2025-12-17

生命は尊貴である。一人の生命は、全地球よりも重い。

死刑は、まさにあらゆる刑罰のうちで最も冷嚴な刑罰であり、またまことにやむを得ざるに出ずる窮極の刑罰である

それは言うまでもなく、尊嚴な人間存在の根元である生命のもの永遠に奪い去るものからである

現代国家一般統治権作用として刑罰権を行使するにあたり、

刑罰の種類として死刑を認めるかどうか、いかなる罪質に対して死刑を科するか、またいかなる方法手続をもって死刑執行するかを法定している。

憲法十三条においては、すべて国民個人として尊重せられ、生命に対する国民権利については、立法その他の国政の上で最大の尊重必要とする旨を規定している。

しかし、同時に同条においては、公共の福祉に反しない限りという厳格な枠をはめているから、

もし公共の福祉という基本的原則に反する場合には、

生命に対する国民権利といえども立法制限乃至剥奪されることを当然予想しているものといわねばならぬ。

そしてさらに、憲法第三十一条によれば、国民個人生命尊重といえども、法律の定める適理の手続によって、これを奪う刑罰を科せられることが、明かに定められている。

すなわち憲法現代多数の文化国家におけると同様に、刑罰として死刑の存置を想定し、これを是認したものと解すべきである

ただ死刑といえども、他の刑罰場合におけると同様に、

その執行方法等がその時代環境とにおいて人道上見地から一般に残虐性を有するものと認められる場合には、

勿論これを残虐な刑罰といわねばならぬから

将来若し死刑について火あぶり、はりつけ、さらし首、釜ゆでの刑のごとき残虐な執行方法を定める法律が制定されたとするならば、

その法律こそは、まさに憲法第三十六条違反するものというべきである

前述のごとくであるから死刑のものをもって残虐な刑罰と解し、

刑法死刑規定憲法違反とする弁護人の論旨は、理由なきものといわねばならぬ。

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