出汁

2010-05-20

コゴミのお浸し:追い鰹の「浸け地」で:極東ブログ書評「日本の大問題が面白いほど解ける本(高橋洋一)」まず知らせたくて

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 最近時々見かけるようになったコゴミを使って、お浸しを作りました。通常なら6月位まで食べられるのですが、気候が不安定なので今年はどうなることかと思っています。
 コゴミというのは草蘇鉄(クサソテツ)という多年草のシダの仲間で、葉が広がる前の丸まっている芽の時に山菜として食べます。実は、打ち明けてしまうと、私は、野山でこのコゴミ取りをしたことがないのです。これじゃないかな?と思って見たことはあるのですが、シダの仲間は種類も多く、小さな芽の時は特に見分けが難しいと思っています。ついでの話で、ゼンマイとワラビもよくわかっていないのですよ。但し、はっきりとしていることもあります。それは、コゴミとワラビなどは全う仲間で、茎が丸いか半月か、産毛のような毛があるかないかなどの違いです。その昔は、それすらも知らなかった私ですが。コゴミは蕾を広げてみると、見たことのあるような葉が出てきますが、我が家の庭先に観賞用として義母が植たらしい葉が毎年出てきます。そういうわけで、コゴミは、身近な山菜なのだということです。癖もなくアクもないので、火が通ればどのような料理方法でも食べられるのが嬉しいコゴミです。
 さて、お浸しにする場合は、出汁が命のような料理なので、美味しく上等な「追い鰹」という方法で取った濃い出汁で作りました。因みに、この方法で麺類の出汁を取ると、プロ並みの美味しいつゆになります。

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 作り方は、水から昆布を浸けて一晩くらい水出しをし、昆布を取り出してから火にかけ、80度まで温度が上がったら花かつおを加えて5分同じ温度で出汁を取り、そのまま冷まします。この鰹出汁は「一番出汁」と言って、すでに上等の出汁です。※ここで取り出した鰹と昆布でもう一度水から煮出してもお味噌汁などに使える出汁になります。さて、この出汁をもう一度煮立てて、花かつおを一掴み加えることを「追い鰹」と言います。すぐに火を止めてそのまま冷まします。この出汁を漉して「浸け地」にします。

材料

  • コゴミ・・150g
  • 鰹出汁(追い鰹)・・150cc
  • 白醤油・・大さじ1
  • 塩・・小さじ1/3

 本格的に出汁を取るのは面倒くさいと言うのをよく聞きますが、時間はかかっても分業なので、実際に関わる時間は短いものです。また、時間がある時にまとめ て出汁を取るとよいです。大量では使いきれないという場合は、小分けにして冷凍もできます。今日はコゴミですが、これからの季節は山菜や葉物が出まわるの で、是非この「浸け地」で一度お浸しを自作してみてください。

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2010-05-12

葱の揚げ玉うどん:シンプルスープ続編:「「世の中を変える人」の4条件」によせて

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 うふふ、どこかで見たことのある葱の揚げ玉でしょ。ここを毎日チェックしている人なら一目瞭然で、ともするとこんなレシピを挙げたらもう来てくれなくなるかもしれない。なーんちゃって、葱のかき揚げの時、最後にボールに残った中途半端な種を菜箸でパラパラと揚げ油に振り入れ、それで出来上がった揚げ玉なのです。
 ところで揚げ玉は、関西地域では天かすと呼ぶらしいのですが、決まっていません。大阪の友人は揚げ玉と呼んでたこ焼きに入れていたのを覚えています。高速道路のカウンターやぶっ掛けうどんのチェーン店(名前は忘れた)や、駅の立ち食いでは、小口ネギと揚げ玉、七味は「ご自由にどうぞ」と、無言のセルフサービスおっけ的な地位を確立しています。自由にと言っても、揚げ玉を山盛りにするのは大学生風のお兄ちゃん達で、秋田のうどんチェーン店で遭遇したことがあります。それくらいで、普通は油っこくなるので、パラっとのっている程度にしておきます。すると、揚げ油の風味が出汁と一緒になって、かき揚げうどんを食べているような錯覚を起こします。これが、揚げ玉の存在価値としての80%以上の狙いではないかと思います。

