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2011-12-14

学習意欲と学習成果の関係

少し前にUXD initiative( #UXDin )の研究会に参加したとき教わった学習意欲と学習成果の関係が興味深かったので、メモがてら問題。次のうち、学習意欲と学習成果の関係を表しているグラフはどれか。

  1. 学習意欲が高くなればなるほど、学習成果も高くなる

    222_5

  2. 学習意欲が高まれば学習成果も高まるが、ある水準に達すると一定レベルに留まる

    333_6

  3. 学習意欲は学習成果に影響を与えない

    444_5

先に「興味深かったので」と書いてしまっているので、1つ目や3つ目じゃないんだろうとは察しがついちゃう上に、下になんかある! ので、2でないこともお察しのとおり。答えは次の「ヤーキス・ドットソンの法則」という逆U字カーブ。

  • 学習意欲が高まれば学習成果も高まるが、最適水準を越すと成果は低下していく

    111_2

意欲は低すぎるのはもちろん、高すぎても成果はいまいちなんだそう。あらまぁ。これ、別に盲目的に信じることもないけど、「学習意欲」のところを少し言い換えて「覚醒レベル」あるいは「緊張/ストレス度」で見直すと、けっこう腑に落ちる。研修のカリキュラムを設計したり、教材を開発したり、運営をしたりするときは、確かに受講者の皆さんが中央の最適水準におさまるよう心がけているのだった。

左に寄りすぎてしまうと、ほぼ睡眠状態だったり、退屈だったり興味なしだったり。一方、最適水準を超えて右に寄り過ぎてしまうと、過度なストレス状態に入ってしまって硬直、不安、あるいは高揚感に発展。学習そのものに集中できず、成果に結びつかない状態に陥る。

高すぎる学習意欲(覚醒レベル)の具体例としては、退屈とは真逆に、強い関心をもってそのテーマの本をあれこれ手にとったりセミナーに出かけたりして、勉強行為は活発なんだけど、注意散漫で結局何も覚えられていない、身についていない空回り状態に陥ってしまう。

あるいは、無関心とは真逆に、将来のことなど考えると、これを習得しなくては先がないと神経質に関心を寄せてしまい、不安感や危機感が募ってストレスフルな状態に。これでは学習どころではない。

あるいは、あれもこれも勉強したからと満足感にひたったり自信過剰になってしまって、実際には身につけられていないのに自分の能力を見誤ってしまう状態にも陥る。

というわけで、一人ひとりの繊細な心を汲みながら、集中できて実際の成果につながる学習環境をデザインしていきたいなぁと改めて思う。とともに…、我が身を振り返って自分自身が空回り学習にならないよう心して臨まねばと思いつつ、これについて言及されている「学習意欲をデザインする」という本を読み進める日々。

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コメント

2が正解かなと思ってみていましたが、逆U字でしたか。。!
言われてみると確かに、、と納得できますね。
学習意欲は高ければ高いほどいいのでは、、という錯覚がありました。

私も今、あるものの勉強に取り掛からねば、、と自分のモチベーションを上げようとしているところで、それは完全記憶ものの資格なんですが、まず「好きでないもの」を覚える、勉強しようとすることは非常に難しいです。。やる気にまずなれない。
なので「好きになる」ためにどうしたらいいか、、を考えたりして、、無駄に時間がかかっているけど実は勉強したくない言い訳を作っているのかなと自己分析。。(^_^;)
まずは自分の学習意欲を高めることが今の私の課題なんですが(って最初の目標が低すぎ!)、意欲が高すぎてもいけなくて適度で、、っていう部分で、なるほど・・・とうなづいている次第です。

1〜3は私が勝手に作ったグラフでして…(笑)。ただ、横軸のラベルを「学習意欲」ってするのはどうなのかなと、今日いろんな人の反応を伺っていて思いました。本をよくよく読んでみると「覚醒レベル」とか「緊張/ストレス度」が最も的を射た表現のようで、それを「学習意欲」と展開してしまうのはちょっと違うかもなぁと思ったりしました。私もそちらの研究は素人で、どこまでどう実験しているのかわからないのですが。

完全記憶ものの資格の勉強って、大人になってからだと相当つらいですよね…。私は(子どもの頃からだけど)ほんと苦手です。

業務との関連度合いや準備期間の長短にもよりますが、まずは「覚えなくていい」と割り切って一回通して対策本?を読んでみて、内容に対する関心を高めるとか抵抗感をなくすとか。自分の仕事でそれを知るとどう役立つかシーンを思い浮かべつつ読むとか。あるいは自分だったらこういうテスト問題を作るとか、キーワードごとに問題を作りながらインプットするとか。とりあえず問題集をやってみて、わからないところを参考書に戻るような格好で勉強するとか。今ざざっと思いつく限りのアイディアですが、何か使えるものとか応用できそうなネタがあれば使ってください。ファイトー!

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