2010-08-25

NHK朝の連続ドラマ―「ゲゲゲの女房」より、移り変わる時代―残り一ヶ月

 毎朝観ている「ゲゲゲの女房」の時代も、現在、昭和45年位の設定になっているのでしょうか。今週はは「おかあちゃんの家出」がテーマになっています。いよいよ水木茂さんも売れっ子の漫画家として忙しくなり、徹夜が続いて慌しい毎日です。その水木さんのそっけない態度が、妻である布美枝のストレスとなり、夫婦間に妙な空気が漂っています。
 この時代を小中学生として生きてきた私にとっては、回顧録を見るような懐かしさや再確認して認識を新たに持つような部分もあり楽しんでいます。折に触れては、私が生きてきた時代との比較の話などもここでしますが、どうしても伝えきれないものがあります。日本が今の姿になる直前の、激動の高度成長期にさしかかろうとしている時代が現在放送されているわけですが、子ども達の価値観の移り変わりや差異がよく描けていると思います。当時の私の実生活でのやり取りが、生々しく思い出されるシーンも多く、感慨深いものです。
 少し前の話で、お誕生日に呼ばれた長女藍子の苦悩がありますが、有名漫画家の娘だと学校中に知れてしまい、藍子が茶化されたりします。実際本当にあんな感じです。当時、「青い三角定規」という三人のヴォーカルグループがありましたが(Youtube(Oh最初にレコードのチリチリ音が聞こえる懐かしさ!))、その中の高田さんの妹さんは私の同級生で家も近く、よく一緒に遊んだ人です。彼女のお兄さんを利用して、自分がテレビに出たいなどという考えを持った人もいました。これもテレビの影響で、テレビに出ている人は人気者とか有名人なのだという認識が植え付けられ、表面的なものへの価値観が重視されてしまった時代の瞬間です。子ども達が変わりはじめたこの頃の背景がよく描かれていると思います。テレビがなかった頃の母、布美枝の時代は、のっぽを茶化されたように、身体的な何かが茶化しの対象だったりしたのも、子どもの辛辣で残酷な部分ですが、いずれにせよ、子どもの中では必ずいじめのようなことはあったのです。
 また、物が溢れている今の日本からは想像もできなほどの貧しい暮らしの家庭もあり、そういう家庭の子どもは、別の意味でいじめにあっていました。当時の学校の先生というのは、子ども達と遊ぶことが多く、休み時間には一緒に汗をながして追いかけっこや「ドン」という遊びを本気でやったものです。身近だったこともあり何かと先生に相談したものです。また、先生も異変に気付く機会に恵まれていたと思います。何かでバレて、いじめがクラス全体の問題として取り上げられ、学級で話した記憶があります。貧しい家庭の子どもが何故いじめにあったかと言うと、誰かの持ち物がなくなると、そういう家庭の子どもが最初に疑われるのです。それをきっかけに徒党を組んで「わーいわーい、お前のかあさんデベソー」と始まるのです。ゲゲゲの女房では「ゲ、ゲ、ゲゲゲのゲ~♪」でした。そうは言っても、教師が子どもの目線で関わったあの時代はまだ良かったと思います。
 放送は、あと一ヶ月を残すばかりとなりました。「つばさ」に続いて昭和からの時代の流れをたっぷり楽しむことができたなぁと思います。ドラマの出来栄えやセットがリアルではないとか、批判も様々ですが、そういう観点よりも、時代の移り変わりで見える日本の生活や人々の暮らしを掴むチャンスにすると良いと思います。それによって、今の日本に起こっている社会問題の背景も見えてくる気がします。人が人らしく生きた時代の最後の時期を映し出し、何かしらの問題提起としてゲゲゲの女房が見えてくるようです。

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