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 さて、そういうわけで、少しあるとうどんや蕎麦が一味も二味もよくなることがわかっているのに、これだけ揚げて作るという気にならないのも事実です。ですから、天ぷらなどの揚げ物をする時に少し作りおいて、冷凍保存します。冷凍庫に長く置くとどういう事になるか知っての通り、かなり臭いがつきやすいので、せいぜい10日のうちに消費するというものでしょう。ですから、大量に作るものでもないわけです。 これで、話は終りですが、これだとレシピにならないので、簡単で美味しいうどんのつゆの作り方も合わせて参考にどうぞ。
 美味しい鰹出汁に、白醤油と濃口醤油を半々加えてるだけです。これも何かに似ていると思ったら、先日秋田の友人から仕入れた「和風のあっさりラーメン」のスープの配合にちょっこし似ています。用意するのはレトルトのうどんか、茹でうどん、または乾麺など好みの麺か、自分で手打ちにするのもたまには良いです(➠レシピ)。

うどんの材料(二人分)

  • 茹でうどん・・2玉
  • 揚げ玉・・大さじ4
  • 葱・・適宜
  • 蒲鉾・・適宜
  • 茹で筍・・適宜

出汁

  • 水・・700cc
  • 花かつお・・一掴み
  • 白醤油・・大さじ2
  • 濃口醤油・・大さじ1
  • 塩・・小さじ1/2

作り方

  1. 鍋で水を沸かし、80度位になったら鰹節を一掴み加え、温度を80度までに保ちながら5分加熱して火を止め、そのまま鰹節が沈むまで置く。
  2. 鰹節が沈んだら笊で上澄みを漉して、鰹も絞ってすっかり出汁と分ける。
  3. 鍋で2の出汁を沸騰させ、分量の調味料を加え、最後に味見をしてから塩の分量で加減する。※うどんが入ると薄まるので様子をみる。
  4. 茹でうどんを加え、うどんがほぐれて煮立ったら器に盛り付け、揚げ玉、蒲鉾、小口葱を散らしてでき上がり♪

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2010-01-13

凍み豆腐と手製の蒲鉾のお吸い物:本格的なお吸い物:「守られたい」のは私

Iphone_013  やっと、やっと凍み豆腐(=しみとうふ=高野豆腐)に出会うことができました。とても身近なお店に売っていたので驚きです。いつものことですけど、灯台下暗しでした。
 私が探していたのは、この時期にしかできない工程の途中のものです。最終的な乾燥工程にする直前の、材料の状態の凍み豆腐です。これを室温でゆっくり解凍したものをそのまま煮物などに使います。これが絶品なのです。お豆腐の甘さがすごく残っていて、上等のお豆腐でなかったらこんなに美味しい味にはならないと思うのです。そして、ふっくらとしたキメの細かさがモチモチと弾力のある歯応えにするのか、お豆腐を噛んで食べるというのがきっと楽しめます。
 凍み豆腐は、この地域の特産物だというお話は以前にもしました(参照☛)。大昔の給食のおかずに入っていたのは未だにトラウマでダメですが、この土地に来て大好きになったのです。極寒の冬に豆腐を野外で凍らせ、日中、その氷が解けて豆腐から水分が抜けるという自然現象を繰り返すことで、次第に乾物となったものが凍み豆腐です。冷蔵庫でお豆腐を凍らせてしまった経験があれば見たことがあると思いますが、豆腐が凍るとその水分が結晶となり、解けると無数の穴を作るのでスポンジ状になるのです。
 昔は、自分で作れると思ったので試したことがありますが、ちょっと真似できませんでした。何だかひどくまずいものができてしまったので、それ以来、この時期でしかしか見ることのない、凍った豆腐を探していたという訳です。
 12月から2月ごろまでこの作業を繰り返して作る本物の高野豆腐は、硬く乾燥してしていて、それを水で戻し、出汁などで柔らかく煮てから味付けします。この戻した水にはお豆腐の旨味も出ますので、煮物などには加えて使います。

