「在来工法」はなぜ生まれたか-5 の補足・・・・耐力壁(筋かい、面材)の挙動

2007-02-18 19:44:55 | 《在来工法》その呼称の謂れ

 木造建築には「筋かい」を入れる、というのが《常識》《習慣》になってしまってからというもの、「筋かい」を入れた軸組に横からの力が加わると、軸組にどんな変化が現われるか、原点に戻って考えることをしなくなってはいないだろうか。
 同様に、1981年および1990年に追加された「面材」による耐力壁を設けたときの軸組の挙動はどうなのか、「筋かい」と「面材」で、軸組の挙動に違いがあるのかないのか、同じ効力があると考えてよいのか・・、こういう点についても原点に立ち返って考えているようには思えない。第一、法令およびその解説自体、そういう点についての解説はまったくなされていないのである。

 2000年に出された告示第1460号「木造の継手及び仕口の構造方法を定める件」を詳細に見ると(これはホールダウン金物の使用規定と言ってもよいのだが)、「筋かい」の場合と「面材」の場合では、対処の仕方に大きな違いがあることが分かる。しかし、そこでは単に使用の規定だけで、なぜそうするのかは説明されてない(解説書にもない)。
 要するに、理由はともかく(理由など考えなくてもいいから)、指示・規定に従っていればよい、ということなのだろう。

 だから、いろいろ話を訊いてみると、とにかく「筋かい」「ホールダウン金物」を取付けておけばいいんだ、その方が確認もとりやすいから・・、という仕事が増えているようだ(設計図を「確認する方」も同じ「感覚」らしい)。取付けることが安全側とは限らない、と言うことを考えないのである。
 「筋かい」も「ホールダウン金物」も、ただ取付けてあればいい、というものではないだろう。「ホールダウン金物」については次回。


 上掲の図は、以前、茨城県建築士会の会報に連載した「シリーズ木造」で使った図の再掲である。
 これは、「筋かい」や「面材」を入れた単純な軸組に、横から力を加えると、軸組にどんな挙動が起きるか、何が違うか、そして、実際の軸組ではどうなるか、について考えるための解説図である。
 結論から言えば、「筋かい」と「面材」では、挙動がまったく異なる、ということだ。ところが、法令では、この二者を併用してもよいことになっている。こういうハイブリッドは危険きわまりない。なんでもいいから耐力壁が設けられていればよい、というのだろうが、あまりにも乱暴な話だ。

  註 「シリーズ木造」は、茨城県建築士会のホームページでみる
    ことができる。ただ、紙面の関係で、説明が十分でない。
  

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