2025-02-10

無限ホームセンター

## 無限ホームセンター

男は、気がつくと巨大なホームセンターの中にいた。

天井は遥か高く、通路迷路のように入り組んでいる。陳列された商品は、工具、塗料木材家具家電園芸用品、食料品衣料品書籍おもちゃスポーツ用品楽器美術品、骨董品…そして、なぜか懐かしい駄菓子や、子供の頃に欲しかったプラモデルである

男は、自分がなぜここにいるのか、どうやって来たのか、まったく覚えていなかった。ただ、このホームセンターが、どこまでも、どこまでも、無限に続いていることだけは、直感的に理解した。

最初は戸惑った。不安だった。出口を探して歩き回ったが、どこにも見つからない。店員に尋ねても、曖昧な答えしか返ってこない。

しかし、男は次第に、この無限ホームセンターでの生活に慣れていった。

食料品売り場に行けば、食べ物に困ることはない。日用品売り場に行けば、生活必要ものはすべて揃う。娯楽用品売り場に行けば、退屈することはない。

それどころか、男は、このホームセンターでの生活を、むしろ楽しんでいた。

なぜなら、男にとって、ホームセンターは、子供の頃から憧れの場所だったからだ。

огромный場所には、見たこともない商品が並んでいる。男は、それらを眺めているだけで、心が躍った。

無限ホームセンターは、男にとって、夢のような場所だった。

男は、毎日、新しい商品を探して歩き回った。

工具売り場では、職人の技が詰まった道具たちに目を輝かせた。「こんな便利なものがあったのか!」と驚きながら、手に取ってはその感触を確かめた。

塗料売り場では、見たこともない色合いの塗料に心惹かれた。「この色で何を塗ろうか?」と想像力を掻き立てられ、胸がワクワクした。

園芸用品売り場では、珍しい花の種や苗を見つけた。「この花を育ててみよう」と、新しい趣味を見つけたような喜びを感じた。

家具売り場では、デザイン性の高い家具に囲まれ自分の部屋をどんな風にしたいのか、想像を膨らませた。

時には、子供の頃に遊んだプラモデルを見つけて、懐かしい気持ちになった。

男は、この無限ホームセンターで、自分の好きなように、自由に生きていた。

出口を探すことは、もう考えなかった。

この無限ホームセンターは、男にとっての楽園だった。

男は、この場所で、永遠に暮らしていくのだろう。

(了)**

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