■コマ大数学科197講:対称点
「そう、そう、私が通った立教大学の、池袋にある、超人気、行列のラーメン店……それって、大勝軒じゃん!」戸部ちゃん、ノリツッコミの腕を上げたな^^;「たけしのコマ大数学科」
問題:図のように互いに接する半径1mの2つの円AとBがある。円Aの上に点P、円Bの上に点Qがあり、点Qに関する点Pの対称点を点Rとする。
点Pと点Qがそれぞれ自由に円周上を動くとき、点Rの通過する領域を求めよ。
今回はダイナミックな動きを実感してもらうため、やや大きめのFlashを作成した。上の図をクリックすると、別ウィンドウが開くはず。点Pと点Qの動く速さを、それぞれ「-10~10」まで設定できる。数値を「+」にすると、時計回り、「-」にすると、反時計回り、「0」にすると、動かない。いろいろな設定のとき、点Rが描く軌跡を確認してほしい。
コマ大数学研究会は、親子で挑戦。無法松ジュニアの塩坂一斗(いっと)くんと、ガンビーノ小林ジュニアの小林壮侍(そうじ)くんが参加。地上に描かれた円Aと円Bの円周上を竹馬に乗って動く。点Pが一斗くん、点Qが壮侍くん。点Qに関する点Pの対称点、点Rは、PQ間の距離を大人たちがメジャーで測り、2倍する。
ところが、ふたりとも、竹馬に乗れず、竹馬に乗る特訓をするところから始まる^^; 1時間ほどの特訓でなんとか竹馬に乗れるようになり、大人たちは点Rにコーン(道路工事などで見かける赤い円錐)を置いていく……。
●コマ大数学研究会の答え:21.616m^2
マス北野は、いつものように、正確な図を描くことから始める。点Pを固定し、点Qを動かしたとき、点Rの位置をプロットしていく方法でおおまかな全体図をイメージしたようだ。
マス北野によると、大きな円の面積は9πで、そのうち、点Rが通過しない領域(図のグレーの部分)があるという。この領域の半径を(1/2)としたとき、面積は(1/4π)になるので、9πから(1/4π)を引き……。
●マス北野&ポヌさんの答え:(35/4)π
小橋みささん&岡本麻希さんの東大生チームは、点Pと点Qの座標を方程式で表し、ゴリゴリ計算したが、それでは、埒があかないということで、点Qを固定して考えた。点Qを0度として、点Pを動かすと、半径1mの円ができる。
今度は、点Pを固定し、点Qを動かすと、図のような形になると考えた。
●小橋みささん&岡本麻希さんの答え:9π
えええ~っ、という感じ。図では、せっかく、半径1mの円の中心が、半径2mの円の円周上を動くというところまで、詰めていたのに……。
正解は「8π」
マス北野の「通過しない領域がある」という直感は見事だが、通過しない領域の場所や範囲については、誤りだった。東大生チームは、半径3mの円の領域の中に、半径1mの通過しない領域があることを見逃してしまった。正解は、このようなドーナツ形になる。
今回は、全チーム不正解だったが、中村センセの温情により、コマ大フィールズ賞は、コマ大数学研究会(とゆーか、一斗くんと、壮侍くん)が獲得した。
●中村亨センセの「美しき数学の時間」
ステップ1:点Qを固定して、点Pを円Aの円周上を動かすと、点Rはどのように動くか?
円Aの中心をA、Qに関してAと対称な点をO’とすると、
PQ=QR、AQ=QO'(対称性)
∠PQA=∠RQO'より、△PQA≡△RQO'なので
O'R=PA、∠QAP=∠QO'R
PがA上を動くとき、Rの軌跡はO’を中心とする半径1の円
ステップ2:Qを動かすとき、O’はどのように動くか?
円Bの中心をB、Bに関してAと対称な点をO、Oを中心とする半径2の円をCとすると、O’は円C上を動く。
AB=BO、AQ=QO'より
AB:AO=AQ:AO'=1:2
∠Aは共通なので、△ABQ∽△AOO'(相似比1:2)
∴OO'=2BQ、∠ABQ=∠AOO'
よって、RはOを中心とする半径3の円と、半径1の円間の円環領域を動くので
面積=π(3r)^2-πr^2=8πr^2
r=1なので、答えは8π
中村センセのちょっといい話
・上のような図形を「点対称図形」。
・Qを「対称点」、「対称の中心」という。
・対称点を使って対称な図形を描く操作を「点対称操作」という。
・平面上では、対称点を中心とする180度回転と同じ。
将棋の開始時の駒の配置は、飛車と角行が向かい合う形なので、線対称にはならず、盤面の中心(5五)における点対称になっている。有限の図形では、対称点はあってもひとつだけ。
ところが、無限の図形だと、対称点が無限個あることがある……というお話だった。
たけしのコマ大数学科 第8期 DVD-BOX 2010年9月15日発売 ディスク枚数: 2 販売元: ポニーキャニオン |
※たけしのコマ大数学科の「過去問題」はこちらから。
■コマ大数学科:2009年度全講義リスト
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