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ochiaiの備忘録

読んだ本や、パソコン関係の話などまとまり無く

好奇心に対する絶対的肯定『プランク・ダイヴ』

グレッグ・イーガン
早川書房
発売日:2011-09-22



 結果を報告することも、帰還することも不可能な場所への探検には、意味があるのか?
 有る! 好奇心はそれ自体に価値が有る。
 好奇心が大切なのはそれが何かの役に立つからではない!
 危険を避けたり、発見によって人々の生活を便利にできるからではではない!
 何かを理解するという感動、それ自体に意味があるのだ!

 こういう過激なことを考えている集団(好奇心原理主義者?)がブラックホールの中に飛び込みました。ブラックホールを覆う事象の地平線の向こう側まで行けば、空間の構造を解き明かすことができます。
 しかし、事象の地平線の向こう側からは光さえ戻って来ることは出来ません。つまり、電波によって発見を外に伝えることも不可能です。
 それでも彼らはブラックホールに飛び込みます。

 宇宙はいずれビックバンランチを迎える。終りを迎えるあらゆるものに意味が無いというなら、人類の営み全てが無意味ということになってしまう。
 仮に数時間後消滅してしまうとしても、何世紀も抱えていた疑問に答えが出るなら構わない。発見の喜びは、それを持ち帰ることができないというだけの理由で、無意味になったりしない!

 カッコイイ!
 そして羨ましい!
 自分もいつか、ブラックホールへ飛び込む機会にめぐり合いたいものです。

あの日読んだSFのタイトルを僕はまだ知らない2

 記憶とGoogleを頼りに昔読んだ本を特定しようと頑張っています。しかし、すぐに見つかる小説はあらかた見つけてしまい。なかなか新発見が有りません。
 そろそろ、質問サイトを頼ってみるかな? と思い、どのサイトが本探索に強いのか調べてるところです。
 とりあえず探している本のあらすじだけ紹介しておきます。

・何百体もの、人型ロボットが地球に現れる
・何処から来ているのかは分からないが、日に日に数が増えていく
・ロボットに対してはいかなる攻撃も効かない
・ロボットは川や海があっても気にせず、淡々と水底を歩いて世界へ広がっていく
・ロボットと戦うことを諦めた人類は未来に向かって逃げることを決意する
・タイムマシンの移民船に乗って人々は未来に旅立つ
・いかににロボットが無敵でも何億年もたてば自滅するだろうというという可能性にかけた
・人類の持っているタイムマシンは、未来に行くことはできるが、過去に戻ることはできない
・未来から帰ってきたものはいないので、未来が本当に安全かは誰にも分からない
・ロボットのいない未来が生まれる確率を高めるため戦闘部隊が組織される
・移民船は一気に数億年をとぶが、戦闘部隊は数千年単位でジャンプし、各時代でロボットに攻撃を加える
・主人公は攻撃部隊の一員
・ある時代で偵察任務中、母艦に置き去りにされてしまう
・この時代、地上は食虫植物に覆われている
・しばらく歩いて、都市のようなものを見つける
・植物が種子(繁殖用の枝だったかも)を都市の中に落とすと、ロボットの戦車がやってきて薬品で駆除する
・ロボットに「人はいるか?」話しかけると、「Aコンピュータに聞け」と言われる
・ロボットに案内され、建物の中に入る
・Aコンピュータに指示を与えれいるのは人間(サイボーグ)だとわかる
・サイボーグは顔のない、のっぺりした姿だったと思う
・この後の展開はよく覚えていない
・交渉が決裂し、釜の部分にレーザーがついたカマキリ型ロボットに襲われるシーン(挿絵)が有った

読書旅行に行ってきた

 三連休を利用して近所の図書館を電車で回りました。昔読んだけど絶版になった本、読みたかったけど、中古品が値上がりし買うのを躊躇していた本などを、読んできました。

 土曜日は以前の日記で書いた、ジュブナイルSFを読みに行きました。
 以下の3冊です。






 懐かしさで評価基準が甘くなっているのかもしれませんが、今読んでも面白かったです。
 『合成脳の反乱』が復刊されたように、他のジュブナイルSFも復刊して欲しいです。
 とりあえず、復刊ドットコムのアカウントを作って、少年少女21世紀のSFに一票入れてきました。
 復刊ドットコムは、アカウント作成の画面で住所や電話番号を聞いてきますが、名前、ニックネーム、メールアドレス、パスワード、性別、誕生日だけ入力すれば、問題ないようです。多分、性別と誕生日も不要です。

↓興味を持った方は投票をどうぞ!


