Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

同志社大学が大学院博士課程の学費を無償化へ。34歳未満の学生が対象

high190です。
同志社大学では、来年度から博士後期課程の学費を年齢制限付きで無償化すると発表しました。
法科大学院とビジネススクールを除く研究科が対象とのことですが、優秀な研究者の卵を確保するこうした動きは他大学の注目を集めそうです。


同志社大学(京都市)は、法科大学院とビジネススクールを除くすべての大学院博士課程の学費を来年4月から年齢制限付きで無償にする。国内外の優秀な若手研究者を集めるねらい。大学院生への経済支援は京都大や慶応大でもあり、大学の生き残りをかけた動きが広がっている。
同志社大によると、博士課程の入学時に34歳未満の学生が対象。入学金や授業料などを3年間、返済が要らない奨学金として支給する。八田英二学長は「意欲ある学生を受け入れ、世界で活躍できる人材を育てたい」と話す。
また、5年一貫制の大学院「脳科学研究科」を来年4月、学研都市キャンパス(京都府木津川市)に新設する。初年度は定員10人で、学費は入学時に32歳未満なら5年間無償にする。

34歳未満の学生が対象とのことですが、優秀な若手研究者を確保したいという意向があるようですね。制度の発足について、ニュースリリースが出ています。


「同志社大学大学院 博士後期課程若手研究者育成奨学金」制度の内容
【目的】
同志社大学が研究力のある大学院として国際的に高い評価を獲得するとともに、本学出身の研究者が国内外の教育研究機関等において活躍することが、本学の教育研究水準の更なる発展に寄与するものと考え、優秀な若手研究者を育成することを目的として、博士課程後期課程の学費相当額を給付する。
【種類】給付制
【金額】年間学費(入学金(入学時のみ)、授業料、教育充実費及び実験実習料)相当額
【給付期間】1年間とする。ただし、所定の継続審査により、標準修業年限を上限に継続することができる。
【対象者】次の者のうち、各研究科長の推薦のある勉学意欲のある者
○神学研究科、文学研究科、社会学研究科、法学研究科、経済学研究科、商学研究科、総合政策科学研究科、文化情報学研究科、理工学研究科、生命医科学研究科、スポーツ健康科学研究科、心理学研究科及びグローバル・スタディーズ研究科の博士課程後期課程に在学し、博士学位取得を目指す、入学時満34歳未満の者。
○一貫制博士課程(脳科学研究科を除く)に2年以上在学し、博士学位取得を目指す、入学時満32歳未満の者。
注)年齢起算日は、入学する年度(学期)の学期初めの日とする。
注)2012年4月1日付で在学する者にも遡及適用する。

来年の4月時点の在学者については遡及適用するようです。ということは、各研究科長の推薦があれば学費が戻ってくるということになります。給付期間のところに「標準修業年限*1を上限に継続することができる」とあるので、博士後期課程の場合は最大3年間ということになります。これは大きいですね。ただ、博士課程への進学者を増やすにあたり、ポストドクターに代表されるように進路先の確保が問題になると思います。一般企業への採用の道がもっと開かれるようになるといいのですが。

*1:博士課程の標準就業年限の場合、大学院設置基準第4条に規定されています