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 えっと、だから調理時間はかかりません。高野豆腐を戻す必要はない上、その後の味付けも火が通れば直ぐにできます。
 鰹の出汁を取って500ccを別鍋に取り分けます。ここで小さく切った高野豆腐加をえて煮立たせます。続けて水で戻した飾り麩と、一昨日作った蒲鉾(レシピ☛)の薄切りを加えてでき上がりです。この蒲鉾も私にとっては滅多に作らない代物ですし、この凍み豆腐といい、類まれな出会いとしか言いようがありません。というか、この二品のために美味しい出汁をとったお吸い物を作りたいと、すごく元気が出たのでした。

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そういう経緯なので、今日のお吸い物のお出汁はとても重要なのです。具材からの出汁に期待するのではなく、出汁が具材を生かすという考え方が先に立ちます。「野菜料理 前菜からデザートまで」 野崎洋光は、プロ仕様の会席料理本ですが、目の保養にと以前買って時々眺めている本です。こちらに、丁寧な出汁のとり方と、それぞれの出汁がどのような料理に向いているかなどの詳しい説明部分があって、レシピを拝借した次第です。驚くほど少ない調味料でシンプルなのですが、お出汁がしっかりしているとこうも美味しくなるのだと納得できるお味です。秋山千代さん(参照☛) のお話とも通ずるものを感じました。お出汁の取り方は、著作権に触れてしまうのでそのまま書けませんが、私のレシピを参考にどうぞ(レシピ☛)。分量の違いが多少ありますが、ほぼ同じ「一番出汁」になります。

材料 (お吸い物)

  • 吸い地・・500cc
  • 高野豆腐(自然解凍)・・2枚
  • 蒲鉾・・適宜
  • 飾り麩・・適宜

吸い地

  • 一番出汁・・500cc
  • 淡口醤油・・1.25cc
  • 塩・・2.5g
  • 酒・・2.5cc

作り方

  1. 高野豆腐を室温で戻し、適当な大きさに切る。
  2. 飾り麩を水で戻して水気を絞っておく。
  3. 一番だしを取る
  4. 作りたい出汁の分量の水の半分に半日昆布を浸して、水出汁を取ります。鍋に残りの水を沸かし沸騰したら花鰹を一掴み入れ、1~2分で火を止め、昆布の水出汁と、鰹の出汁を合わせます。
    ワンランク落として、昆布の水出汁がなくても上等な一番だしです。
    材料(水1リットルに対して)

    • 水・・1リットル
    • 昆布・・50g
    • 花鰹・・一掴み
  5. 一番出汁で1の高野豆腐を一煮立ちさせて、吸い地の調味料を加えて味を整える。
  6. 蒲鉾と飾り麩を加えてでき上がり♪

