片山さつき議員による弁護士活動の自由に対する挑戦
自民党の片山さつき議員がツイッターで次のようにつぶやいています。
ミヤネ屋で河本梶原を必死に擁護の弁護士が朝鮮学校の弁護士! http://gsoku.com/archives/81002 … 普門大輔弁護士の外国人参政権著作、過去の弁護案件、あくまで客観的にツイートします(笑)しかもこの日のいつもの弁護士コメンテーターではない?面白い!BPOでガンガンやりましょう!
「朝鮮学校の弁護士」というのはよくわからない表現ですが、リンク先を見る限り、「大阪朝鮮高級学校運動場明渡し裁判」において朝鮮学校側の代理人を務めた弁護士という意味のようです。「外国人参政権著作」というのも漠然としていますが、リンク先を見る限り、外国人人権法連絡会編『日本における 外国人・民族的マイノリティ人権白書 2006年』における「アフリカ系アメリカ人に対する入店拒否」という論文のことをおっしゃっているようです。
BPOとは、倫理・番組向上機構の略であり、放送倫理検証委員会 、放送と人権等権利に関する委員会、放送と青少年に関する委員会が置かれています。しかし、弁護士が特定の訴訟で一方当事者の代理人を務めた弁護士をワイドショーに出演させ、発言をさせたことを上記のどの委員会で取り上げることができるのか私には理解できません。
市民的及び政治的権利に関する国際規約14条1項にて「すべての者は、裁判所の前に平等とする。すべての者は、その刑事上の罪の決定又は民事上の権利及び義務の争いについての決定のため、法律で設置された、権限のある、独立の、かつ、公平な裁判所による公正な公開審理を受ける権利を有する。」と定められている以上、「朝鮮学校」であろうと、正式な資格を有する弁護士に訴訟事務を委任して民事訴訟において十全な訴訟活動を行う権利があります。そのことは、特定の者──それが朝鮮学校等北朝鮮と一定の関係を有する個人又は団体であれ──から委任を受けて訴訟代理を引き受けたことを理由として、弁護士が公的領域において差別を受けることがあってはならないことを意味しています。
したがって、普門弁護士が「大阪朝鮮高級学校運動場明渡し裁判」において朝鮮学校側の代理人を務めたからといって、普門弁護士をテレビ番組に出演させたことをBPOにて糾弾するのは、国際人権規約の趣旨と相容れないということになります。
また、特定の事件において一方当事者の訴訟代理を引き受けた弁護士に第三者がそれと関係のない仕事を依頼した場合に、その第三者が国会議員等による糾弾に晒されるというのは、弁護士から見れば、どんな事件でどんな当事者の訴訟代理を引き受けるのかという基本的な点に関して、政治家による介入を受けるということとほぼ同義です。そして、そのような介入は、基本的人権の尊重擁護を主たる目的とする弁護士制度への挑戦ともいうべきものとなるといえそうです。
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Voici les sites qui parlent de: 片山さつき議員による弁護士活動の自由に対する挑戦:
» 片山さつき議員は韓流ドラマの大作と亜流的凡作を鑑定できるらしい [非日乗的日乗inowe椅子人blog]
昨日ツイッターでこれは非道いと閉口してしまった。 もともとこの片山さつき議員のことはコイズミチルドレンで刺客となった単なるキャリア官僚上がりのおばはんだと思っていた。官僚時代によくまあ、防衛費を削減してくれちゃっているので自衛隊基地のある選挙区内で勝てた…... [Lire la suite]
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