iPhone以前から「スマートフォン」は存在した

最初のiPhoneの発表が2007年。いまは2015年。10年を待たず日本でも携帯電話といえばiPhoneかAndroid。あのキーなしタッチスクリーン形式がほとんどという状況になっている。それ以前に主流だった二つ折りテンキー付きを中心とするガラケー(フィーチャーフォン)から、iPhoneの登場で一気にキーのない「スマートフォン」に移行したように思ってる人も多いのではないだろうか。いま「スマートフォン」「スマホ」といえばあの形が思い浮かぶだろう。

 

ここで改めてスティーブ・ジョブズがiPhoneを発表した時の動画を見てみよう。

www.youtube.com

 

当時すでに音楽プレイヤーであるiPodが成功を収めていた。その中で革新的な新製品を3つ発表すると言い出す。

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ワイド画面でタッチ操作のiPod

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革命的携帯電話

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画期的インターネット端末。

そしてこれらが実は別々の機器ではなく、ひとつの「iPhone」という物なのだと発表が続く。この過程の盛り上がりは非常に面白く、ジョブズのプレゼンのすごさが現れているのだが、問題はそこではない。

 

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そう、この当時すでに「スマートフォン」という概念はあり、幾つもの端末が販売されていた。それらはインターネットに接続でき、Webやメールを見ることができるもので、多くが英語のフルキーボードを備えていた。日本ではこの種のスマートフォンは英国資本のボーダフォンを引き継いだソフトバンクなどで売られてはいたものの、あまり主流にはなっていなかった。

 

ジョブズは従来のスマートフォンが全然スマートではない。固定されたたくさんのキーで画面は圧迫されるし、全然応用が効かないと否定し、キーがなく、スクリーン上にソフトウエアでアプリごとにインターフェースを出すというiPhoneを発表したのだ。

 

ところで日本の「ガラケー」はこの当時すでにインターネット端末だったし、着信音としての利用だった着うたが、着うたフルになって音楽ダウンロードがちゃんと市場になっていた。主にJavaで作成された各種アプリも存在していた。機能的にはiPhoneとたいして変わらなかったのである。つまりガラケーも当時すでにほとんどスマートフォンだったのだ。当初i-modeやそれに類する各キャリアの箱庭的インターネットもどきだったネット機能もフルブラウザとかPCブラウザと呼ばれる機能でパソコンで見るのと同じようなアクセス、表示が可能になっていたし(ただフルブラウザ使うとパケット定額外れるみたいな鬼のようなプランがあったりしたけど)。こういう状況だったので、当時日本でスマートフォンとはなんか機能の違いというより主に、「やたらキーが多いやつ」「電話だか超小型パソコンだかよくわからないやつ」くらいのイメージだった。

 

ところが、もともと「やたらキーが多いやつ」の方の「スマートフォン」が日本ではほとんど認知されていなかったので、iPhoneが流行しだすと、テンキーで折りたたみのがガラケーで、全面タッチパネルのがスマートフォンという認知になっていったのだ。