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2009-09-13

手打ちうどんを釜揚げでいただく:うどんの変化をリアルタイムで楽しむ

 突然岐阜の友人夫婦が所用で諏訪に来ることがあり、いつもの事ながら立ち寄ってくれました。お昼ごはんはたまには外食しようかという選択も候補に上がっていたのですが、朝から大雨でしたし動く時間の無駄を考えて、私の手打ちうどんを食べてもらうことにしたのです。割と早くにそう決めたので、うどんを打って寝かすこと三時間で何とか形になりました。岐阜から来ると諏訪は寒く感じるのだろうし、雨降りも手伝って底冷えのする寒さと言ってもおかしくない寒さだったので、体が温まる釜揚げうどんにしました。作った量が大量でしたので、お櫃と特大の木製サラダボールに茹で汁ごとうどんを移してテーブルでただくということにしました。
090912_102045  よくよく考えたら手打ちうどんを家で釜揚げにしたことは無かったのではないかな。なんだか後先を考えずに作り始めてから器を探したりして、少してんやわんやしましたが、うどんが生き物のように感じられました。手打ちのよさでもあるのですが、製麺機を使っていないので手切りです。しかも、蕎麦切り包丁で!この際、何用の何を何に使うかなど問題ではなく、大量のうどんを如何にうどんらしく作るかですから、なりふりかまわずです。息子は休みで、手伝うつもりでいたらしく「小さい頃ここにうどんを置いて僕達足で踏んだよねー!」と楽しみにしているのです。が、ごめんよ。もう捏ねちゃった。麺切りをしている私の姿を自分の携帯電話のカメラで撮ってくれたのですが、多分、料理中の画像はこれが最初で最後になるでしょう。
 手打ちうどんが生き物みたいだと表現した理由は、茹でた直ぐは非常にコシが強くぴんぴんしていて、まるで海老の踊り食いのようです。ずるずるっと吸い込めなくて、そこを無理をすると、口の周囲にうどんでパンチが飛んできます。全員が、早く食べないとうどんのコシがなくなると思ってますので凄まじい速さで食べたのですが、5分後くらいにはうどんがつるつるとした滑らかさに変わりもちもちしてきました。それはそれで美味しいねということが分かったのです。次回からはゆっくり食べて、二通りの味わい方を満喫したいと思いました。
 手打ちうどんのことを偉そうに言うのは憚りますが、私なりの経験から言わせていただくと、国産の強力粉だけだと弾力が強過ぎて喉越しが悪く、もぐもぐ噛んで食べるような感じのうどんに出来上がります。駄目だというわけでもなのですが、かなり弾力が強いです。ですから、国産の薄力粉と半々に混ぜて中和するとよいです。また、水の量は本当はできるだけ少なめにして、生地を硬く捏ねると後の扱いが楽ですが、捏ねるのに力を使います。帯に短し襷に長しのような言い方ですが、どちらを取るかというかと硬い生地です。理由は、茹でる時に持ち上げただけでうどんが伸びたり、打ち粉をして解す動作をするだけで伸びてしまい、太い部分と細い部分が極端に出来上がるためです。そうなると茹で加減にバラつきが出ますので、細い部分は茹で汁に溶け出す・・・のような問題があとに出ます。いずれも美味しくないうどんの評価に繋がります。硬い生地を選択して、ではどうやって生地を捏ねるかと言いますと、足踏みです。丈夫なビニールに包んでできればバスタオルなどでカバーしてから踏みます。10分くらい足踏みすれば完璧でしょう。足踏みの圧力で生地に均一に水分を行き渡らせ、全体をまとめます。水分は粉の50%から55%の間で調節するとよいです。

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 次にお出汁ですが、私はもっぱら鰹出汁に醤油と味醂を同量加え、味を締める為に塩を少々加えます。この醤油と味醂の分量は出汁を10とすると、1~1.5の割合です。これは醤油の味にもよるのでその都度まちまちになります。レシピには表現しにくいのですが、言える事は、つけ麺なのでやや濃い目に作っても茹で汁が混ざる分、直ぐに薄まりますから、割と安心です。また、削り鰹を沢山使って出汁の色が鼈甲色(飴色)のような金色くらいの濃さですとコクがああります。その場合、味付けは薄めでもかなり満足できる味になるはずです。秋田で覚えたつけ麺のお出汁は、鶏のもも肉を小さく切って沸騰した出汁に加えて一煮立ちさせ、灰汁と余分な油を掬ってから味付けして葱を加えます。これは、ちょうどきりたんぽ鍋のスープのように出来上がります。
 最後に薬味ですが、温かいつけ麺には葱が入っていれば十分ですが、今回は塩もみしたオクラをさっと下茹でして(Hint&Skill☛)薄く輪切りにしたものを出汁に加えました。ぬめりがうどんを啜りやすくしてくれ、また、しゃきしゃきした食感はなかなかうどんにあいます。
 食べる時間はあっという間ですが、お腹はすっかり満足です。うどんを食べ終わってから他のおかずにやっと目が行くという始末ですが、今回はかぼちゃと牛蒡を牛肉で早煮にしたもの(レシピ☛)と茹でたブロッコリーと甘いトマトでした。
 お櫃に注がれた釜揚げうどんに皆で箸を突っ込みながら頂くのは、屈託の無い付き合いを上手に演出してくれます。「同じ釜の飯」ではないですが、それに近い感覚で、皆で同じものをつついて食べるということがなんとも幸せです。この幸福感のためなら、手打ちうどんなんて御安い御用です。

