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2010年5月24日 (月)

■コマ大数学科180講:スネルの法則

「のび太のくせに生意気だぞ~」というのは、スネオの法則(by戸部アナ)。今回の「スネルの法則」は、光の屈折に関する法則ということなのだが…「たけしのコマ大数学科」

問題:1辺が10mの正方形のプールの1つの角に監視員がいます。この監視員が水中を秒速1m、プールサイドを秒速2mで移動する場合、この監視員がプールのどこへでも到達しうるには最短で何秒必要でしょうか。
※2006年度 東京工業大学 数学1教科によるAO(Admissions Office)型入試問題(一芸入試問題)。

【遊び方】黄色い丸が溺れている人(到達点)。監視員がプールサイドを移動するには、時計回り(オレンジ)と反時計回り(グリーン)とした。初めに黄色い丸(到達点)の位置をドラッグ&ドロップして決める。次にオレンジと、グリーンの矢印を動かし、プールに飛び込む位置を決めてほしい。「Start」ボタンを押すと、到達点までの時間を計測する。

問題文の「プールのどこへでも」とゆーのは、監視員が目標に到達するのに、どのような方法をとっても、いちばん時間がかかる場所を探せってことね。そして、そこに最短時間で到達する「どのような方法」も考えなければならない><;

「行こう行こう湯の国へ♪」とコマ大数学研究会がやってきたのは、「スパリゾートハワイアンズ」。完全タイアップにより、実際のプールを使っての検証となった。

移動距離を測るため、プールサイドを移動するときは監視員に赤のロープ、水中は緑のロープを結ぶ。監視員役(プールサイド)は「アタル」、監視員役(水中)は体力のある「お宮」、溺れる人役は「北郷」で「ダンカン」の指示のもと検証開始。ロープの長さで到達時間を出す。たとえば、赤のロープが4mなら2秒(陸上:2m/秒)。緑のロープが6mなら6秒(水中:1m/秒)というわけね。

コマ大生の解答

図(1)

※註:図の数値は爺が書き入れた。目標地点(D)は対角線の(3/4)のところ。つまり、ACは7.5mになるが、プールサイドをACの半分まで行ったところ(B)でプールに飛び込む。

図(2)

コマ大生の答えは「10.6秒」だったが、爺が「Maxima」を使って検算したら、10.26秒だった^^; ついでに、図からθの角度を求めると……。

図(3)

マス北野&ポヌさんの解答

図(4)

マス北野は、最初の段階で対角線上の位置(x=y=7.8)と、いい値を出していたが、水に飛び込む角度や、プールサイドを回って行く方法などを考えているうちに、わけがわからなくなったようだ。結局、ポヌさんが計算で出したという「11.03秒」を答えにした。(※爺註:計算方法は不明)

衛藤樹さん&伊藤理恵さんの解答

図(5)

「スネルの法則」は、光の屈折に関する法則。衛藤さんの解説によると、「sin(入射角)=速度の逆数で一定」。ということで、「スネルの法則」を使うと、入射角(θ)は、30°と求まる。「光は最短距離を進む」ので、この問題に当てはめると、目標点に到達する最短時間になる。

図(6)

監視員のいる位置からプールの対角へ移動する際の距離(時間)だが、対角線上AC(水中)を移動するよりも、B地点までプールサイドを進み、そこからCまで水中を進むほうが速い。もちろん、この場合は、C地点まで行くのにプールサイドを走って行けば、10秒しかかからないので、問題の解ではない。

図(7)

対角線AC上の点Pを考えたとき、A→B→P(解1)と行く方法と、A→D→E→P(解2)と行く、2通りの解がある。PがAからCまで移動するとき、(解1)は増加関数であり、(解2)は減少関数になる。いちばん時間がかかる点Pは、ふたつの関数の交点を求めればよい。

考え方としては、東大生の解法はカンペキなのだが、出てきた答えは、(5/6)*(2√3+3√6)。衛藤さんも「どこかで計算間違いしていると思います」と言っていた。

図(8)

