ハオ「先日の記者サン、ドウシテこんな所ニ・・・。」
ミョンファ「ワタシ、練習シタイ。時間が惜しイ。」
ネリー「帰りたイ。」
大家「なんだあいつら?態度が悪いなあ。」
はる「この子たちのせいでサトちゃんは悩んでいたのね。」
栗田「そう言わないで。このあいだは智葉ちゃんとメガンちゃんにしかご馳走できなかったから、今日はあなたたちにも美味しいものを食べてもらおうと思って呼んだのよ。」
ミョンファ「ノン、日本のゴハンは・・・」
三人、何かに気づく。
ハオ「イイニオイ。」
ネリー「コレハ・・・。」
山岡「さあ、熱いうちに食べてくれ。」
ハオ「雲呑麺?ワタシの故郷、香港名物の雲呑麺デス!」
ミョンファ「?!このスープは!コンソメ!」
ハオ「ホント。ラーメンの麺にコンソメが意外と合いマス!」※あるみたいです。
ミョンファ「とても、懐かしいデス。小さい頃、メメ(おばあちゃん)がいつも、食べさせてくれた。」
ハオ「ワタシも子供時代思い出しましタ。お金ナカッタ、ダカラ屋台ノ雲呑麺、家族みんなで分けあって食べテマシタ。 」
ミョンファ「?この雲呑、チョットチガウ・・・。」
ハオ「この雲呑、お肉入りネ!中カラ、たくさん肉汁が!トッテモジューシィ。好喫! 好喫!」※香港の雲呑麺はエビ入りであることが多いです。
ミョンファ「ハオの国の小龍包みたいネ。コンソメスープにとても合う! 」
ネリー「(ぐすんっ)ヒンカリ・・・。コレ、ワタシの大好きな、ヒンカリに似てる・・・。」
ミョンファ「ヒンカリ?」
ネリー「ワタシの国ノ食べ物。小麦粉の皮の中に、挽き肉で作った具を入れて茹でルモノ。ワタシの家族、ミンナ4年前に・・・。ダカラモウ、食べられナイと思ってタ・・・。」
※ヒンカリの皮はわりと分厚いのでラーメンには合わない気がします。たぶんここではラーメンに合うよう特別な工夫をしているのでしょう。知らんけど。
※ヒンカリの皮はわりと分厚いのでラーメンには合わない気がします。たぶんここではラーメンに合うよう特別な工夫をしているのでしょう。知らんけど。
山岡が促すと、奥から智葉とダヴァンが出てくる。
山岡「これ、実は智葉ちゃんとダヴァンが作った料理なんだ。」
ハオ「二人ガ?」
ミョンファ「ナンデ?」
ネリー「?」
智葉「私たちはみんな違う国の出身だ。育ってきた環境も、価値観も違う。だからお前たちは、ここで苦しんできた。だけど、私たちは同じ人間。どこかに共通点がある。それを知って欲しかった。ここはお前たちの故郷じゃないし、お前たちは少なくともこの一年は帰国できない決まりになってる。でも、心を閉ざして故郷をひたすら思うんじゃなくて、この国にもきっとお前たちの好きになれるものが転がってる。そして、お互いの中にも。それを探して欲しいって思ったんだ。」
ダヴァン「ワタシ、日本に来タ時寂しかッタ。でも、ガイトサンと会って、ラーメン食べて、チョットずつ日本のコト好きになっていッタ。だから、ミンナにもラーメンを知って、日本のこと、好きになっテ欲しかッタ。」
栗田「二人はこの一週間、部活が終わってからラーメン三銃士のところに通って、夜遅くまで一生懸命スープ、麺、具材の開発をしてきたのよ。」
山岡「あと、ラーメンを使ったのは、ダヴァンの好物だからというだけじゃなく、君たちのやっている麻雀とラーメンが似ていると思ったからさ。考えてもごらんよ、ラーメンも麻雀も、どちらも原型は中国にある。でもそれがいろんな国に伝わり、かたちを変えていった。ラーメンも麻雀も、いろんな国の文化を受け止め、柔軟に変化していく力があるものなんだ。それでいて、基本的なところは崩れていない。」
ハオ「文化を、受け止めル・・・。」
ミョンファ「変化・・・。」
ネリー「デモ、自分ノ国デ学んダ、大切なモノは、忘れなイ・・・。」
沈黙。
ダヴァン「(鼻声)サア!ドンドン食べて下サイ!ぬるくなっちゃいまスヨ!」
ハオ「ウン!」
ミョンファ「ツジガイトとダヴァンも座って。一緒に食べヨ?」
智葉「いや、しかし雲呑麺は三人分しか・・・。」
ハオ「器とお箸クダサイ!」
はる「はい。それぞれ二人分ね。」
ネリー「ダヴァン、スープ多めがイイ?麺多め?」
しばらく雲呑麺を分け合いつつ食べる。
大家「サトちゃんもメガちゃんも、もう大丈夫だな。」
栗田「よかったわね。」
山岡「さあ、育ち盛りの君たちはそれだけじゃ足らないだろう。ほかにもたくさんご馳走を用意したぞ!地区予選祝勝会と壮行会のやり直しだ、存分に食べてくれ!」
五人「わーい!」
決勝戦・先鋒戦
智葉「チャンピオン。今日はよろしくお願いします。」
照「こちらこそよろしく。万全のコンディションのあなたと戦えることを、心から嬉しく思ってる。」
東西新聞文化部(TVにて観戦中)
荒川「やったわ!」
三谷「チャンピオンの連続和了を、辻垣内さんが止めたわよ!」
部長「なかなかできることじゃないよ。しかも彼女は、東場で爆発的に稼ぐ清澄の片岡もしっかり抑えてる。」
山岡「その調子だ!」
栗田「頑張って、智葉ちゃん!」
インターハイ終了後
山岡「ん?今日はうちに大勢来てるみたいだが・・・?」
ダヴァン「オヒサシブリデス!」
チヨ「智葉ちゃんと、チームの子達が来てるのよ。」
智葉「おかげでインターハイではいい試合ができました。最後のインターハイ、優勝に手は届きませんでしたが悔いはありません。仲間たちと力いっぱい戦えたのですから。すべて山岡さんのおかげです」ぺっこりん
一同「アリガトゴザイマス!」
ネリー「山岡サン!イッショニウチマショウ!」
ハオ「麻雀楽しむネ!」
ミョンファ「ウィ。全自動卓持ってきましタ。どうぞコチラヘ!」
山岡「よし!大学の時に鍛えた腕前を見せてやろう!」
ネリー「ロン!(物理)」
ダヴァン「ツモ!」
ミョンファ「ロン!(物理)」
ハオ「ミョンファ!ツギ、ワタシ入るネ!」
智葉「じゃあネリーは私と交代だ。」
チヨ「さすがはインターハイ準優勝のチームね。士郎さん、まったく手も足も出ないわ。」
栗田「山岡さん、今夜は焼き鳥にしましょうか。」
士郎「おい!冗談じゃないぞ!」
一同笑う。
終わり。
終わり。
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