神さまのいない日曜日Ⅶ
このドアはひょっとして ひょっとしたらひょっとして
何の喩えでも象徴でもメッセージでも無くて
開いたって昨日と同じ 生活が待っていたりして
「Door」/Mr.children
神さまのいない日曜日VII (富士見ファンタジア文庫)
(2012/04/20)
入江 君人
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内容(「BOOK」データベースより)
アイやディーたちの活躍により封印都市は復活を果たす。けれど、アリスの断罪に失敗した魔女旅団―マダムは暴走、鉄虫に襲われた封印都市は、戦火に包まれる。アリスは、封印都市を救う為、“我が侭”になったマダムに対抗する為に、その力を解放する。「―俺が止める」その異能で。すべてを燃やし尽くす。一方、アリスと共に戦うと決めたアイは、一度は手放した墓守のショベルを、再びその手にとる。大切なものを、誰かを。もう一度、守りたいから。「アリスさん―私と一緒に、生きてください」世界の終わりを守る少女と少年の、果てない夢の行方は!?―。
というわけで、神さまのいない日曜日Ⅶを読了しました。
このシリーズは、僕が新刊が出るたびに買っている数少ないライトノベルで(それ以外は完結済みだったりするものを良く買います)、とても大好きで応援している作品です。
さて、この巻、というより作品は『夢』というものを扱った作品だと思います。
舞台は人が死ななくなった世界。人は死んでも死者として存在し続け、墓守という存在がそれを埋めることでしか命が終わらない。
本作の主人公、墓守のアイ・アスティンには「世界を救う」という夢があります。
まず、これまでの既刊の内容では、その「世界を救う」の『世界』ってどこなのさ、ということを扱ったりしていました。『救う』とはどういうことなのか、ということも。
そして今巻では更に踏み込んで、「そもそも、それは本当に夢なのか?」ということを問い質していきます。
君には夢があるか。
その夢を叶えるために何をしているか。
その夢を叶えるためだけの自分になっていないか。
その夢が叶ったら、君はどうなるのか。
夢だったものがいつか足枷になり、それを叶えるためだけに何かを我慢し、どっちが先でどっちが後かぐちゃぐちゃになり、それでも時は過ぎていく。焦る気持ちと裏腹に怠惰な毎日が過ぎて、自己嫌悪は止まらない、気持ちを入れ替えたはずなのに、一歩も前に進まずまた昨日と同じ一日。
記事の冒頭で、Mr.Childrenの『Door』という曲の歌詞を引用しました。
自分が今追い求めているもの・夢・目標。それは本当に、今の自分が心から求めているものなのか?惰性で追い続けている夢は、呪いのようなものではないか。誰もに通じる、強烈なテーマだと思います。
アイは、そんな夢多き等身大の主人公。そんな彼女も、この巻で一つの答えを導き出します。
そしてそこから話は大きく展開し、今巻でひとまず大きな流れが終わります。
恋・夢・自我、アイは色んな問題にぶつかって、でもそれを泥臭くも乗り越えていく。
思春期のあなたに、思春期を終えたあなたに、これから思春期のあなたに。たくさんの人にオススメの作品です。
テーマもさることながら、多彩な比喩によって織り成される情景描写も見もの。これは序盤の巻から健在でした。僕がこの作品を支持するのもこの情景描写に魅入られてしまったからだったりします。
まるで自由詩。まぁ実際改行多いしね。笑
人が死なない世界、その喜劇なのか悲劇なのかわからない不思議な世界観をうまく作り上げていると思います。
挿絵もかわいいので萌え萌え出来ると思います。ディーかわいいよディー。
猫の地球儀 焔の章
猫の地球儀 焔の章 (電撃文庫) (2000/01) 秋山 瑞人 商品詳細を見る |
内容(「BOOK」データベースより)
スカイウォーカーであると言うだけで宣教部隊に殺される時代。三十六番目のスカイウォーカー朧が残したロボットと彼の人生のすべてが詰まったビンを拾ったのは、朧の予言通り、三十七番目のスカイウォーカー幽でその幽は一匹のちっぽけな黒猫だった―。史上最強の斑は過去四年に渡りスパイラルダイバーの頂点に君臨し続け、斑に挑戦することはすなわち、死であると言われたその斑に勝利したのは二千五百三十三番のスパイラルダイバー焔でその焔は一匹の痩せた白猫だった―。そんな幽と焔が出会ったとき、物語は始まる…。SFファンタジー。
ガリレオ・ガリレイVSピーター・アーツの第一ラウンド。
