2026-03-19

Dynabookの古いカタログページの話

ふとしたきっかけで Dynabook公式サイトを見ていたら、2002年カタログがそのまま残っていることに気づいた。

Flash も生き残れなかった時代に、静的な HTML で刻まれた記録がこうして残っている。

SS S4。薄型・軽量のモバイルノートだ。スペック表にWindows XP文字。重量 1.49kg。

世界最薄クラス」というコピー。あの頃の世界最薄への執念、すごかったよな。

https://dynabook.com/pc/catalog/ss_c/020121s4/index_j.htm

このページを見て、院生のころの記憶フラッシュバックしてきた。

2006年、初めての国際会議イギリスだった。

発表はパワポで、PCプロジェクターに直接つないでやるスタイル

スライドノート欄に英語カンペをびっしり書き込んでいた。

"Today, I would like to talk about..." から始まって、つなぎの言葉、強調するポイント、詰まりそうな箇所の言い換え候補まで。

パワポノートビューを開くたびに自分必死さが滲み出てくるあれ。

発表前夜もホテルノートを睨みながら声に出して読んで何度も練習した。


持っていったのは研究室に置いてあった少し古い Dynabook SS だった。

荷物は極力減らしたかったし、どうせプロジェクターにつなぐだけだから、軽くて持ち運びやすいのが正義、という判断だった。

Dの先輩たちも学会にはこれをよく持っていっていたので、「持ってけば?」くらいの温度感で貸してもらった記憶がある。

現地について国内線トランジット荷物検査のレーンに並んだ。

ノートPCトレイに出したとき、30くらいの検査官のお兄さんが手に取って、ちょっと目を輝かせながら英語で話しかけてきた。

"Hey, this is incredibly thin. Is this yours?"

業務そっちのけで本当に興味ありげに眺めてる。後ろに列ができてるのに。

僕も緊張と嬉しさが混ざったへんな気持ちで "Yeah, it's a Japanese laptop!" と返したら、

"Japanese tech is amazing, man" とか言いながら笑って返してくれた。

それだけの話なんだけど、異国の空港で、初めての学会を翌日に控えた緊張の中で、

見知らぬお兄さんに褒められたあの瞬間、なんか妙に救われた気持ちになった。

しかも厳密には研究室から借りてきたPCなんだけど、それでも素直に誇らしかった。

自分の発表よりPC褒められたほうが嬉しかったりする、そういう感じ、理系院生あるあるだと思う。

あの Dynabook SS が正確にどのモデルだったかは覚えていない。

でもこうして公式サイトカタログを眺めていると、あの薄さへの誇りみたいなものが画面から漂ってくる。

日本のモノづくりがいちばん輝いていた時代残像が、ひっそりと公式サイトの片隅に生きている。

さないでいてくれてありがとうDynabook

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