2024-11-15

ドラクエ3の発売日の思い出

あれは昭和の終わり頃、小学2年生の冬。ドラクエ3が発売された日だ。

朝早く、父ちゃんに「行くぞ」と叩き起こされて、まだ薄暗い中で近所のゲーム屋に向かったんだよ。

昭和時代ってさ、ゲーム特別存在だったんだ。ファミコンが家にあるだけでクラスヒーローみたいな感じだったし、新作のドラクエなんてそれこそお祭りだった。

店に着いたらすでに長蛇の列。小学校2年生の俺には、その行列が果てしなく長く感じたよ。

寒空の下で鼻水を垂らしながら「本当に買えるのかな?」って不安だった。

でも父ちゃんは「大丈夫だ、根性だせ」とか言いながら、俺に温かい缶コーヒーを握らせてくれた。

今思うと、あれはちょっと渋すぎる飲み物だったな。子ども向けじゃないのに、なんか大人の気分を味わえて嬉しかった。

やっとの思いで順番が回ってきて、無事にドラクエ3を手に入れた瞬間のあの感動!箱を握りしめて、家に帰るまでの道中もずっと「早く遊びたい」って気持ちで胸がいっぱいだった。

家に着いてファミコンカセット差し込んで電源入れた時のジーって音がたまらなかったよ。ブラウン管テレビ特有の音。分かる?そんでプレイ画面が出た瞬間、もうワクワクが止まらなかった。

でも、ここからが苦い思い出だ。クラス友達が「貸してよ」って言うから、少し悩んだけど、まあいいかって貸したんだよね。その子も楽しみにしてたし、俺もちょっと大人ぶりたかったんだ。

でも、返ってこないんだよ。何度か「返して」って言っても、「まだクリアしてない」とか言われて、ついにはその子引っ越しちゃってさ。結局、ドラクエ3は戻ってこなかった。借りパクされたんだよな。小2の俺にはショックがでかすぎて、それ以来、人に物を貸すのがちょっと怖くなったんだよ。

昭和の思い出って、こんなふうに喜びと苦さが混ざってるんだよな。でも、その寒い朝父ちゃんと並んだ記憶とか、最初ドラクエ3遊んだあの興奮は、今でも色あせないよ。あの時代ならではの体験だし、あれがあったからこそ、ゲームへの思い入れが強くなったんだと思う。

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