今、中部弁連の弁護士を中心に日弁連に対し、「司法試験の年間合格者数を直ちに1500人にし、可及的速やかに1000人以下にすることを求める」(第2項、第3項は省略)決議とするよう臨時総会召集を請求する行動が始まりました。
会員のところに平成27年11月17日付で「日弁連臨時総会の招集請求に賛同のお願い」がファックスされてきています。
結論からいえば、私は、この臨時総会招集請求の行動は、日弁連の法曹人口(司法試験合格者数)減員の運動を分裂させるだけのものであり、この時期に行う行動としては明らかな誤りであり、断固として反対するものです。
仮に臨時総会が開催されたとしても棄権します。
会員各位におかれましても、減員を求めるこの行動への棄権を呼び掛けるものです。
現在、日弁連の司法試験合格者数に関する方針はこちらになります。
「
法曹人口政策に関する提言」
2012年3月15日に理事会で決議されたものです。
そこでは司法試験合格者数については、次のように述べています。
「司法試験合格者数をまず1500人にまで減員し、更なる減員については法曹養成制度の成熟度や現実の法的需要、問題点の改善状況を検証しつつ対処していくべきである。」
これについては私自身はこのペースでよいのか、もっと積極的に減員策を打ち出すべきとも思います。一番大きな問題は、日弁連執行部がこの提言に基づいて減員のための活動をどれだけ本腰を入れて行っているのかということが全くブラックボックスになってしまっていることです。個々の会員には全くその動きがわからないのです。
日弁連執行部は、法曹人口問題と同時に法曹養成制度、つまり法科大学院制度を守ることも同時に日弁連の運動方針であり、人口だけで進めるわけにはいかないということも述べています。しかし現実には法科大学院制度の「改革」などと全く進んでいないわけだし、そもそも「改革」が可能なのかどうかも問われているわけです。
これらを総合してみれば、日弁連執行部は、会員からみれば、全く何もしていないという姿にしか見えません。
他方で政府方針は1,500人という数字が今年7月に出されましたが(この数字については色々と解釈があり、1500人まで減員するという意味合いはないものです。)、9月の司法試験合格者数は1,850人とされ、昨年度より40人も増加したのです。
現状で既に弁護士数は、供給過剰となっており、今なお1,850人もの合格者数を排出していることは異常な状態です。
現状は1,500人への減員に対しても実現し得ていないし、そこまでの壁もかなり高いというのが現実の政治状況なのです。
この段階で、今般、日弁連執行部は一定の運動方針案を出しています。
内容としては不十分なところもありますが、全国の各単位会とともに運動を進める方針が示され、曲がりなりにも日弁連あげての運動を進めることが確認されました。
この間、各地の単位会では、札幌弁護士会も含め、共同して多くの運動を実践してきました。
政府の法曹養成制度改革推進会議などへの共同申し入れ、共同声明を出してきました。(計5回)
2015年(平成27年)3月19日付共同申入書(
PDF)
2015年(平成27年)7月30日付司法試験年間合格者数を現状から大幅に減員することを求める声明 (
PDF)
さらに国会議員への要請活動とともに議員を招いての院内集会も開催してきました。(計3回)
地方議会への働き掛けも行い、現在、13の県議会で意見書が採択されています。
意見案第6号
適正な法曹人口のための法曹養成制度の抜本的な見直しを求める意見書(北海道議会)
現在、北海道議会のほかには、埼玉、千葉、兵庫、長野、宮城、群馬、富山、静岡、岐阜、三重、京都、佐賀で採択されています。
しかし、上記の活動は未だ緒についたばかりであり、今後、この活動を日弁連、各単位会において実践していくことが非常に重要となっています。
未だ1500人への減員すら達成できていないこの時期に司法試験合格者数が1500人か1000人かで議論している場合ではなく、一致団結した減員のための活動を推進していくことが何よりも重要なことです。
その観点からいえば、上記臨時総会召集を求める活動は、減員のための運動を分裂させるための策動でしかなく、断じて許すことはできません。
続き
「
日弁連:臨時総会招集により司法試験合格者数1000人以下を求める決議に実効性はない」
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