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ochiaiの備忘録

読んだ本や、パソコン関係の話などまとまり無く

記憶力増強チップ

失った記憶力を取り戻したり、増強したりできるチップが開発されました。
攻殻機動隊が現実に - 脳に埋めたチップによって記憶を複製することに成功 | DDN JAPAN / (DIGITAL DJ Network)

USC: Restoring Memory, Repairing Damaged Brains -- LOS ANGELES, June 17, 2011 /PRNewswire-USNewswire/ --

A cortical neural prosthesis for restoring and enhancing memory (論文)


2004年くらいに話題になった、この研究が成功したようです。
記憶障害を救う、シリコンチップの人工海馬 « WIRED.jp Archives

記憶の複製とはすごい! と思ったのですが
冷静に読んでみると
『攻殻機動隊が現実に - 脳に埋めたチップによって記憶を複製することに成功』と
『USC: Restoring Memory, Repairing Damaged Brains』とで
内容が微妙に違う気がしました。

英語記事をざっと訳してみます。
結論だけ知りたい方は「まとめると、…」の部分までとばして読んでください
(オリジナルの論文を訳せたら一番いいんですが、私には無理です(^_^;)。)

During the learning process, the hippocampus converts short-term memory into long-term memory, the researchers prior work has shown.
学習プロセスにおいて、海馬が短期記憶を長期記憶に変換することが、過去の研究から分かっている

"No hippocampus," says Berger, "no long-term memory, but still short-term memory." CA3 and CA1 interact to create long-term memory, prior research has shown.
「海馬がない場合、長期記憶はなくなるが短期記憶は残る」とバーガーは言う
CA3とCA1の相互作用が長期記憶を作ると過去の研究で分かっている

the experimenters blocked the normal neural interactions between the two areas using pharmacological agents. The previously trained rats then no longer displayed the long-term learned behavior.
実験ではこの二つのエリアの神経接続を薬で阻害する。事前に訓練されたラットは長期記憶が出来なくなる。

"The rats still showed that they knew 'when you press left first, then press right next time, and vice-versa,'" Berger said. "And they still knew in general to press levers for water, but they could only remember whether they had pressed left or right for 5-10 seconds."
「ラットはまだ『最初に左を押したら次は右を押す、逆もまた同じ』という事を知っている。そして彼らはまだ水を得るにはとりあえずレバーを押せばいいということは知っている、しかし前回は右を押したのか左を押したのかを5~10秒間しか記憶できない」とバーガーは言う。

Using a model created by the prosthetics research team led by Berger, the teams then went further and developed an artificial hippocampal system that could duplicate the pattern of interaction between CA3-CA1 interactions.
人工器官研究チームによって作られたモデルを使い、CA3とCA1の間の接続を模倣する人工海馬システムを創りだした。

Long-term memory capability returned to the pharmacologically blocked rats when the team activated the electronic device programmed to duplicate the memory-encoding function.
記憶のエンコード機能を模倣させるようプログラムされた電子機器を起動すると、薬で長期記憶が抑制されたラットに長期記憶能力が戻ってきた。

electrodes were implanted in animals with a normal, functioning hippocampus, the device could actually strengthen the memory being generated internally in the brain and enhance the memory capability of normal rats.
電極は海馬が正常に働く動物にも埋め込まれた。この装置はたしかに脳の中に生成される記憶を強化し、正常なマウスの記憶能力を増強した。

まとめると
1. 薬を使い過去の記憶を思い出すことはできるが、新しく何かを記憶することはできない状態のマウスを用意した。
(博士の愛した数式やメメントみたいな状態)
2. 人工海馬を埋めこむと、この記憶障害が治った。
3. 人工海馬は信号の変換をしているだけで、記憶データそのものはラットの脳に保存されている
4. 健康なマウスにこれをつなぐと記憶力が増強された
という感じです。

記憶は脳内に保存しているので
ハードディスクの内容を脳に直接ダウンロードというのは無理そうです。
でも、この装置を脳につないでいる間は、見たものすべてが記憶できる
という使い方なら可能だと思います。
おそらく装置を外しても記憶は脳内に残るはずです。

『攻殻機動隊が現実に - 脳に埋めたチップによって記憶を複製することに成功』には
・記憶の複製
・記憶の「オン」「オフ」
・記憶の再インストール
・記憶能力の向上

が出来るようになったと書いているのですが
『記憶の複製』と『記憶の「オン」「オフ」』は英文記事には載っていないように見えます。
そもそも、記憶を外部に取り出しているわけではないので
複製やオン・オフは不可能ではないか思います。
オリジナルの論文にはそういう話も出てくるんでしょうか?

辞書を引き引き訳していたのですが
一度引いた単語を忘れて、なんども引き直してしまいました。
記憶能力の向上だけでもいいので
早く実用化して欲しいです(> <)。

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