天才と時代と禁忌と。
謎の彼女X 6話
今週は第6話でした。個人的に素晴らしい回だったと思います。
初回からキワモノ色が前面に出ていたこの作品ですが、どうやら純愛モノのようです。いやぁ、実にピュアというか、見てるこっちが恥ずかしいというか、じれったいというか。
今回、椿の昔の片思いの相手である早川さんが登場しました。
仲良さげに話す椿と早川に嫉妬する卜部……。いや、嫉妬ではなく、悲しむ卜部。
そして、その複雑な乙女心を、決して口で説明するのではなく、涎によるシンクロで椿に届ける。そして、卜部の感情を受け取った椿は無意識のうちに涙を流す。
ここが胸を打たれたというか素直に感動しました。涎というアイテムを、まさかこんな感動的なシーンで組み込んでくるとは。このシーンは音楽も演出も凄く良かったです。
感情というのは、口に出すとチープになってしまうこともあります。
言葉ではどうしても伝え切れない感情がある。だから、人は音楽や絵画などの『芸術』に昇華してそれを表現するという面を持っていますが、それでもその全てを完全に伝えることは出来ない。それは言い換えると、人は完璧に自分を表現する術を持たない、すなわち完璧には分かり合えない、ということでもあって。
でも、この二人は分かり合える。涎を通して、喜びも悲しみも憎しみも、擦り傷も淫夢だって共有できる。
言葉も芸術も要らない。涎が絆となって、理屈を越えて二人を結びつける。こんな純愛ストーリーがあったでしょうか。いやはや、素晴らしい作品だと思います。
しかし、この涎は、言ってしまえば反則技でもあります。舐めるだけで感情が分かる。分かり合える。うん、ずるい。
お互いをもっと深く好き合えば、あるいは言葉や芸術を越えて分かり合うことが出来るのかもしれません。深い愛情、例えば家族同士など、それくらい深い愛情が生まれればね。あ・うんの呼吸というか、理想の彼氏彼女というのは、こうして全てを共有できるパートナー同士であるべきなのかも。
原作がどこまで行っているのかわからないのですが、『涎による意思疎通』から『言葉・芸術を越えた愛情による意思疎通』へとステップアップしていく、というのがこの作品のテーマになるんじゃないかなぁと思います。ならないかもしれないなぁと思います。わからないなぁと思います。外れたら恥ずかしいので予防線を張っておこうかなぁと思います。
今回で謎彼熱が更に上がった気がします。次回も楽しみです!
謎の彼女X 5話
今回は水着回でした。そして初デート。
涎を舐めあってるのに、恋人としてはやっと第一ステップ、というのが何だか面白いですね。
だってこれ汗舐めちゃってるし……。
初デート前にやることじゃないでしょそれ!なんだこのカップル!
くっきりと浮き出るハサミ跡。いやぁ、エロいですね。
ここで重要なのは、
①ハサミを装着したまま熱いビーチに居たら鉄の部分が熱を吸収して高熱になり、火傷をしてしまうのはないか?
②ハサミを装着したまま泳いだらハサミが錆びてしまうのではないか?
という二点です。ごめん、全然重要じゃなかった。
初デートを終えて、椿の求めていた「恋人らしいこと」がやっと出来たわけですが、まだ第一歩。
進んでるのか、全然進んでるのかよくわからない不思議な関係ですが、暖かく見守っていきたいですね。
謎の彼女X 4話
感想が遅れました。今度からは見たらすぐ書けるようにしたい・・・。
前回の次回予告であまり嬉しくないサービスショットを披露してくれた丘さんでしたが、実はなかなかかわいかった!
一つの作画で判断してはいけないということですね。
まぁ妄想卜部さんが一番かわいい。
あーん……
なんだか失速してきた感じがするというか、涎のインパクトが薄れてきて初回ほどのワクワク感が無くなってきてしまいました。涎舐めさせてるのが普通に感じるようになってきた時点でこっちがおかしいのかもしれないけど……。典型的な間延びというやつですかね。
今回の話で、涎が精神状態だけでなく身体にまで影響を及ぼすということが明らかになってしまいました。なんじゃそりゃ……。精神状態がリンクするというのならまだ頷けたけど、ケガがコピーされるとなるといよいよ卜部さんは普通の人間じゃないということになってしまわないか……?明らかに一線を越えています。
しかし丘さんは普通に卜部と仲良くなろうとするし、椿も特に疑う様子もなく受け入れているような……。この作品の登場人物は一体どうなってるんだー!
まぁ次回は水着回だし細かいことは気にせずに楽しむことにしましょう。