世の中は進化とともに複雑化し、複合化している。今やいろんなジャンルが複雑に結びついて巨大な「関連性の系統樹」のようになっている。
野球という一つのスポーツ一つとっても、かつては単なる「球技」であり、ときには「教育の一環」ときには「レクリエーション」だった。しかし、今は野球という競技を通して、様々な研究や思索が行われている。
野球を統計学的な観点で見て、勝敗の予測、選手の力量などを客観的な数値化するセイバーメトリクスは誕生して半世紀になるが、本格的に野球の世界に取り入れられたのは30年ほど前からだ。
セイバーメトリクスは、野球を「野球経験者」の専売ではなく、統計学やマーケティングなどの専門家にも参入させるチャンスを与えた。
さらに軍事用のレーダー技術や映像技術などが野球の世界に転用され、セイバーメトリクスとも結びつくことで、Statcastなどの新たな分野が派生した。
すでに野球選手の「経験則」だけでは、情報を把握できなくなり、アナリストという新たな仕事ができている。
私は「野球科学研究会」改め「野球学会」の大会に行くが、昨年の大会では、多くの研究者からNPB各球団の名前の入った名刺をもらった。その中には野球経験者もいたが、そうでない人もいた。12球団はそうしたアナリストをたくさん抱えるようになったのだ。
同時に、野球のフィジカル面、メディカル面での研究も進んでいる。肩肘や腰の消耗について、様々な角度から研究がなされ、選手の故障の予防や治療に役立てられている。
また選手の体の動きを計測し、数値化するバイオメカニクスも進化し、投手の中にはデータに基づいて新たな球種を開発している投手もいる。
さらに野球の指導は「スポーツコーチング」という一つの分野として、研究が進められている。どのような指導をすればいいのか、そのための準備は?などなど。その関連で「スポーツマンシップ」の研究も進んでいる。
別の視点として「スポーツマネージメント」「スポーツマーケティング」などの分野もある。
野球という一つの競技でも、こういう形で研究が進んでいるのだ。また野球部の選手上がりが、こうした多様な分野で活躍することも増えている。
残念なことに、日本のメディアは野球一つとっても、こうした「体系的な拡がり」を追いかけることができなくなっている。毎日のように、視聴率や広告効果などの結果を出すことを求められ、小難しいことに手を付けることができなくなっているのだ。
テレビや新聞は「できるだけ専門性を排除して、「何も知らない人」にすぐにわかる、歯触りの良い情報を提供することだけを考えるようになっている。
そして専門的な研究はネットの世界だけに広がるようになってきた。
アメリカでは「全国放送」の力が相対的に小さくなり、人々はサブスクなどで専門性の高い情報を自ら選択している。
日本のメディアの報道が脆弱で、空疎で、刹那的なのは「難しいことには一切手を出さない」スタンスにとどまっているからだ。
大谷翔平がどんなにすばらしい選手でも、テレビメディアは「凄い」としか言えない。「どう凄いのか」も「これからどうなるのか」もテレビは提供することができない。
残念なことだと思う。
私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!
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セイバーメトリクスは、野球を「野球経験者」の専売ではなく、統計学やマーケティングなどの専門家にも参入させるチャンスを与えた。
さらに軍事用のレーダー技術や映像技術などが野球の世界に転用され、セイバーメトリクスとも結びつくことで、Statcastなどの新たな分野が派生した。
すでに野球選手の「経験則」だけでは、情報を把握できなくなり、アナリストという新たな仕事ができている。
私は「野球科学研究会」改め「野球学会」の大会に行くが、昨年の大会では、多くの研究者からNPB各球団の名前の入った名刺をもらった。その中には野球経験者もいたが、そうでない人もいた。12球団はそうしたアナリストをたくさん抱えるようになったのだ。
同時に、野球のフィジカル面、メディカル面での研究も進んでいる。肩肘や腰の消耗について、様々な角度から研究がなされ、選手の故障の予防や治療に役立てられている。
また選手の体の動きを計測し、数値化するバイオメカニクスも進化し、投手の中にはデータに基づいて新たな球種を開発している投手もいる。
さらに野球の指導は「スポーツコーチング」という一つの分野として、研究が進められている。どのような指導をすればいいのか、そのための準備は?などなど。その関連で「スポーツマンシップ」の研究も進んでいる。
別の視点として「スポーツマネージメント」「スポーツマーケティング」などの分野もある。
野球という一つの競技でも、こういう形で研究が進んでいるのだ。また野球部の選手上がりが、こうした多様な分野で活躍することも増えている。
残念なことに、日本のメディアは野球一つとっても、こうした「体系的な拡がり」を追いかけることができなくなっている。毎日のように、視聴率や広告効果などの結果を出すことを求められ、小難しいことに手を付けることができなくなっているのだ。
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そして専門的な研究はネットの世界だけに広がるようになってきた。
アメリカでは「全国放送」の力が相対的に小さくなり、人々はサブスクなどで専門性の高い情報を自ら選択している。
日本のメディアの報道が脆弱で、空疎で、刹那的なのは「難しいことには一切手を出さない」スタンスにとどまっているからだ。
大谷翔平がどんなにすばらしい選手でも、テレビメディアは「凄い」としか言えない。「どう凄いのか」も「これからどうなるのか」もテレビは提供することができない。
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NEWS23だったか、「調査報道」ってコーナーやっていましたね。内容はともかく、歯触り柔らか報道漬けの視聴者には、わざわざ言わないといけないんですかね?
baseballstats
がしました