2019年、東京・竹芝にコンテンツ産業の一大集積地を開設する計画が進んでいる。6月に発足した準備会には、テレビ・出版・映画・音楽・ゲーム・ネットなど大手を中心に約50社、150人が集まった。
場所はJR浜松町駅から徒歩5分という好立地。東京湾に面しており、海上の利用も検討していく。東京五輪開催に間に合わせ、日本のコンテンツ産業の存在感を世界に向けアピールしたい考えだ。
計画を進めるのは慶応義塾大学。東京都が保有する約1.5haの土地を賃借し、東急不動産などが建設する地上26階地下2階の複合ビルの下層部分を、集積地として利用する。
「コミケ」や子供向け展示も想定
合計約8000平米のフロアにコンテンツ関連企業やベンチャーなどが入居できるオフィスのほか、イベント会場やスタジオなどのスペースも設置。コンテンツ産業を中心とする情報発信・研究開発・人材育成といった機能に加え、「コミケ」などのイベントや、子供の創造力を養うような企画展示といった用途も想定している。
とは言え、コンセプトが決まっている程度で、詳細な設計や運営方法はこれからだ。事業主体の発足もまだで、その前段階の議論の場として今年6月、「CiP(コンテンツ・イノベーション・プログラム)準備会」が発足した。
「ハイエンドな研究開発、コミケのようなイベント、子供のデジタル教育が一体となったような夢のある施設を目指している。そういうのができるのは東京しかない。五輪に向けて、日本のコンテンツ産業の競争力をどう発揮できるのか。まずはオープンに議論したい」
東急不動産などから委託を受け、CiPの計画を進める慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科の中村伊知哉教授は、こう話す。
米スタンフォード大も参画予定
中村教授は広くコンテンツ業界に通じており、政府による「クール・ジャパン推進会議」では、「ポップカルチャー分科会」の議長も務めた。分科会は昨年4月、提言をまとめ、「みんなで」「つながって」「そだてる」が重要なキーワードだとした。
しかし、政府のクール・ジャパン戦略におけるコンテンツ産業やポップカルチャー支援の色は薄まっており、分科会の提言が政策に反映されているとも言い難い。今回の集積地計画は、民間の力で提言を実行に移したような内容となっている。
集積地には、慶大や国内企業のほか、海外の大学にも参画してもらう予定で、6月の準備会発足の会合には、米スタンフォード大学の関係者も参加した。
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