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施しや恩恵ではなくきちんとこの国の子どもとしての権利を意識したい理由

養護施設を出てからの問題
 
 権利を主張する前に義務を果たせと言われて育ち・・・

 社会的排除者という言葉をいつの頃からか知っていた。わたし達の施設ではいつも「権利を主張する前に義務を果たせ」と職員たちから言われていたので(Mariaの施設でもそうだった)このように考える事を疑わなかった。
 
 職員は誰に対してそんな事を言うのかというと、

 もちろん「子どもの権利」なんて言葉を用いるのは家庭から来た子達で、外の知識がある分、職員は言い負かされまいと必死な中での反撃の言葉だったのだ。

 わたしは、彼らのやりとりを第三者的にボーッと見ているに過ぎなかった。家庭から来た子が使う「権利がない、この施設は!」と怒っている様子に立ち入れなかった。
 


 わたしは、権利というものが何なのか、仰々しい感じは受けるものの、考えようとしても何の事なのか分からなかった。
 
 でも、わたしは常に恵まれない子どもの立場として施しを受ける生活の中で、直接的ではなくとも「本来なら受けられない様な待遇を受けている感覚」を持たされていたと思う。それは子どもとしての権利意識によるものではなく、社会的弱者としての恵まれない子ども達として生きる癖を、施設時代を通して身に付けていったのではないかと、思う。

 全国から送られてくる「慈善の品である衣類やおもちゃ」を仕分けしながら、なんとなく、慈善という言葉に慣れていて疑いもせず、施しを受ける態度が身に付いてしまっていたように思う。

 そして当然、そんな意識なので、一般の家庭の大人や子が語る「権利」の意味がわからなかった。

 わたしは改めて施しの感覚に慣れすぎていて、国の子どもの権利ではなく、ただ、恵まれない者への施しを受ける立場としてしか、意識できなかった。そしてこの感覚は、かなりの問題だとわたしは今、過去の自分を振り返り思う。

 子ども手当に思うこと

 子ども手当児童養護施設の子、里子には支給されない理由として、

 

支給対象が限定されているのは現行の児童手当を踏襲したため。施設には公費補助があるので、さらに手当を支給すれば「福祉サービスの重複」になるとの考えから取られた措置だ。


 との事である。

 しかし、どうだろう。約一億円掛けて育った自分は公的補助で生きてきたらしいが、施設を出た時点で、ほんの数万円で布団代を引かれて卒園。未来に繋がるスキルも与えれず、高卒と言っても「名前を書けば受かる高校」だったので、もちろん現場作業。それでも、施設の子が高校に行くのは「特別教育費」として落とされるらしい。ここでも「特別枠」なのだ。

 とはいえ今、もしこの子ども手当がきちんと機能すれば、親が不明な子(親のない子)が施設を出るまでの、きちんとした貯蓄になる。でもその子ども手当を誰が管理するかという問題もある。

 わたしは、その子ども手当を国からの特別な恩恵という捉え方ではなく、この国を支える将来の子どもとしての当然の権利としての子ども手当と考えている。なので親が居ない(不明など)なら、未成年後見人を立てる必要があると思っているし。子どもが育つまで、子ども手当を管理する大人が必要だと思っている。

 その、当然の国民としての権利を受けて初めて、子どもは将来この国で義務を果たす大人に成長出来ると思う。

 だから職員が昔言っていた、言葉は間違っている。

 「権利を主張する前に義務を果たせ」とは、むしろ子どもにきちんとした教育を与えられない職員へお返ししたい。

 親が居ないために、孤児はいませんと言われている現実とは、このように、言葉を変えられ、権利ではなく施し的な別枠に置かれる事だと思う。

 本気で、この国を支える将来の大人を育てるつもりがあるなら、言葉の定義とかをきちんとしてほしい。

 施設の子は施しを当たり前と思って生きるのではなく、国の子どもとしての権利を与えられた上で、ようやく、義務を果たすかどうかという話になるのだと考えている。

 この国を大事にしたいし、何かしたいし、そういう気持ちをごく普通に与えられてこその帰属意識だと思う。そこには社会的排除という言葉は、生じないと思う。

|  養護施設を出てからの問題 | 15時53分 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

うちの子が出て行ってから児相に電話で「本人が契約などできないのに後見人は付けないのですか」と尋ねたら「つけないことになっている」と言われた。それでは かなわんので、児相へ直接行ったらケースワーカーさんは申し訳無さそうに「実の親が本人の代理として契約することになっている」と言われた。
子を捨てて15年後に実の親が子の代理に何かするとは思えないと、児相も分かっていて、児相も何もできない。子どもだと思って ふざけた話しです。
児童養護施設からは毎年数人の子どもが卒園して行く。施設の理事(会社で言う取締役)は それを見て 何の感情も湧かないのだろう。毎年のことだから。
理事たちが寄付を出し合って作った基金から 準備金を支給し 有難く思えと言われても 後見人なしでは 困るのだ。

