弁護士 猪野 亨のブログ

　堀本和歌子市議会議員が、元衆議院議員の名義でなりすましビラを配布、議員辞職になりました。
「「ばれたくなかった」　なりすましビラ配布の元維新・福岡市議が辞職」（朝日新聞2022年10月28日）

　普通にこんなことをしたらダメでしょ、というレベルのものではありますが、その発想があまりに稚拙なので、私は何故、このようなことをしたんだろうという思いが強くなります。

　「維新の議員だから」なんていう答えは求めていません。
　大阪府での維新の会の地方議員が金銭がらみで問題を起こしているのは周知の事実だろうし、それは他の政党に比べても目立ちますから、「やっぱり維新」と言われるのも仕方ないことかと思います。
　もともと維新の会という政党とはいえ、政党としての体をなしているわけではなく個々の議員の自己責任で成り立っているものなので、こうした不祥事は避けて通れない宿命を負っています。
　しかし、なりすましはこれら金銭の不祥事とは違う側面があります。
　やっていることがあまりに稚拙だ、ばれたときどうするんだ、というレベルのものです。いろいろと弁明はしていますが、ご自身でもそれが通用するような弁明でないことはわかっているはずです。

　来春の市議会議員選挙に参政党から立候補予定のいわばライバルのようです。


　堀本さんは、博多選挙区では最下位当選ですが、安泰とは言えない得票数です。参政党から立候補となると危うくなるのでしょうか。

2022年の参議院選挙の福岡選挙区では
　維新の会　158,772　落選
　参政党　　72,263　落選

　比例区　福岡県
　　維新の会　　224,193
　　参政党　　76,043

　福岡市博多区だけの得票数は見つけられませんでした。それでも参政党など脅威になりそうもありません。参政党で当選した議員の目茶苦茶ぶりはひどいものですが、Ｎ党もそうですが、固定支持層があるんでしょうね。

　このような行動に出てしまったのは孤独だったんだろうなと思いました。資金による不祥事は1人ではできません。それに比べて今回のなりすましビラでは誰かに相談したら必ず止められます。


2022年10月15日撮影

　以前、私が弁護士になってから2年か3年がたってからでしょうか、札幌弁護士会で私より2年上だったのでまだ若手の部類に入る弁護士が判決文を偽造したという事件がありました。破産管財人として訴訟手続きを行うことになっていて訴状まで作成していたのに裁判所に提出することなく、破産裁判所から結果報告を求められて判決文を偽造したというものです。
　当然、弁護士としてアウトなのはわかり切ったことです。何故、そのようなことまでしてしまったのか、不思議でした。
　堀本さんと同じような状況があったんだろうと思います。
　あまりに稚拙な行為に対して、単純に「バカ」みたいな言い方をされることがあります。私はそんな気にはなれません。
　そんな単純に「バカ」と言われてしまいそうな行為だからこそ、いたたまれない気持ちになります。
　刑事責任を問われることになるでしょう。
　でも、これで人生を終わりにしないで欲しいです。




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