« August 2015 | Main | October 2015 »

2015.09.30

公共調達条例の基準や趣旨以下の労働者報酬

下限額の設定 「住宅費」・「設計労務単価」のあり方を問う


総務部の説明では、労働者報酬の下限額について審議会へ諮問し、その答申を受けて先日、市長が決定。 
条例の適用開始は10月からで、内容は、①特定工事請負契約の予定価格1億5千万円以上の工事の場合は、労働者報酬下限額は720円。また、同じ工事契約でひとり親方の場合は設計労務単価の80%です。②特定業務委託契約の予定価格500万円以上の委託業務や指定管理事業の場合は下限額720円との報告。
 

では、下限額720円が本当に妥当かどうか

設定基準の根拠について総務部に伺うと、審議会は生活保護基準を目安にするとしましたが、その生活保護基準とは、協議の結果、「住宅費なし」を採用。他都市で生活保護を設定基準としているところは一部にあるが、「住宅費なし」はない。「住宅費あり」と「住宅費なし」の差額は1ヵ月3万5,600円。 労働者にとって、住宅費は、当然、考慮されるべきもの。 下限額の全体基準に、生活保護を目安にするとしながら「住宅費なし」を市長も認めている点は、多くの下請け労働者のみなさんから不満の声。今回の設定内容は、憲法25条の最低生活ラインを壊すようなものである。 
さらに問題なのは、高知市の公共調達条例で示す労働者報酬の下限額の基準からみても、それを下回るものになっている点です。 
条例では特定工事請負契約の場合は、「市が工事費の積算に用いる公共工事設計労務単価において、職種ごとの単価として定められた額」となっているのに、実際は受注者等に雇用される者については業務委託の下限額と同額(時給720円)とされている点。
また、清掃業務等の特定業務委託契約の場合は「生活保護法第8条第1項に規定する厚生労働大臣の定める基準において本市に適用される額」としながら、実際は生活保護の「住宅費なし」を採用している点である。
これを審議会が認めたとしても、最終決定をするのは、市長ですから、判断の際、十分な精査さが必要。 
  しかし、総務委員会での報告では、審議会の答申を、市長もよしと、したとの事。

公共工事設計労務単価で示されている職種のうち一番賃金が低いのは、交通警備員です。 
一日の賃金目安は8300円です。 高知市はこの場合も含めすべて一律、労働者報酬を720円としました。
 例:① 8300円×80%で計算した1時間単価830円。 ② 8300円×75%で計算した1時間単価は778円 ③ 8300円×70%で計算した時給単価は726円。
 このことからも、公共工事にたずさわる、あらゆる業種のみなさんの下限額を720円とすることは問題です。
 異常な低さであるということも示しています。 
 本来、条例で示されている通り、公共工事の労働者の下限額の基礎は職種ごとの「設計労務単価」とし、その割合も全国平均90%台にする必要があります。

改善が必要な点


①  下限額の設定において、生活保護基準の「住宅費なし」を採用している問題。 
②  特定工事請負契約における、受注者に雇用される方の下限額は条例で示している通り、
公共工事設計労務単価の職種ごとで設定する必要性がある。
③     ひとり親方の場合は「設計労務単価×80%」としているが、全国の90%に改善が必要。
④ 審議会の開き方について、開催の根拠となる内容規定が条例の中には、具体的に位置づけられ
てない。 (毎年開くとはあるが、どのような変化に対応するかがない)

 条例にてらしても、現状の基準は問題ではないかと改善を求めました。答弁は「条例に規定している額、つまり公共工事設計労務単価や生活保護基準額と『その他の事情』を勘案して定めるものとされており、審議会でも賃金の実態や市の調達への影響等を勘案して答申をまとめていただいた。額の設定が条例の趣旨とは違うものになっているとは考えていません」と。
 条例の趣旨とはちがわないという市の答弁、見解なのですが、全国ではどうか、調べてみました。 
以下、調査の結果からも、実態は、非常に高知市が遅れている事は明らかになっています。
 

