愛の仕事。クラウド・ゲート。
アニッシュ・カプーアの「クラウド・ゲート」は、是非見たいと思っていた。
しかし、それがあるのが「ミレニアム・パーク」の中だということは聞いていたが、例によって何も調べないでふらふらしているで、どこだかわからない。
シカゴに到着した日、昼寝をして、夕方走りだした。
湖はこっちの方だろうと見当をつけて走っていたら、案外早く着いた。
そのまま湖畔を走っていたら、川に出て、川岸を行くと、高架の下に出た。
シカゴは、空中列車「L」の下もそうだけど、こういう場所が不思議に不安がない。
高架の下のパーキング・スペースには、着飾った男女がいて、赤い機関車のようなバスに乗ろうとしていた。その先を見ると、黒い高級車が何台か停まっていた。これからパーティーなのだろう。
そのまま高架から街に出て走っていたら、なんだか面白い公園がある。
フリークライミングの山がいくつかあって、色とりどりの点が並んでいる。その周りにローラーブレードのコースがある。そこから、くねくねと板張りの橋があるから、こりゃいいやと走っていたら、奇妙なかたちをした劇場が右手に見えてきた。
「ひょっとしたら、クラウド・ゲートはこのあたりにあるんじゃないか」という気がしてきた。
それで、そのまま走っていたら、やっぱりあった。
なんだか、クラウド・ゲートに向かってまっしぐらに走ってきたような、そんな気分になった。
シカゴの人たちは、愛情を込めて「豆」と呼ぶのだそうだ。
たくさんの人たちが集まっている。鏡面に映る、自分たちの姿、空の風情、ビルの壁面。まさに、もうひとつの世界、クラウドへの門。
仮想世界に映し出されることで、自分たちのことが、よりよく理解される。
純粋芸術家として高く評価されるカプーアだが、ああ、これは、「愛の仕事」だなと思った。
人々を惹きつけて、離さない。自然に人々が、その周りに集まる。
シカゴ在住のジム・ラウクスと呑んだ時、彼は、クラウド・ゲートは、シカゴの公共空間に過去25年に起こったもっとも素晴らしい変化だと言い切った。
冬、雪が降ったときのクラウド・ゲートの風情もすばらしく、ジムは、朝、コーヒーを飲んでから、そのありさまを見に出かけることもあるそうだ。
10月 20, 2015 at 10:15 午後 | Permalink
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