猫の地球儀 焔の章
猫の地球儀 焔の章 (電撃文庫) (2000/01) 秋山 瑞人 商品詳細を見る |
内容(「BOOK」データベースより)
スカイウォーカーであると言うだけで宣教部隊に殺される時代。三十六番目のスカイウォーカー朧が残したロボットと彼の人生のすべてが詰まったビンを拾ったのは、朧の予言通り、三十七番目のスカイウォーカー幽でその幽は一匹のちっぽけな黒猫だった―。史上最強の斑は過去四年に渡りスパイラルダイバーの頂点に君臨し続け、斑に挑戦することはすなわち、死であると言われたその斑に勝利したのは二千五百三十三番のスパイラルダイバー焔でその焔は一匹の痩せた白猫だった―。そんな幽と焔が出会ったとき、物語は始まる…。SFファンタジー。
ガリレオ・ガリレイVSピーター・アーツの第一ラウンド。
天才と時代と禁忌と。
この作品に人間は出てこない。ロボットと猫しか出てきません。
トルクという惑星?が舞台で、世界観が全て1から構築されている。その中でもやはり常識というものは存在していて、そしてその常識を覆さんとするような行動に踏み切ろうとする猫が、この物語の主役です。
ガリレオ・ガリレイが地動説を支持して、異端審問にかけられたという話は有名です。
その頃は天動説というのが常識で、ガリレオの意見は弾圧されてしまう訳ですが、現代ではガリレオが正しかったということが証明されています。
天才というのは人と違うことを思いつくから天才な訳で、つまりは天才の意見というのは圧倒的少数派ということになります。常識と相反する存在。それが天才の宿命と言ってもいい。
常識というのは足場であり、その足場があるからこそ人は安定していられるし、同じ価値観の下に円滑な交流が出来る。だから、その常識が脅かされると人は混乱するし、時代によってはそういうことが禁忌として弾圧されることすらあるわけです。
それでも、そんな時代でも真理を求めて行動する。そんな天才の物語。
猫が主役とあって、まったく人間とは異なる社会が描かれており、作者の想像力の豊かさが見て取れます。凝った舞台設定、人生観ならぬ猫生観など、根底の部分から念密に作りこまれた背景が、キャラクターたちの行動を説得力あるものにしていて素晴らしい。
戦闘シーンは緊張感があって、でもほっこり出来る部分もあって素敵な作品です。
今は続刊の『幽の章』を読み進め中。そちらも是非。
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