 2015年度、公契約条例の適用範囲と労働者報酬下限額 全国状況の資料から

 市は契約工事の場合1億5千万円からとしているが、ほとんどが1億円未満(4000万円など)の契約額の工事を対象とし、多くの労働者に恩恵があるよう努力している。(足立区は1億8千万円、高知市を越える額はここだけ)
 また、労働者報酬下限額についても公共工事の場合に生活保護を採用した自治体は川崎市、多摩市、厚木市、があるが、「住宅費なし」を採用しているとこはない。 高知市のようなところはないのが実態。そして、設計労務単価についても、その多くは90%としているところです。高知市は75%(ひとり親方は80%)と異常な低さが浮き彫りになっています。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2015.09.29

五重の塔

150922_131401


150922_120401

150922_102901

 五重の塔へ  この日はカメラ好きの父も一緒に・・。私達の写真を撮ってくれた、ありがとう!
  旅のテーマは父の父、私のおじいちゃんの足跡をたどるという企画。
 祖父は兵隊だった、旧陸軍・11師団の砲兵隊に所属していたようだ。奇跡的に生き残った。どこにいたのか、兵隊としてどう生きていたのか、家族で訪ねてみました。 議会が終われば、また報告したいと思います。 


| | Comments (0) | TrackBack (0)

2015.09.25

就学費の全額返還処分の撤回を求めて質問

生保世帯から就学費を全額返還させた問題

問題の事例は生活保護世帯の母子家庭で、お子さんは2人、高校生と中学生です。
高校へ進学をした長男に給付されている「高等学校等就学費」の1ヵ月10,600円では、必要となる制服代やクラブ活動費、修学旅行代、塾代、テキスト代などが賄えないということで、母親は子どもとも相談して、奨学金を受けたいと、入学前に福祉課・担当者に相談していました。しかし、その時点で、具体的な制度についての説明はなかったとの事です。
その後、8月になって、福祉課の担当者は、就学費10,600円と県の貸付奨学金18,000円のどちらかを選択するよう、母親に伝えています。
福祉事務所は、当然の様に、県の貸付奨学金を借りたからと、就学費が過支給であることを理由にして全額返還の方針を決定しました。4月・5月・6月分については「生活保護法第63条による返還金納付命令」を通知、全額返還処分とし、7月分以降については8月18日付けの保護決定通知により保護費の減額を行うとしました。
つまり、福祉事務所は、県の貸付奨学金を借りると、就学費は返してもらうという方針であるということです。

 福祉課が就学費と貸付奨学金を選択させた指導は明らかに問題で、違法だと思われます。
 生活保護担当の職員が手引き書としている「生活保護手帳2015」の中では、就学費と貸付金の関係について考え方が示されています。どう書かれているかというと「・・高等学校等就学費で賄いきれない経費が必要な場合については当該経費にあてられる必要最小限度の額に貸付額を変更し、その上で高等学校等就学費を給付することとされたい」と書かれています。
 また、高知県のホームページでも、高等学校等就学費の取り扱いについて、奨学金を利用する場合として、次のように明記さています。「高等学校等就学費は奨学金等の貸付を受けなくても高等学校へ就学が可能となるよう生活保護で給付されるものです。なお、高等学校等就学費の給付対象外となる経費や基準額の範囲で、まかなえきれない経費については奨学金等の貸付金により、まかなうことは可能です。」とあります。
就学費と貸付奨学金は併給できることは明らかです。

 ☆ どちらかを選択させたこと ☆必要経費について聞き取りを行っていない この点からも今回の処分は撤回するべきではないかと質問しました。 

市議会での答弁

市=「返還処分は取り消ししない」 
   「市の処分が明らかに誤りであると断定できませんのでただちに取り消しを行うことはできません」
   「聞き取りを行ったうえで再度の判断をいたしますまでのその期間につきましては返還を求めない対応する」