材料(うどん)

  • 国産強力粉・・350g
  • 国産薄力粉・・350g
  • 塩・・35g
  • 水・・370cc(粉の53%)

つけ麺の出汁

  • 鰹出汁・・800cc
  • 醤油・・85cc
  • 味醂・・85cc
  • 塩・・小さじ1/2
  • 鶏もも肉・・300g
  • 長葱・・1本
  • オクラ・・10個

作り方

  1. ボールで粉と塩を混ぜ、分量の水を加えながら混ぜ合わせて固まりにし、表面がつるっとした滑らかさになるまで捏ねたり足踏みしたりしてならす。
  2. 1を半分にして、乾燥から防げるようにラップなどで包み、夏場なら冷蔵庫で冬場なら暖房の聞いていない場所で最低1時間、できれば一昼夜寝かす。
  3. 鰹の出汁を取り、800ccを取って中火にかけ、沸騰したら小さく切った鶏肉を加える。
  4. 余分な油と灰汁を掬ったら醤油、味醂、塩で味付けし斜めに細く切った長葱を散らす。
  5. お鍋に(15リットル位)たっぷりのお湯を沸かす。
  6. 台に粉をたっぷり打って2の生地を十文字に麺棒で押さえて跡をつけ、放射状に伸ばす。
  7. 30cmくらいに伸ばしたら麺棒に端から巻き付け、転がして伸ばすのを何度か場所を変えながら60cmくらいに伸ばす。
  8. 3~4回前後に交互にたたんで端から3mm幅で切り離し、最後にたっぷりのうち粉をして粗く解す。
  9. お湯が沸騰したら麺を加えて透き通るまで茹で、器にうどんごと流し入れてテーブルに直行♪ 

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2008-10-15

蕎麦屋さんの蕎麦を自宅で「かけとろろ蕎麦」:おーまいがーな地鶏の出汁仕立て

Pa140001  私の住む市内で、かなり名前の通った蕎麦屋さんの手打ち蕎麦が、我が家に転がり込んできたのです。友人が仕事上の客人を自宅で接待するために、蕎麦屋さんに頼んでもらったのだと言うのです。釈迦力になって準備を急いでいる台所に顔を突っ込んでしまって、嬉しい事にお裾分けを頂いてしまったのです。
 お持ち帰り用のお蕎麦を打ってくれるお店は少ないと思っていましたし、茹で方などに相当の技術が必要で、火力が弱過ぎて、茹でるお湯の温度に差がでたりすると、生のお蕎麦は切れてしまいます。家庭用の火力と私の力量で、本職さんの打ったお蕎麦が美味しく茹でられるとも思っていませんから、買ってくるという発想もありませんでした。いろいろ驚いてしまったのですが、ここは慎重に、真剣に茹でて、是非とも美味しいお蕎麦の一杯にありつけるようにと、先ずは、とびっきり美味しい出汁を取る事から始めました。
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 と、言ってもいつもの手順なのですが、迷いに迷ったのが、「つけ」にするか「かけ」にするかです。お蕎麦のコシと香りが手打ち蕎麦の醍醐味ですから、ここは「つけ」つまり、笊蕎麦にして、ツユをつけて食べるのが「通」の食べ方。食べ終わったツユに蕎麦湯(蕎麦を茹でたお湯)を注いで最後を締める。これが蕎麦通の食し方ですか。と、信じ込んでいるので、かけ蕎麦は邪道だと・・・あ、そう言えば、「一杯のかけそば」という栗 良平の短編小説がありましたね(☛Wikipedia)。いろいろな話題を呼んだ作品でしたが。とろろのかかったかけ蕎麦が大変好きなのも事実で、寒い日にはからだが温まっていいんですよね。お蕎麦にとってはどうよな話ですが、好きな食べ方が一番嬉しく美味しいのが、食の嗜好ということです。ただ、作り手にとっては、気を使います。硬めに茹でたそばを冷水で軽くしごくように洗って、温め直すお湯を用意し、更に熱い出汁を同時に用意するために、火元を3本必要とします。茹でこぼした後に、冷水で洗う場所の確保も必要です。こうなると、お蕎麦というのは、水との勝負のようですね。冷たいのと熱いのの繰り返しを常に手際よくできるようにするということのようです。
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 こうして頭の中でシュミレーションしたあと、キッチンを使いやすく整えていざ開始。