 日曜日はドゥーガル・ディクソン作の『マンアフターマン―未来の人類学』を読みに行きました。
 ドゥーガル・ディクソンはアニマル・プラネットで放送された『フューチャー・イズ・ワイルド』にも携わった博物学者です。
 フューチャー・イズ・ワイルド日本放送のおかげか、『アフターマン 人類滅亡後の地球を支配する動物世界』など他の著書は復刊されましたが、なぜかこの『マンアフターマン―未来の人類学』だけは品切れのままです(一時期中古が2万円を超えていたとか)。
 『マンアフターマン―未来の人類学』は進化した人類が絶滅してしまった大型哺乳類のニッチを埋めていく、という話です。『アフターマン 人類滅亡後の地球を支配する動物世界』にでてくる動物は、まだ可愛かったり、かっこよかったりするのですが、『マンアフターマン―未来の人類学』の動物は気持ちわるい、とにかく気持ち悪い、人の面影を残しているあたりが気持ち悪い。
 しかし、変な動物好きの人なら読んで損は無い本です。
 
ドゥーガル ディクソン
太田出版
発売日:1993-12


あの日読んだSFのタイトルを僕はまだ知らない

 私が通っていた小学校の図書室には、ジュブナイルSFが多数おいてありました。今思えば、それがSFにはまるきっかけだったと思います。
 しかし、今となっては「あらすじを覚えているけど、タイトルが分からない!」という作品がほとんどです。人に紹介したりするとき不便なので、記憶とGoogle先生を便りに、昔読んだ本のタイトルを探してみました。

 以下調査結果です。
■タイトル
■リンク
■入手方法
■記憶に残っているあらすじ
■調査方法
の順で書いています。

■『合成脳の反乱』(『合成怪物の逆しゅう』のタイトルで復刻)

■Amazonから復刻版が入手可能
■あらすじ
 話がスタートした直後に主人公が死にます。主人公は死後、自分の死体を勤務していた研究所に寄付する、という契約を結んでいました。死体は実験材料として使われます。
 研究所では脳をコンピュータに接続し、生体パーツとして利用するための研究が進んでいました。主人公の脳もその実験材料として使われます。パーツとして接続された後も主人公は自意識を保っており、体を失ったことにショックを受けます。
 ストーリーが進むに連れて、研究所の上層部は脳が生きていることを知った上で、国家のためならその程度の犠牲は致し方ないと考えていることが分かります。
 主人公は脳波で遠隔操作できる助手ロボットを使い、遠隔操作可能な合成生物ゴセシケ(ゴウセイ シンケイ サイボウグンカイ)を作ります。このゴセシケを使って、研究所の秘密を外部にに公開しようと戦うのが、話の主な見せ場です。
 話が進むにつれて、いい人から順に亡くなって行きます。悪人は一人も死にません。
■調査方法
 Amazonで復刻されたジュブナイルSFを見ていて、偶然見つけました。記憶の中では新しい体を手にいれてハッピーエンドだった気がするのですが……。読みなおしてみたら、まったく救いのないラストでしたorz。

■チタンの幽霊人

■入手困難(Amazonに在庫なし、マーケットプレイスにもなし、Book-offサイトにもなし)
■あらすじ(うろ覚え)
 チタン(土星の惑星タイタンの昔の呼び方)の基地を舞台にした物語。主人公は子供。たしか基地内ではエスペラント語をベースにした方言で会話していたはずです。
 基地の周りで黒い(白だったかも?)全身タイツみたいな服を着た人物が目撃されます。基地の隊員以外には人間は住んでいないはずなのに。調査をすすめる中で主人公はタイツに誘拐されてしまいます。タイツとの会話で、彼らが宇宙作業用のサイボーグであることが分かります。
 彼らは体内の原子炉からエネルギーを得ているため、食事も排泄も不要です。また、真空でも宇宙服なしで活動でき、脳の改造によって感情も失っています。かつてチタン開拓用に送り込まれたのですが、地球から見捨てられ、今は地球への復讐のために生きています。なぜかリーダーのサイボーグにだけ感情があり、他のサイボーグはリーダーからの指示にむりやり従わされていました。
 サイボーグたちは触れている物体を100%エネルギーに変える装置(質量爆弾)をつかって、地球を滅ぼそそうとします。たしか、月をこの爆弾で破壊し、地球に隕石の雨を降らせる計画だったはずです。
「相対性理論によって質量はすべてエネルギーに変換できるはずだが、核爆弾では特定の物質しかエネルギーに変換できない。我々はすべての質量をエネルギーに変換する方法を見付け出した。しかも、核分裂反応のように連鎖的にエネルギーへの変換を起こせる。惑星のある一点で装置を起動させれば、装置に接している地面、その地面に接している物質、さらにその物質に接している物質と次々にエネルギーに変換されていく。
 装置周辺の地面がエネルギーに変換された瞬間に、周辺の物体の大部分は吹き飛ばされ離れてしまう。だから、惑星の質量すべてがエネルギーに変わるわけではない。しかし、星を砕くには十分な威力がある」
などの説明ゼリフにぞくぞくしました。
■調査方法
 「質量爆弾」とう固有名詞を覚えていたので、Google先生が一発で見つけてくれました。
 しかし、入手は難しそう。もし読みたいなら、国会図書館に行くのが早そうです。