 

  
問題点① 

 就学費と貸付奨学金のどちらかを選択するよう指導している点は、「どちらかを選ぶといった指導はない」と部長が答弁したが、2問で担当者みずからが9月10日に選択させた事実を認めたことを指摘すると、「あくまでも生活保護手帳の趣旨(第8の59)に従った」、「対応をどうするか、部内で協議して返還を求めると判断した」と答弁。これは福祉事務所が協議した結果、就学費は全額返還してもらうことを意味する、つまり、併給できない、選択させたことを示している。また、「(併給できる)制度について理解が十分でなかった認識している」とも答えた。福祉事務所の考えか方、方針が併給できないことであったことは明らか。
 しかし、驚くのは、担当課が選択の指導をしたと9月10日に認めているにもかかわらず、答弁では「どちらか選ぶといった指導はしていない」と言い切っている。 おかしな答弁だ。協議の結果、選択するものと方針を判断したのは福祉事務所、市である。 それに従った担当課や担当職員の指導や発言を無かったことにしている。今日の質問戦で一番の怒りを感じた!

問題点② 

返還命令や保護費の減額という行政処分を行うに不可欠な「聞き取り」をしていない点については部長も市長「ヒアリングが不十分だった、反省している」と答弁、その上で「充分な聞き取りを行い、再度の判断をいたしますまでの期間につきましては、返還を求めない対応としてまいりたい」答えました。繰り返し、今の段階では行政処分の取り消しはしない、ヒアリングをしてから判断したいとしているが、そもそも、返還がいるのか、いらいのか、どれぐらい必要経費がかかるのかという調査があって処分は決まるものだが、一度も聞き取りがされないままである。 これは生活保護法第56条「正当な理由」に反することである。行政処分の判断過程が不適切であったならば、処分の撤回は妥当な判断だと思うが、判断過程の重要性を市は認識していないと思う。

処分取り消しの根拠

①福島地裁の裁決から   

生保世帯の高校生が受け取った給付型奨学金を福島市が収入とみなして保護費を減額した問題で県に不服審査請求その後、再審査請求が国に出され、結果、国は市の「処分の取り消し」と裁決しました。理由は「聞き取りをせず、保護費を減額させたこと」としている。


②厚生労働省 援護局 保護課 「高等学校等就学費の運用にあたっての留意事項」(H18年)
香川県が高等学校等就学費と奨学金は併給できないとしていた問題(奨学金の辞退を求める「お知らせ」をしていた)があかるみになる事がおこり、国が改めて出した見解文。
内容は「・・就学資金の貸付金と高等学校等就学費との適用関係において、一部の自治体において誤った取り扱いがなされていたところである。就学資金の貸付と高等学校等就学費の給付については、一律にどちらか一方のみを適用することではなく、高等学校等就学費の支給対象外となる経費や基準額の範囲内で賄いきれない経費には貸付金をもって充てることもできるものであり、生活保護においても高等学校等就学費を併せて支給するものである。・・」とある。

☆「処分の取り消し」にあたる点

① どちらかを選択させたことと(選択の指導の事実と就学費の方の全額返還という事実)
② 全額返還処分とする理由の根拠に必要不可欠である聞き取り調査をしていない点(生活保護法第56条違反にあたる)を認めておきながら、処分の撤回はしないという市の姿勢は問題である。本来、やるべき手続きを適正にしていない行政処分がまかり通ることはおかしい。


☆これからの対応

◎ 不服審査請求が9月24日県へ出されたが、その結果がまたれる。と同時に市は議会答弁で約束した聞き取りを行い、現行処分の是非について見直し、早急に結果を示す必要がある。また、10月4日からの保護費にはきちんと就学費が給付されているかも問われる。
◎ 現状が変わらないまま、もし、県が不服審査請求を却下した場合は、国に再審査請求をする必要がある。なぜか、福島市の問題も国に再審査請求して、「処分の取り消し」が認められたから。
◎ 福島地裁での裁決の処分取り下げ理由と高知市の状況が同じであることからも、高知市が処分の撤回をしない限り、法的争いがつづくと思われる。