  1. 美味しい一番出汁を取ることからまずは、手始めとします。多めに出汁を取ると、あとあとの使い道にもなりますのでかなりたっぷりの水に昆布を浸けて、水出汁を作ります。最低1時間くらいか、半日も浸けておくといいです。そのまま火にかけて、沸騰する直前に昆布を取り出します。引き続き、花鰹か鰹の厚削りを適量加えて3分沸騰させて火を止めます。このまま冷ましてしっかり鰹の旨味を出します。鰹節を掬うか、別の鍋に上澄みだけを静かに流し出すなどして出汁を取ります。
  2. 擂ったとろろ芋を更に擂鉢で滑らかに、空気を含ませるようにして、ふんわりとさせておきます。
  3. 鶏のもも肉の余分な脂を取り除き、細かく切り刻みます。
  4. 葱は3cmにぶつ切りにしたら、縦方向に2~3回切って、短冊切りにします。
  5. 1.2リットルの出汁が完全に入る鍋に鶏肉を入れて火をつけ、中火でしばらく炒めます。
  6. 肉の色が変わったら、葱を加えてしんなりするまで炒めて、割り下大さじ2で味付けし、染み出した煮汁を煮詰め、鶏肉に濃い目の味をしみ込ませます。
  7. ここに、出汁を注ぎ入れて、沸騰直前になったら火を細めて熱い保温状態を保ちます。
  8. 6~7の作業と同時に、別の大なべに3リットル以上のお湯を沸かします。蕎麦を茹でる最低のお湯量は、一人前に付き1リットルが最低の湯量です。そして、麺は一人前ずつ茹でます。これは家庭用のガス台や電気の熱源の火加減の限界かと思います。
  9. 蕎麦を温めるためのお湯を別の鍋に沸かしておきます。
  10. ボールにお湯を注いで、どんぶりを温めておきます。
  11. 流しに、大きなボールなどに水を張って、笊を用意します。諏訪の水は大変冷たく、井戸水のように夏場は冷たく冬場は生暖かく感じます。場合によっては、氷を浮かべてもいいかもしれません。茹で上がった蕎麦のぬめりを取って、蕎麦独特のしこしこした食感にするためには、この水が物を言います。小川の軟らかい水などで洗うと、甘くて美味しいお蕎麦になるのですけどね。
  12. 充分お湯が沸騰したら一人前の蕎麦をつかんで、軽くぱらっとお湯に放ちます。蕎麦がお湯のたぎり渦と一緒にぐるんぐるんします。この状態で1分20秒茹でて笊で引き上げ、直ぐに冷水に当てながら手際よく洗って、熱を取ります。
  13. 蕎麦を温めるための鍋のお湯にジャブンと5秒浸けて、水気をよく切り、温めておいたどんぶりに移し、擂ったとろろ芋、青物茹でたほうれん草)を乗せてから、出汁をかけ回します。
  14. これで熱々で、しこしこのとろろかけ蕎麦の出来上がり♪
  15.  短い時間に目一杯忙しい思いをするのですが、大変美味しいお蕎麦を頂きました。ご馳走様でした。