約9.01秒なのだが、プールの対角までプールサイドを移動しても10秒かかるのだから、もっとも時間がかかる位置が10秒以下になることは考えられない。

正解は「5(3+2√3)/3」秒。約10.77秒。というわけで、全員不正解。

竹内薫センセの「美しき数学の時間」

問題の対称性から、いちばん時間がかかる場所は対角線上にあることは、すぐにわかる(プールを対角線で2つの領域に分けたとき、溺れている人がそのどちらの領域にいるかで、最適な経路をとる限り、プールサイドを右回り、左回りのどちらか一方が速くなる。すなわち、もっとも時間がかかる場所ではない)。

「スネルの法則」を用いると、最短経路を発見できる。なぜなら、光は最短距離を進むからだ(最小原理)。これが、今回の問題のポイントみたいだ。

図(9)

竹内センセの図とは、向きが違うけれど、基本的には同じこと。

図(10)

対角線上の点Pに行く方法は、経路(1)と経路(2)がある。Pの座標を(X,X)とおいているのは、対角線は(Y=X)なので、計算をしやすくするため。

図(11)

図(12)

監視員のいる場所を原点(0,0)とすると、経路(1)は、Xが増えるに従って増加していき、逆に経路(2)は、減少していく(最小は点Pが対角にあるときで10秒となる)。もっとも時間のかかる場所は、経路(1)と経路(2)のグラフの交点。つまり、t1=t2になる位置。

図(13)

(t1=t2)になるXは、約7.89mのところ。このXを式(t1)に代入すれば、かかる時間が計算できる。答えは「約10.77秒」。今回は全員不正解だったのだが、コマ大フィールズ賞は、タイムが一番近かったのと、図の角度がいい線いっていたとの理由で、「コマ大生」が受賞した^^;

ガスコン爺のどーでもいい話

爺は、「ある公式を知っていれば解ける問題」というのが、あまり好きではない。それは、この問題には、この公式とゆーふうに、訓練された条件反射というか、たぶん入試にはいちばん役立つことなのだろうけれど、「なぜ、そーなるのか」まで知りたいと思う。

 でも、今回の東工大の問題は、一芸入試ならではの感がある。試験時間は、4問で5時間ということだから、1問あたり、1時間強の時間を割くことができる。今回のコマ大の演題は「スネルの法則」とゆーことで、この法則を使って解くのだな……と推測できるけれど、問題文には、もちろん、そんなことは書いてない。どのようなアプローチで解決するかを考える問題だ。

たとえば、「ラグランジュの未定乗数法」を使っても、同じ結論を導くことは可能のようだ。

マス北野は「スネルの法則を知っていれば、2秒で解けた」と言っていたが、「スネルの法則」は、「コマ大数学科114講:物理学パート2」で解説されていたんだよね(爺も覚えちゃいないけれど;;)。

※たけしのコマ大数学科の「過去問題」はこちらから。
コマ大数学科:2009年度全講義リスト
コマ大数学科:2008年度全講義リスト
コマネチ大学数学科:2007年度全講義リスト
コマネチ大学数学科:2006年度全講義リスト

コマ大数学科DVD-BOXガイド


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コメント

衛藤樹さん&伊藤理恵さんのスネルの法則の部分の図形の角度ってあってます?
対角線が5√5の30°の直角三角形だとすると、1:2;√3の辺の比が崩れる気が。。。
辺の長さが、5、10、5√5の直角三角形ではないのかな?

緑が長さで、オレンジが時間だと思って考えてるのがおかしいのかなぁ。

投稿: あとろぐ(・ω・) | 2013年1月14日 (月) 10時41分

あとろぐ(・ω・)さま、間違いの指摘ありがとうございます。

該当する図版箇所「5/2 → 5」へ修正しました。

投稿: Gascon | 2013年1月16日 (水) 15時34分

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