックな叙情感は、ロマン派のピアノコンチェルト。
それほどベタッと情緒過剰ではなく、繰り返し聴いてももたれないくらいに、穏やかで節度のある叙情感がほどよい感じ。
ChANDOS盤は、フィンガーハットのピアノ、ハンドリー指揮アルスター管の伴奏。
Charles Villiers Stanford - Piano Concerto No. 2 in C Minor Op. 126 (1911)
Margaret Fingerhut. Conducted by Vernon Handley with the Ulster Orchestra.
第1楽章 Allegro moderato
冒頭からピアノソロの力強いアルペジオのカスケード。それを背景に、ホルンが勇壮でドラマティックなソロ。
ピアノはアルペジオや和音を多用しているので、華麗でダイナミック。
たとえて言うなら、シューマン、ブラームスにラフマニノフをブレンドした感じ。流麗なところはシューマンやラフマニノフ、勇壮でダイナミックなところはブラームスとラフマニノフ風。
緩徐部分はべタベタした叙情感はなく、平和的な穏やさ、夢見るように繊細な詩情がこぼれるようでとても綺麗。
ピアノが華やかに動き回るわりには、交響曲の一部をピアノパートが弾いているようなシンフォニックな感じがする。
冒頭、緩徐部分、終盤で頻繁に聴こえてくるモチーフがあり、どこかで聴いたことがある旋律。何の曲だったかなかなか思い出せない..。リストか、それともラフマニノフのピアノコンチェルト?
第2楽章 Adagio molto - Piu mosso [quasi andante]
やや瞑想的で夢見るようなふんわりとした柔らかなムード。とってもブラームス風。
線の細い繊細さはなく、穏やかで落ち着いたタッチで、詩情豊か。
第1楽章で度々出てくる旋律(思い出せないあの旋律)がここでも何度も使われている。
ピアノが弾くしっとりと潤いのある響きのアルペジオや軽やかなトリルがとてもロマンティック。
第3楽章 Allegro molto - Largamente e sostenuto
どこかしらラフマニノフのピアノ協奏曲を連想するけれど、ロシア的憂愁のような濃い叙情感はなくて、華やかで爽やかな開放感のある曲。
緩徐部分は、夢見るように優しい雰囲気の旋律でやっぱりブラームス風。その後、覚醒したような勇壮華麗な曲想に。
この楽章も和音とアルペジオが多用され、ピアノが鍵盤上を縦横無尽に動き回って、とってもピアニスティックで華麗。
3つの楽章の中では、華麗で勇壮な曲想の第1楽章が一番印象的。第2楽章もブラームス風な夢見るような詩情がとても綺麗。
旋律はロマンティックで情感豊かで、聴けばどの曲かすぐに思い出すくらいに独特のものはあるけれど、シューマン、ブラームス、ラフマニノフほどに、一度聴けば忘れないくらいの強いインパクトはない。
イギリスの作曲家のピアノ協奏曲で一番印象的だったのは、ブリテンの《左手のピアノと 管弦楽のための主題と変奏~ディヴァージョンズ》。
その他にもイギリスのピアノ協奏曲はいろいろと聴いたけれど、それと同じくらいに記憶に残っている曲がなかったので、少なくともスタンフォードのピアノ協奏曲第2番は、ブリテンの《ディヴァージョンズ》に次いで印象的だった。
スタンフォードのプロフィールと紹介を読むと、平明で優しい作風で多数の作品を残し、イギリスの大作曲家たち(ヴォーン・ウイリアムス、ホルスト、アイアランドなど)を門下から輩出している。
ブラームスとの関係については、《交響曲第1番》のイギリス初演やケンブリッジでの《ドイツ・レクイエム》演奏会を実現したことなど、ブラームスの音楽をイギリスに紹介した功労者の一人。
《交響曲第3番 "アイリッシュ"》の第3楽章では、ブラームスの交響曲第4番第2楽章に出てくる旋律が使われているという。
スタンフォードの室内楽・ピアノ作品を聴いてみると、ブラームスの面影を感じさせるものがあるので、ブラームス好きの私にはとても心地良い音楽。
スタンフォードが書いたピアノ作品は多数あるけれど、録音はそれほど多くはない。
ピアノ作品よりもオルガン作品の録音の方が多いくらい。
室内楽曲は、ピアノ三重奏曲、四重奏曲、クラリネットソナタ、ヴァイオリン&ピアノ曲などジャンルはいろいろ。いくつか聴いていると、かなりブラームス風。
