言語ゲーム

とあるエンジニアが嘘ばかり書く日記

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学歴と職について

http://d.hatena.ne.jp/ohnosakiko/20090124/1232795786 を読んでふと思った事。最近せっかく大学院へ行ってもろくな仕事に就けない!という話をよく耳にします。企業の採用戦略自体は市場原理の結果なので仕方ないです。でももうちょっと学生さんもポジティブに考えられないだろうかと思います。

不本意にも修士や博士に進学出来ず、就職せざるを得なかった人はどこか心の底で引け目を感じていると思います。一方で、進学してしまったばかりに就職が遅れ、結局専門を行かせなかった人は半分騙されたとの思いでしょう。

自分の事しか知らないので、自分と美大の事を書きます。私が院を出る頃にうちの大学にも新しく博士過程が生まれ、正直心が惹かれました。もしどうにかして続けていたら、人生変わっていたかも知れないと今でも思う時があります。とはいえ当時は経済的負担を考えると全く非現実な話だったので、進学は全く選択肢にありませんでした。

それから職を探すわけですが、世の中に美大彫刻科の院卒に最適な専門職というのがそう簡単に転がっているわけでもなく、せめてデザイン系の職を探すも全滅で、流れ着いたのはウェブデザインの時給1000円のバイト(すげー高!とその時は思った)。その面接の時に、プログラムを組めるなら雇っても良いと言われました。

これって当時はかなーり深刻な問題でした。そりゃプログラムも面白そうだけど、汗水流してやっと学費を稼ぎ、苦労して得た六年間が全く自分に意味が無かった事を認めてしまう事になるからです。とはいえ、迷いは全くありませんでした。貧乏が便利なのは選択肢が無い事です。選択肢の無い所では迷いようがありません。

そこが私のコンピュータ業界への入り口でした。入って分かった事は、ここでは学歴という物が全く問題視されないという事です。美大卒という怪しい経歴にも関わらず、すぐに給料は倍に増えましたし、大学の話が会話に登る事すらありません。やっぱり若い業界って素晴らしい。

しかしふと思うのは、もしもここが学歴に重きを置くような業界だったら、私のような者には活躍の場は無かっただろうなと言う事です。皮肉にも、美大の大学院が役に立たなかった事を恨んだ私が、コンピュータサイエンスの学歴が役に立たない事に救われたのです。

それから十年。面白い事に自分の仕事内容が年々アート寄りになって来ている事に気づかされます。経験を積むと自分の裁量が広がるので段々地が出てくるのです。そうなると次第に、自分の学生時代は無駄だった!と後悔する事が減ってきました。

進学出来ない人は悔やむ必要ないです。進学出来るかどうかは経済的な問題で、あなたの能力の問題では無いという事を社会は分かっています。

学歴があるのに専門職に就けなかった人は悔やむ必要ないです。どんな業界でも経験を積むと段々好きな事が出来るようになるので、いずれあなたの知識は役に立ちます。