妙なことを言われた。不服審査請求をすると、結果がでるまで、市が質問に応えられなくなるとの意見だが。 そんなことはありえない。 不服審査請求と言うのは、行政が行政を審査、チェックし見解を出すもので、議会で問われれば市の見解はいう必要があるものだ。 裁判中とはわけがちがうものだ。  不服審査請求は当事者の権利である。 当事者からすれば大きな不利益を受けている。給付されるべき就学費が不適切な市の処分によって全額返還させられているのだから、たまらない! 今後、行うとするヒアリング調査の期間は返還は求めないと市は言うが、当たり前だ。 高校生本人が市長あてに手紙を書いてくれたが「将来の夢は医者になることです。生き甲斐は野球です。奨学金や教育費を減らされたらこまります。貧乏な家庭の子どもは夢も生き甲斐も持つことができないのでしょうか」と。 市の不適切な返還処分によって、がんばっている子どもがこのような思いをしているのです。 このような誤りを認められないようで、貧困の連鎖を防ぐことはできるのか、本気だろうかと、疑ってしまう。
 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2015.09.10

中学校給食センター

 給食センター候補地示される、献立数など具体化へ


 給食センター設計委託の予算計上 

 9月市議会に中学校給食の整備に係わる予算が提案されます。合せて、センター候補地が示されました。
場所は①針木の水道局用地、②長浜競馬場駐車場用地です。
市は平成30年度3学期に給食開始を目標にしており、27年度3月には給食センターの「実施設計」を発表する予定です。
 現在、給食の質に係わってくる献立数はどうするのか、アレルギー対応はどうなるのかなど、中身にいての議論が「中学校給食実務検討委員会」(庁内組織)で行われています。
 例えば「食育・地産地消の観点からも献立は複数必要」という意見も出ています。
さらに、市民や外部の検討委員会の意見も踏まえたものになるのか、これから議会論戦でも争点になりそうです。


 よりよい給食のため、徹底論議を 

 9月市議会で設計委託の予算が通れば、プロポーザルによる事業者の選定、厨房機器の検討・決定がされます。厨房機器は献立数にも係わる大事な点です。設計に反映される必要のある中身については「基本方針」で位置づけられますが、スケジュール案では実施設計(平成28年4月)の後に基本方針の策定(平成28年10月)となっており、重要部分の議論が行え、活かされたものになるのか、日程的に疑問が残ります。市民からも、設計に間に合うよう、丁寧な討議と意見収集を求めていきましょう!

 外部の検討委員会 「急な召集で意見もまとまってない状態」

 9月10日、外部の検討委員会が9ヶ月ぶりに開かれました。 なんと、外部委員さんを招集したのが9月7日、急すぎて、参加できていない委員さんもありました。
 委員から、「急な召集で意見もまとまっていない」との指摘。また委員長からは「これまでの外部検討委員会での意見や今、出された意見はどう実施方針に反映されるのか?」と意見がありました。
 教育長は「外部の皆さんの意見が反映される様にしていく」 教育次長「実務検討委員会の意見を外部の皆さんにも報告する場をもつようにする」と述べました。
 そもそも、三日前に召集するような点からも、アリバイ的な外部検討委員会の開催ではなかったかと思う。
 当然、外部委員さんから不信の声。 

 150908_150701

 ← 現時点でのスケジュール 

 市は基本設計などの日程スケジュールを今回の資料に出していない。 これでは丁寧な審議、設計に反映できる討議になるとはいえないと思いました。 今後、どのように中身のある、意見の反映できる取組みにしていくのか、問われています。 

 
 
 

| | Comments (1) | TrackBack (0)

« August 2015 | Main | October 2015 »