数少ないピアノ独奏曲の録音のうち、《6つの性格的作品 Op.132》の"第6番 Toccata"は、まるでブラームス。ブラームスの未発表作品と言われても、さほど違和感を感じないと思えるくらい。
ピアノ曲も室内楽曲も、ブラームスの音楽よりも和声が重たくなくて重厚さが少なく、陰影も薄くて渋みはないけれど、風通しのよい爽やかな趣き。ブラームスが好きな人なら、すぐに馴染めそう。
どの曲もとても聴きやすくて、ピアノ作品集のまとまった録音があるなら、聴いてみたくなる。
ピアノ独奏曲よりも、ピアノ協奏曲の方がどちらかといえばポピュラーらしく、3つのピアノ協奏曲のうち、録音が一番多いのが第2番。
シューマン、ブラームス、さらにラフマニノフがブレンドされたような印象。
力強く勇壮でありつつ、流麗でロマンティックな叙情感は、ロマン派のピアノコンチェルト。
それほどベタッと情緒過剰ではなく、繰り返し聴いてももたれないくらいに、穏やかで節度のある叙情感がほどよい感じ。
ChANDOS盤は、フィンガーハットのピアノ、ハンドリー指揮アルスター管の伴奏。
Six Irish Rhapsodies / Piano Concerto 2 (2004/01/20) Vernon Handley (Conductor), Ulster Orchestra, Margaret Fingerhut (piano) 試聴する(米amazon) |
Charles Villiers Stanford - Piano Concerto No. 2 in C Minor Op. 126 (1911)
Margaret Fingerhut. Conducted by Vernon Handley with the Ulster Orchestra.
第1楽章 Allegro moderato
冒頭からピアノソロの力強いアルペジオのカスケード。それを背景に、ホルンが勇壮でドラマティックなソロ。
ピアノはアルペジオや和音を多用しているので、華麗でダイナミック。
たとえて言うなら、シューマン、ブラームスにラフマニノフをブレンドした感じ。流麗なところはシューマンやラフマニノフ、勇壮でダイナミックなところはブラームスとラフマニノフ風。
緩徐部分はべタベタした叙情感はなく、平和的な穏やさ、夢見るように繊細な詩情がこぼれるようでとても綺麗。
ピアノが華やかに動き回るわりには、交響曲の一部をピアノパートが弾いているようなシンフォニックな感じがする。
冒頭、緩徐部分、終盤で頻繁に聴こえてくるモチーフがあり、どこかで聴いたことがある旋律。何の曲だったかなかなか思い出せない..。リストか、それともラフマニノフのピアノコンチェルト?
第2楽章 Adagio molto - Piu mosso [quasi andante]
やや瞑想的で夢見るようなふんわりとした柔らかなムード。とってもブラームス風。
線の細い繊細さはなく、穏やかで落ち着いたタッチで、詩情豊か。
第1楽章で度々出てくる旋律(思い出せないあの旋律)がここでも何度も使われている。
ピアノが弾くしっとりと潤いのある響きのアルペジオや軽やかなトリルがとてもロマンティック。
第3楽章 Allegro molto - Largamente e sostenuto
どこかしらラフマニノフのピアノ協奏曲を連想するけれど、ロシア的憂愁のような濃い叙情感はなくて、華やかで爽やかな開放感のある曲。
緩徐部分は、夢見るように優しい雰囲気の旋律でやっぱりブラームス風。その後、覚醒したような勇壮華麗な曲想に。
この楽章も和音とアルペジオが多用され、ピアノが鍵盤上を縦横無尽に動き回って、とってもピアニスティックで華麗。
3つの楽章の中では、華麗で勇壮な曲想の第1楽章が一番印象的。第2楽章もブラームス風な夢見るような詩情がとても綺麗。
旋律はロマンティックで情感豊かで、聴けばどの曲かすぐに思い出すくらいに独特のものはあるけれど、シューマン、ブラームス、ラフマニノフほどに、一度聴けば忘れないくらいの強いインパクトはない。
イギリスの作曲家のピアノ協奏曲で一番印象的だったのは、ブリテンの《左手のピアノと 管弦楽のための主題と変奏~ディヴァージョンズ》。
その他にもイギリスのピアノ協奏曲はいろいろと聴いたけれど、それと同じくらいに記憶に残っている曲がなかったので、少なくともスタンフォードのピアノ協奏曲第2番は、ブリテンの《ディヴァージョンズ》に次いで印象的だった。
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