| jtwいたち猫 | 2010/02/08 08:26 | URL |

確かに

 オハヨウございます、Jtwさん。

えぇ~と、実の親が死んだ後の相続を大抵の里子も施設にいる子も 心配してないと思うので 

 ですね、ホントに・・・。

 今回、この話をしたのは「子ども手当の管理」の側面を意識して書いたのですが、ちょっとわかりづらくなりましたね、すみません。

 未成年後見人を依頼する自体になる場合、今までは報酬の問題が発生するので、遺産・財産を持っている子だけの話だったという事だそうです。

 その場合法律が関わる事なので弁護士だけでなく未成年後見人などへの報酬も当人が相続した財産の中から捻出出来るという意味でした。

 まあ施設で育った子はもちろん、里子でも、その様な話は希少な事だと思いますので心配しなくて確かに大丈夫。

 実親の死以前に 15歳くらいで里親のもとを離れる時が心配です。預金もできない、アパートを借りる契約もできないという難儀がふりかかります。

 わたしは高卒だったので、その期間が実質的には短かったのですがアパートの保証人問題は二十歳を過ぎても続きました。わたしは保証人がいない、親がいない、履歴書提出、次の職を決めるタメには、前の職場の人づてなど、ずいぶん駆使したけど、決まらない事の方が多かったです。

 わたしも今なら考えられない突破の仕方をしていましたが彼氏が固定されてからは、うその様に物事が決まっていきました。親だけでなく、彼氏もひとりにしないと面倒になるという事を知りました。

 だから未成年後見人を依頼する予算が児相にないと言うのは殺生なことです。ドイツでは里子に後見人が付けられているようです。

 そうなんですか、ドイツはやっぱり進んでますね(というか、ごく基本だろっていうか、里子委託が当たり前だったっけとか、複雑な心境ですが)jtwさんはドイツ語でそれを読んでいるので、なお迫ってくるものがあるでしょう。

 社会的養護下にあった子がいきなりそれを外され、単身で社会へ捨てられ、たった15でごく日常生活もままならなくなるのは間違っているし、それを自立とは言いませんね。

 未成年後見人の話は、里親制度と又、同時にその概念を以て議論されてほしいですね。まずは集会がありますので、詰めの状態だと思いますので、後で記事にすると思います。

 jtwさんの本質的なコメント、すごくタメになります。いつも本当にありがとう。制度がしっかりしていれば、二人の里子さんを助ける事ができたのに・・・と思います。悔しいでしょうね、ほんとに。
 

| Lei | 2010/02/08 04:16 | URL | ≫ EDIT

**児童養護施設に入所中の児童にこういった前例がないのはもっともな事だと聞いています。なぜなら、殆どの児童に財産が無く、財産や遺産を受け取る為の法的な問題が起きないからです**

えぇ~と、実の親が死んだ後の相続を大抵の里子も施設にいる子も 心配してないと思うので 実親の死以前に 15歳くらいで里親のもとを離れる時が心配です。預金もできない、アパートを借りる契約もできないという難儀がふりかかります。だから未成年後見人を依頼する予算が児相にないと言うのは殺生なことです。ドイツでは里子に後見人が付けられているようです。

| jtwいたち猫 | 2010/02/07 20:42 | URL |

個人的な意見ですが

 jtwさん、おはようございます。

未成年後見人が何故 つかないのか児相に訊きに行ったら「そういう例はない」とのことでした。金を用意していないと言うことのようでした。

 児童養護施設に入所中の児童にこういった前例がないのはもっともな事だと聞いています。なぜなら、殆どの児童に財産が無く、財産や遺産を受け取る為の法的な問題が起きないからです。
 
 もし財産を受け取る事になれば弁護士がつき、その費用もその中から賄われるのだと思います。
  
 しかし、無一文の児童に子ども手当の問題が起きれば、国選弁護人があるように、国選の未成年後見人があっても良いのではないかと思っています。

 ちゃんとしたソースを貼ってないないので、あくまで私見ですが、こういう問題を多角的に見なくてはいけないと、最近思います。すべての問題がいろいろな法的な事に繋がっているんですね・・・。

 
 

| Lei | 2010/02/07 10:14 | URL | ≫ EDIT

++親が居ない(不明など)なら、未成年後見人を立てる必要があると思っているし。子どもが育つまで、子ども手当を管理する大人が必要だと思っている++

そうです。うちに居た子二人とも高校中退で、うちから離れました。未成年なので契約もできない、未成年後見人が何故 つかないのか児相に訊きに行ったら「そういう例はない」とのことでした。金を用意していないと言うことのようでした。
二人とも実の親は生きていますが、何もしません。

| jtwいたち猫 | 2010/02/07 08:57 | URL |














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