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2007/08/31

気づかないうちに筋肉が鍛えられる

鈴木健との因縁は深い。

最初に会ったのは、鈴木健が
東京大学の池上高志研究室の
院生になった頃だったかなあ。

とにかく理論派で、生意気で、
鼻っ柱の強いやつだった。

それでいて、しっとりとした
感性もあった。

ソニーコンピュータサイエンス研究所で、
私の「バイト学生」として
研究していた時期もあった。

そのうち、鈴木健は未踏ソフトウェアに
受かって、独自の「マルコフ貨幣」
の理論を応用したPICSYを
開発したりして、徐々に
ネット界における実践思想家
としての風貌を濃くしていった。

今ではベンチャー企業
Sargasso 
のCEO。

六本木ヒルズ近くにある
サルガッソーのオフィスを訪ねた。

鈴木健、見かけだけはかの
スティーヴ・ジョブズに似て
きたなあ。


親指を立てる鈴木健。となりは、天才プログラマー、
洛西一周クン。

事務所は活気があって、
カジュアル。

「カニカニ星人」も現れた。


サルガッソーの海に棲息するカニカニ星人。

近くの料理屋で懇談。

鈴木健の企てに関わっている
人たちと知り合いになった。
 
iPhoneのこと、facebookのこと、
シリコンバレーにおけるアップル、
グーグル、マイクロソフトの
プレゼンス。
10月からシリコンバレーに
行ってしまう洛西クン。

未来はまだ見えないが、
明るく感じられる。

何よりも爽やかなのは、
「偶有性の海」(sea of contingency)
の中で思い切り泳いでいる
からであろう。
 
何が起こるかわからない場所。
常に枠組みが問題になる文脈。
自分自身を客観的に見る「メタ認知」
が自然の傾向として求められる時。

そのような偶有性の海の中で
泳いでいると、
ちょうど、夏休みにたっぷりと
遊んだ子どものように、
気づかないうちに筋肉が鍛えられる。
神経が敏捷になる。

あの場所にいた人たちは、
現代人の誰よりも、
夏休みの空気と太陽を
たっぷりと吸い取って
からから笑う子どもたちに
似ていた。

鈴木健が書いた
『究極の会議』 
(ソフトバンク・クリエィティヴ)
をもらう。
今日から発売される模様。

みなさん、夏休み明けの元気な
子どもが書いた会議術の本を
手に取ってみてください。

今年度の小林秀雄賞は、
内田樹さんの
『私家版・ユダヤ文化論』
(文春新書)に決まったとのこと。

内田先生、おめでとうございます!

8月 31, 2007 at 07:36 午前 |

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コメント

はじめまして!こんばんは!
通勤中、IPODで茂木さんの話を毎日聞いております。僕は大学3年から学問好きになりました。そして、社会人になりました。社会人になったら学問はできても実験ができにくい(時間的・設備的に)ことは非常に寂しい限りです。

今、学生時代以来の音楽を聴いて、当時の心境がよみがえってきました。
今は聞かなくなったけど当時の曲を久しぶりに聞く、とか、学生時代に歩いた道を久しぶりに歩いてみると当時の心境までがよみがえってきます。もう、当時でしか精神年齢的・時代的に感じられないクオリア?を思い出すってのは何か僕の人生を豊かにしてくれる一因のような気がして茂木さんに伝えたくて送ってみました。

投稿: 正太郎 | 2007/09/01 1:32:13

お写真を拝見しましたが、鈴木さんはさながら和製ジョブズ(笑)ですね!

「カニカニ」さんも、元気いっぱいで楽しそうな表情をされてます。

まさに、偶有性の海で泳いで、知らず知らずに「筋肉」が鍛えられている、という表現がぴったしで、
皆様、本当に爽やかで生き生きとした表情をされています。
どこかアスリートのように見受けられます。

…でも、偶有性の海で思いきり泳いでいる人は、何も特定の人達だけとは限らない。

自分達の近くにも、そういう人はたくさんいると思う。

何よりも、茂木博士がそういう方なのですから・・・!

投稿: 銀鏡反応 | 2007/08/31 22:21:03

昨日の茂木様の文章を読んでいるうち、
「いってこい」と背中をおされた気がして、
研究室の同窓会にいけました。いっぱい話した。
これまでの疲れが、どこか、とんでいった。
帰りの電車のなかで、茂木さんのおかげだった、
と思いました。(ありがとうございます。)

投稿: F | 2007/08/31 22:19:50

私も身体だけでなく精神にも筋肉をつけたいです。そして、いつでもしなやかでありたい。茂木さんのようにです!

内田樹先生は、私の中の6大先生に入ります。
茂木健一郎・斉藤茂太・河合隼雄・養老孟司・高橋敏子(敬称省略)
最後の女先生は、私の小学校の担任です。

投稿: | 2007/08/31 22:00:51

今生きているということの無根拠さの愉しみ方をどうやったら人に伝えられるのだろう。
生の偶有性という物言いは私の命を永らえさせたけれど、それをどう人に伝えられるのだろう。
治療家ならぬただの患者に過ぎない私には大それたテーマなのだろうか。

投稿: 無碍 | 2007/08/31 21:49:27

>あの場所にいた人たちは、
現代人の誰よりも、
夏休みの空気と太陽を
たっぷりと吸い取って
からから笑う子どもたちに
似ていた。

みるからに素敵な方たちですね。
未来の世の中が
明るく爽やかで心ある賢い人たちで
満ち溢れますように。

投稿: 新屋敷 恒 | 2007/08/31 16:02:41

以前、リナックスを勉強しようと、雑誌から、インストールして、勉強しようと思った。すると、英語のサイトを見る必要があり、偶有性の海で溺れかかった、あわてて岸に戻り、日本語サイトを探し、水辺遊びをする事にした。

リナックスの海(sea of LINUX)は深い・・・・。

え!。飛び込め!!、て?、じょじょに筋力をつけます(笑)。

投稿: tain&片上泰助 | 2007/08/31 11:12:03

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