材料

  • 手打ち生蕎麦(更級蕎麦)・・4人前
  • 茹でたほうれん草・・適宜
  • 長葱・・1本
  • 地鶏もも肉・・1枚(300g)
  • 割り下・・大さじ2(☛レシピへ
  • 焼き海苔の細切り・・適宜

かけ汁の材料

  • 一番出汁・・1.2リットル
  • 割り下・・大さじ4
  • 塩・・小さじ2

一番出汁の本格的な取り方☛レシピへ。でも、上記の方法と出来上がりに大差がありませーん。) 

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2008-06-22

追い鰹出汁で青みず(ウワバミソウ)のお浸し

P6180001  「青みず」って山形で目に飛び込んできたこれ。もう既に学習済みなので「みず」という言葉はわかっていますよ、と思いつつ、でも「青」という文字は何でどうして?と、一瞬頭をかすめました。これはどうも「葉」を意味するようです。ウワバミソウのむかごのことを「水玉」と呼んで、茹でてお浸しなどで頂きますが(参照)、そこまで成長する前の青草だから「青みず」と呼ぶようです。春先の草花に癒され、あれらの苦味をありがたく賞味した時、私も春の新芽と同じように「これからスタート」という元気をもらいました。でも、もう季節は夏。昨日は夏至でしたね。春に芽吹いて成長の源を養ってきた力を今度は、秋の良い実りを画いて、それに相応しい身の丈を夏に準備するということだと思います。この繰り返しを何年も続けて今があるのですね。
 最近の畑の作物の育ち方には、目を見張るものがあります。一週間サイクルが三日サイクルに、そして、今では毎日様子を見に行かないではいられません。インゲンも昨日は笊一杯に収穫できました。こんなに毎日いんげんを山のように炒めて食べたのも初めてです。

  

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 さて、このみずちゃん。癖の無い柔らかでシャキシャキした食感の茎に、とびっきり美味しい出汁を染みこませていただきます。普段は追い鰹までのことはしま せんけど、何故か、というかこの青みずだからか私の中では格が上です。なのでちょっと贅沢に追い鰹でお浸しにしました。

材料

  • 青みず・・300g
  • 鰹出汁・・300cc
  • 醤油・・30cc
  • 味醂・・30cc
  • 花鰹・・一掴み

   ※お浸しの出汁の黄金比は10(出汁):1(醤油):1(味醂)としています。

作り方

  1. 鍋で出汁、醤油、味醂を沸騰させ、花鰹を加えて2分ほど煮立たせたら火を止めて冷ます。
  2. 鍋にたっぷりのお湯を沸かし、約1%の塩を加えてみずを加えて茹でる。
  3. 再沸騰してから30秒ほどで笊に上げ、水に放して熱が取れたら軽く絞る。
  4. 1の出汁に3のみずを浸して冷蔵庫で冷ます。
  5. 適当な大きさに切って出来上がり♪

 追い鰹って知っていますか。出汁に 醤油や味醂で一旦味を整えて出来上がった出汁をもう一度火にかけて、鰹節(花鰹)をもう一度入れて旨味を足す方法のことです。お醤油の味を控えめにして、 上品な出汁の旨味で演出します。鰹出汁は、昆布で水出汁を取って火にかけて、沸騰と同時に昆布を取り出し、入れ替わりに花鰹を加えて煮立ったら火を止めて そのまま冷まします。この出汁は、ほぼ切らすことなく作り置いて冷蔵庫に保存しています。それ程出汁にこだわりを持っているわけではないのですが、美味し いのは確かなので昔からこの方法です。口に含むと、山形の景色、秋の水玉のこと、美味しい出汁などの全てが一緒になってまったりと幸せな気分になります。

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2007-12-11

昆布と竹輪の煮物:出汁を取った後の昆布の使い道

 こんなんわざわざ書くほどの物でもないと思いつつですが、娘の世代だと案外考えないようなので。以前にも一番出汁を取った後の花鰹や、昆布でふりかけを作る事に触れました(レシピ参照☛)。これも応用です。