■セブンの太陽

■入手困難(Amazonに在庫なし、マーケットプレイスにもなし、Book-offサイトにもなし)
■あらすじ(うろ覚え)
 太陽系に近づく謎のガスを調査するため、宇宙船が地球から飛び立ちます。主人公はその宇宙船にのっている日本人の少年です。乗組員たちの調査により、ガスの正体はガス状生命体ギズモであることが分かります。
 実験室中の不注意によりギズモの一部が宇宙船内に漏れ出します。ギズモは乗組員に取り付いて操ったり、高密度の火球となって人を襲ったりします。ギズモを宇宙船外に出すため、とりつかれた乗組員ごとエアロックから宇宙に放り出したと記憶しています(もしかすると、ギズモが乗組員を操って、脱出のためにエアロックを開けさせたのかも)。
 人類の知識を吸収したギズモ本体は巨大な火球となって、宇宙船全体を圧壊させようとしますが、なんだかんだで助かった気がします(うろ覚え)。
 その後、あれやこれやで(笑)、主人公たちの乗った宇宙船は太陽系から離れた惑星に不時着します。
 その惑星は地球と同じ大気を持ち、宇宙服なしで船外活動が出来ます。船の修理や惑星の調査を進めていると赤い雨が降り始め、船外活動をしていた隊員はそれを浴びてしまいます。雨はペンキのように皮膚に張り付き、洗っても落ちません。
 皮膚は斑模様になってしまいましたが、健康状態は問題なく、しばらくそのまま作業を続けます。数時間後、赤い雨を浴びが隊員が座った姿勢のまま、灰の塊になっているのが発見されます。赤い雨の正体はその星の上空に浮遊してる巨大アメーバの細胞であることが分かります。
 その後主人公たちは色々冒険をしていたはずですが、よく覚えていません。
■調査方法
 ジュブナイルSFでGoogle検索して、出てきたタイトルを虱潰しに調べている途中で見つけました。

 まだ幾つか紹介してない作品が有るのですが、続きはまた別の日に書くことにします。

野生の大樹のようなストーリー『はてしない物語』

ミヒャエル・エンデ
岩波書店
発売日:1982-06-07


 この本を書いているときミヒャエル・エンデさんは楽しかっただろうな、と思う。本の所々で本筋から脱線し、話の展開には直接関係のないファンタジー設定の解説が始まる。いや所々の騒ぎではない、本の大部分がそういう脇道の話で出来ている。伏線かと思って読み進めても、結局その設定は本筋にかかわらないまま終わる。
 きっと書いている途中でファンタジーの設定を思いつき、我慢できずに書きこんでしまったんだろう。私はそう予想している。作中には、それだけで1冊のファンタジー小説が書けるほどのアイディアがいくつも詰め込まれている。
 例えば、岩石人間の生態についてやたら詳しく解説されていたり、チラッと出てきた脇役のその後の運命が走り書きしてあったりする。
 
 「この話面白いな」と思ってもたいてい「これは別の物語、いつかまた、別のときにはなすことにしよう」というフレーズで終わってしまうのだが。

 最近はこういう、アイディアで読ませるファンタジーをあまり見かけない。昔の作品なら『ジム・ボタンの冒険』とか『魔法のカクテル』とかいろいろ有ったのに………、と思って調べてみたら2冊ともミヒャエル・エンデ作らしい。彼が特殊すぎるのか? いやでも『チョコレート工場の秘密』のロアルド・ダールさんもいる。最近では『ネシャン・サーガ』のライフ・イーザウさんもいる。アイディアで読ませるファンタジーは今でもどこかで執筆されているはずだ。
 個人的にはそういった作品こそが“正統派ファンタジー”だと思いたい。

 おそらく、書かれてはいるが売れていないのだろう、アイディアで読ませるタイプは。代わりに売れているのが『ハリーポッター』や『ダレン・シャン』などのキャラクターで読者を惹きつけるタイプだ。
 別にキャラクターで読ませるタイプが嫌いというわけじゃない。むしろ『ダレン・シャン』とかは好きだ。でも、正直お行儀が良すぎる気がする。
 ストーリーに一本筋が通っていて無駄がない。まるで植林された木のようだ。
 個人的にはもっと無駄に枝が生い茂っていたり、幹が曲がっている方が好きだ。こういう野生の大樹みたいな話は力強い、独特の魅力を持っている。

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