 昆布で水出汁を取ったり鍋物の始めに取り出した昆布は、適当に旨味が抜けて、そのぬめりが取れて炒め物や煮物に丁度いい感じになります。お弁当のおかずや朝食にちょっと有るといいおかずになります。昆布を千切りにして、人参と竹輪を一緒に含め煮にします。材料に火が通ってからすき焼の割り下で味付けするだけです。竹輪以外では、さつま揚げ蒲鉾などでもいいと思います。f:id:godmother:20071211032857j:image:w450:right

 自然の昆布や鰹節ならではの味わいは、昔から日本食の元になっていると思います。惜しみなく出汁を取ったあと、残り物でもう一品美味しいおかずが出来上がると嬉しいです。

材料

  • 出汁昆布・・10cm
  • 人参・・3cm
  • 竹輪・・1本
  • 水・酒・・各大さじ2
  • すき焼の割り下☛・・大さじ1~2

作り方

  1. 出汁を取った後の昆布を千切りにし、同様に人参も千切り、竹輪は縦に3等分し寝かせて短冊に切る。
  2. 鍋に移して、水と酒で火を通し、すき焼の割り下を大さじ1加えに含める。
  3. 味見をしてすき焼の割り下で加減し、煮汁がなくなるまで煮含めて出来上がり♪

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2007-10-06

鯛のお造りのあとに「ざっぱずる」(あら汁)

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 んめそうだべぇー。大雑把にざっぱざっぱと放り込むから「ざっぱずる」ってゃよぶんだどぉー。鯛のお造りのあとに、かまと骨を外して沸かしたお湯で10分ゆらゆらと出汁を取って、豆腐と薬味を加えただけですが、名前の通り、具は何でもOK。魚が新しいと生臭みを殆ど感じませんが、気になるときは酒を加えて臭みを取ります。身も柔らかく体が温まる絶品です。魚(硬骨魚類)を食べた後に必ず見つかるのが、「鯛の鯛」という、縁起のよい骨で、真鯛の骨が一番魚の形に似ていています。幼い頃、この骨が見つかると大喜びして大事にしまっておいたものです。

f:id:godmother:20071006054517j:image:w250:right 20071006054620_2

 秋田国体バスケットの最終日を、優勝で飾った息子達の栄誉を祝って、魚屋の親が下ろしてくれた鯛や平目のお造りを肴に祝杯をかわしたあと、持ち帰ったあらで作りました。密かに、こっそりと昨夜は、二度目のお祝いでした。

材料20071006063659

  • 鯛のあら・・1尾分
  • 水・・1ℓ
  • 酒・・カップ1/2
  • 味醂・・大さじ4
  • 味噌・・大さじ4
  • 芋茎(ずいき)・・適宜
  • 豆腐・・1/2丁
  • 細葱・紫蘇・茗荷・・適宜

作り方

  1. 頭からかまの部分を外し、中央の骨の部分はぶつ切りにし、鱗を取って血を洗い流す。
  2. ずいきの下処理をする(参照
  3. 鍋にお湯を沸かし、沸騰したら酒を加えてあらを並べ、再沸騰したらあらがゆらゆらする程度の最少の火加減で10分出汁を取る。
  4. ずいきと豆腐を加え、煮立ったら味醂と味噌、薬味を加えて出来上がり♪

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2007-07-09

麺つゆの黄金比:かけうどん、蕎麦用

麺つゆの黄金比

鰹出汁:すき焼きの割り下昆布醤油

6:1:1(大さじで6杯:1杯:1杯だと120ccできますね)

麺の水分を加味して少し濃い目です。


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2007-05-16

麺類のつけ汁

つけ汁ですが、自分の作り置き調味料だけで簡単に出来ました。このレシピは大変楽チンで味が一定しますので、お試しくださいね

f:id:godmother:20070517042105j:image:left

材料(2~3人分)


すき焼の割り下・・50cc


昆布醤油・・大さじ2


一番だし・・80cc


(出来上がりは160cc)


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